晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『シンシナティキッド』 80点

2006-09-26 09:30:03 | 外国映画 1960~79

シンシナティキッド

1965年/アメリカ

S・マックィーンが演技の幅を拡げた作品

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆75点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆75点

音楽 ★★★★☆80点

「夜の大捜査線」のノーマン・ジュイソン監督、S・マックィーン主演のポーカー賭博師の話。
ラスト・シーンが公開映画とDVD・TV放送で何通りもあるのが話題にもなった。アクションが売り物のマックィーンが初めて静の演技を魅せた作品でもある。
スタッド・ポーカーがテーマなので興味がないと魅力が半減するが、多彩な脇役陣に救われ充分楽しめる。特にザ・マン、エドワード・G・ロビンソンの貫禄が光っている。後の「ラウンダーズ」のジョン・マルコヴィッチに匹敵する存在感を見せる。競演する女優がアン・マーグレット、チューズデイ・ウェルドであるのも時代を感じさせる。レイ・チャールズの主題歌も最初と最後に出てくるのもファンには嬉しいプレゼント。


『クイック&デッド』 75点

2006-09-25 18:21:33 | (米国) 1980~99 

クイック&デッド

1995年/アメリカ

4大スターが対決する決闘シーン

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 75

ストーリー ★★★☆☆70点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆75点

ビジュアル ★★★★☆75点

音楽 ★★★★☆75点

「スパイダー・マン」のサム・ライミ監督、シャロン・ストーン主演の西部劇。冒頭チョイ役で出演しているウディ・ストロードへのオマージュでもある。
何といっても豪華キャストで2度とこんなキャスティングは無理だろう。ジーン・ハックマン、ラッセル・クロウ、レオナルド・デカプリオが競演し、それぞれいわくつきガンマンとして出演している。S・ストーンが父の仇J・ハックマンを討つために田舎町に現れ、死の恐怖と闘いながら決闘試合に参加する。悪徳保安官のハックマンは「許されざる者」でお馴染みだが、人物の掘り下げ方が浅く物足りない。R・クロウは元ワルが銃を捨て牧師になるという役得で、男の色気を感じさせる。S・ストーンとのラブ・シーンも見物。レオナルド・デカプリオは少年のような幼さで、可愛らしさが良くも悪くも目立つ。
4人のスターが対決する決闘シーンを理屈抜きで楽しみたい映画だ。


『男はつらいよ 口笛吹く寅次郎』 80点

2006-09-25 09:26:21 | 日本映画 1980~99(昭和55~平成11) 

男はつらいよ 口笛吹く寅次郎

1983年/日本

マドンナ竹下景子が初登場

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆75点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆75点

シリーズ32作目でマドンナに竹下景子が初登場。岡山高梁が舞台で、博(前田吟)の亡父の菩提寺の出戻り娘。当時、最もお嫁さんに欲しい理想のタレントである竹下景子が出戻りであるのも設定の妙。そこへ寅さんが住込み、和尚(松村達雄)を甲斐甲斐しく手伝うこととなる。
カメラマン志望の息子(中井貴一)との跡継ぎ問題や博の遺産相続と家族の相続がテーマ。
柴又のたこ社長が倒産寸前になるなど世相を上手く取り入れながら、まだまだシリーズが続くことを感じさせる作品。


『ルイーズに訪れた恋は…』 70点

2006-09-24 10:18:23 | (米国) 2000~09 

ルイーズに訪れた恋は…

2004年/アメリカ

大人に成り切れない恋物語

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shinakamさん

男性

総合★★★☆☆ 70

ストーリー ★★★★☆75点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆75点

ビジュアル ★★★★☆75点

音楽 ★★★★☆75点

デイラン・キッド監督、ローラ・リニー主演のラブ・ロマンス。17歳のときのボーイフレンドそっくりな15歳年下の男スコット(トファー・グレイス)出会い、恋に悩む物語。
女優として円熟期を迎えたローラ・リニーの主演に期待して見たが、はっきりいって物足りない。元夫ピーター(ガブリエル・バーン)が大学教授で今でも友達として交流がありながら、衝撃の新事実を告白されたことで心が乱れる。このへんが単なるラブ・ロマンスではないことを強調しているのだろうがあまり共感できない。
親友ミッシー(マーシャ・ゲイ・ハーデン)とのライバル関係も交え、現代の恋はちょっぴり複雑だ。舞台となるコロンビア大学の明るいキャンパス風景とトファー・グレイスの素直な演技が救い。


『弓』 75点

2006-09-23 09:54:03 | (欧州・アジア他) 2000~09

2005年/韓国

キム・ギトク監督独特の世界

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 75

ストーリー ★★★★☆75点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆75点

音楽 ★★★★☆75点

「サマリア」「うつせみ」で一躍世界に名を知られた韓国の監督キム・ギトク12作目。
ここでも彼の共通テーマである<至上の愛>を老人(ハン・ヨンセン)と少女(ハン・ヨルム)で描いている。船で暮らす2人は会話なしで結びつきを表現しているのが不自然に感じないほど、2人の表情が豊かで特に目の演技で全てを物語っている。
もうひとつの象徴は老人が使う弓。ときには少女を守る武器になり、占いの道具にもなり、楽器にもなる。一人の青年が現れ少女が持つ当たり前の淡い恋心に嫉妬する老人が取った行動が、この映画のテーマ<至上の愛>なのだろう。終盤の展開に心情がついて行けるかでこの映画の好き嫌いがはっきりすると思うが、同世代としてはちょっと気後れがする。


『父、帰る』 85点

2006-09-22 09:58:52 | (欧州・アジア他) 2000~09

父、帰る

2003年/ロシア

久々ロシア映画の復活

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 85

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆85点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆85点

ロシアの新鋭アンドレイ・ズビャギンツェフ監督作品。ヴェネチア映画祭金獅子賞・新人監督賞受賞作品。
12年振りに戻ってきた無口な父が母の勧めで2人の息子と小旅行に出て、心の交流を描いた7日間の物語。背景にロシア正教・聖書での「創造の7日間」がある。物語は父の12年間の謎が最期まで明かされず想像の域を出ないが、3人の旅の目的が夫々違うことが分かる。兄弟の父に対する思いが食い違うなか、最後に取り返しがつかなくなり父子がひとつになる。特に幼いため父の愛が理解できない弟イワンを「ワーニャ」と呼ぶ父と「あんた」と呼んでいたイワンが「パパ!パパ!」と叫ぶシーンが秀逸。ストーリーは謎が解消しないまま不完全燃焼になるが、テーマを<父と子の関係>に絞れば、各自が想像すれば良いのだと思わず納得してしまう。
監督を始め脚本・撮影・音楽スタッフが素晴らしい。特にロシアの自然風景の変化を鮮やかに写したミハイル・クリチマンの撮影がこの映画を一段と際立てている。


『冷血』 85点

2006-09-21 16:54:20 | 外国映画 1960~79

冷血

1967年/アメリカ

救いのない犯罪ドラマ

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 85

ストーリー ★★★★☆85点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆85点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆85点

トルーマン・カポーティ原作・リチャード・ブルックス監督・脚本のノンフィクション・ドラマ。当時アカデミー賞候補にノミネートされた作品。原作者のT・カポーティが「冷血」を書く経緯を描いた映画「カポーティ」が昨年製作され、アカデミー主演映画賞を受賞して再度脚光を浴びた。
ストーリーは2人の犯人が金目当てで押し入り、一家4人を殺人してしまう救いのない話。2人の殺人犯の生い立ちが丁寧に描かれること、一家を殺すシーンが自白により再現されることで、ドラマチックな展開となった。クインシー・ジョーンズの音楽が全編に流れ雰囲気を盛り上げる。とはいえ、見終わって救いのない犯罪ドラマであることは変らない。


『夕陽のガンマン』 85点

2006-09-20 10:33:45 | 外国映画 1960~79




夕陽のガンマン


1966年/イタリア






音楽が絶妙なマカロニ・ウェスタン





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shinakamさん


男性






総合★★★★☆
85



ストーリー

★★★★☆
80点




キャスト

★★★★☆
85点




演出

★★★★☆
85点




ビジュアル

★★★★☆
80点




音楽

★★★★☆
90点





題名は違うが、マカロニ・ウェスタン「荒野の用心棒」の続編的存在。セルジオ・レオーネ監督とエンニオ・モリコーネの音楽が絶妙。
C・イーストウッド(マンゴー)とリー・ヴァン・クリーフ(モーティマー大佐)の2人の賞金稼ぎが手を組み、G・M・ヴォロンテ(インディオ)一味を倒す話だが、この3人がこの映画の全て。
特に初老のインテリ・ガンマン役のリー・ヴァン・クリーフが抜群にいい。仇役で存在感を示した当時41歳の彼をこの役に起用したのも、リー・マービンの代役だったのも、運命的だった。
大佐なくしてこの映画は成り立たなかったし、悪役のG・M・ヴォロンテも貴重な存在。もうひとつの主役はこの2人が持つミニ・オルゴール。蓋の裏の若き女性の写真が伏線となり、最後の決闘に結びつく。
男同士の奇妙な友情がエンニオ・モリコーネの音楽に乗せて、大いに酔わせてくれる。






『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』 90点

2006-09-19 16:29:12 | (米国) 1980~99 

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

1984年/アメリカ

「ゴッドファーザー」と甲乙付けがたい

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 90

ストーリー ★★★★☆85点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆90点

ビジュアル ★★★★☆90点

音楽 ★★★★☆90点

セルジオ・レオーネ監督が10年賭けて製作した渾身のギャング映画で、これが遺作になった。レオーネ監督には欠かせないエンリオ・モリコーネの音楽も健在。主演のロバート・デ・ニーロも青年期を中心に熟年期までを、思いを内に秘める抑えた演技で、魅力たっぷり。彼の代表作のひとつになっている。
よく「ゴッドファーザー」と比較され、こちらの方が評価が低いが、甲乙付けがたい。イタリアン・マフィアを描いた「ゴッドファーザー」は根が<イタリアとファミリーへの愛>がテーマであるのに対し、ユダヤ系ギャングを描いたこの映画は、<友情・怨嗟・郷愁>がテーマ。
少年期の描き方が特に丁寧で、これだけで1本の映画として完成している。ヒロイン・デボラの少女時代をジェニファー・コネリーが扮し、アマポーラの音楽に乗せて踊るシーンが秀逸。性への憧れの描写がリアルなので女性ファンの点数が低いかもしれない。
青年期はヌードルス(ロバート・デ・ニーロ)とマックス(ジェームス・ウッド)の友情物語が中心。時が経つに従って2人の人生観が微妙に食い違ってくる。お互いの演技が火花を散らし、ジェームス・ウッドのエネルギッシュな演技が光る。彼の代表作とも言える。
35年間の空白で久し振りにNYへ帰って来たヌードルスが「イエスタデイ」の音楽で象徴されるようにこの映画のテーマが心に沁みてくる。3時間半の長編があっという間に過ぎ、「人生とは...。>を思わず考えさせる秀作だ。


『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』 75点

2006-09-17 19:27:28 | 日本映画 1980~99(昭和55~平成11) 

男はつらいよ 旅と女と寅次郎

1983年/日本

都はるみの「矢切りの渡し」

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 75

ストーリー ★★★☆☆70点

キャスト ★★★★☆75点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆75点

シリーズ31作目。マドンナ都はるみが殆ど本人の役で出ている。場所は佐渡で、たらい舟や佐渡おけさで郷土色がいっぱい。
都はるみは台詞に難はあるものの、随所で唄うことでカバー。ヒット曲が次々と歌われるが、持ち歌以外のほうが印象に残る。なかでも寅さんとデュエットした「矢切りの渡し」が逸品。
ひと頃より、初期に見られたドタバタ調が目立つ作品だったが、脇役陣の藤岡琢也・桜井せんり・ベンガルが演じているのが懐かしい。北林谷栄や中北千恵子などシリアスな役者でバランスをとっているのだろう。
手馴れた作りながら、ちょっとマンネリ感は否めない。