しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

ゴールデンスランバー

2010年02月14日 21時59分34秒 | 作品名(か行)
第172回「黄金のまどろみの中で見えたものとは・・・」

今夜の映画「ゴールデンスランバー」は伊坂幸太郎の大ヒット小説の映画化です。こういう小説がヒットしたものを映画化すると、失敗が多いのも事実です。
小説からのファンは映像化された世界に、自分が想像していた世界観との違いが大きすぎて、ガッカリする場合が多々あるのです。
私の場合は、小説を読まないわけではありませんが、多くの場合は「小説としてヒットした」という事実のみを頭に入れて初見の状態での鑑賞がほとんどですので、小説との違いがどうのという感想にはなりません。そういう意味であくまで映画「ゴールデンスランバー」の感想を書きたいと思います。

物語は仙台。地元出身の総理大臣が、市内の凱旋パレード中に暗殺されるという事件が起きた。大学時代の友人である森田に呼び出された青柳政春は、森田の様子がおかしい事に気がつくが、すでにシナリオは動き始めていた。森田はある人物に青柳をこの場所へ連れて来るように命じられていたのだ。森田は「お前、オズワルドにされるぞ」との言葉を残し死亡。青柳はあっという間に首相暗殺犯に仕立てられる。身に覚えの証拠が次々と出てきて警察やマスコミから追いかけられる。果たして青柳は自分の身の潔白を証明し、生き残ることができるのか。

私が個人的に大好きな逃亡劇である。ごく普通の青年が、いきなり首相暗殺犯として指名手配され、逃げる先々には警察の手が伸びていて、出てくる証拠は完全に青柳が犯人であることを指し示している。上映時間139分という、ちょっと長い時間ではありますが、多くの人物と絶妙な伏線によって、決して飽きることなく物語は進行していきます。

ただちょっと苦言もいくつかあります。物語の展開を都合よく進めるためのキャラクター「キルオ」の存在。彼は仙台市内で起こっている通り魔事件の犯人という設定なのですが、どういうわけか都合よく青柳の味方として登場し、簡単に事件の情報を見つけては青柳に教えにくる。まるで彼の周りをウロウロする「ティンカーベル」のような存在。彼の存在がどうもよくわからない。いきなり現れて、あっさり去っていきます。あまりに現実味のない存在に違和感を覚えました。

もう1つは、完全に個人的意見になるので、同意が得られないかもしれませんが、配役についてです。主人公を連れ出す森田に「吉岡秀隆」、主人公の元恋人で陰ながら協力をするヒロインに「竹内結子」。この2人の俳優さんが個人的にイメージが悪いのです。どちらの俳優さんも色に例えると「白」。いい意味でも悪い意味でもです。
特に森田は青柳を事件に導く大事な役。奥さんの作った借金の為に大学時代の友人を裏切ってしまう。そんな自分にも、現在の環境にも嫌気が差している弱い人間=汚れ役である。吉岡さんには汚れ役が似合わないし、説得力がない。もっと情けない役ができて、セリフに説得力を持たせることのできる俳優さんが演じたほうがよかった気がします。
森田のセリフが重要であればあるほど、そんな風に感じました。

作品の点数としては★★★★☆です。いくつかマイナス点はありますが、想像していたよりは面白く出来上がっていました。傑作とまではいきませんが秀作ではないでしょうか。

これだけ大風呂敷を広げてしまうと、上手に畳む事ができずにボロボロになる場合が多くあるのですが、この作品は上手に畳めていたように思います。もちろん、「キルオ」を始め何人かの御都合主義のキャラクターは登場しますが、そこは目をつむりましょう。

それにしてもああいうエンディングだと、後日談や前日譚など続編が何本も作れそうですね。青柳がジェイソン・ボーンに見えた映画でした。

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アミューズソフトエンタテインメント


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