戦火の勇気
1996年/アメリカ
面白いが、どんな戦争でも美化すべきではない
shinakamさん
男性
総合 75点
ストーリー 75点
キャスト 80点
演出 80点
ビジュアル 75点
音楽 75点
エドワード・ズウィック監督、デンゼル・ワシントン・メグ・ライアン競演で湾岸戦争がテーマ。2人が競演していながら出会わないのが、いい意味で期待を裏切っている。
推理ドラマとしては良く出来ていて面白いが、やはり戦争を美化してはならない。
M・ライアンが戦地に趣くとき両親に宛てた手紙に一人娘を託すシーンや、D・ワシントンが良き家庭人でありながら軍人として全てを犠牲にして仕事に打ち込む姿は、愛国心の鏡であることを賛歌している。
おまけに部下を誤射して両親に詫びたとき、それを許してしまうなどちょっと綺麗ごと過ぎるキライがあるのでは?
左きゝの拳銃
1958年/アメリカ
ビリー・ザ・キッドを忠実に描いた西部劇
shinakamさん
男性
総合 75点
ストーリー 75点
キャスト 75点
演出 75点
ビジュアル 70点
音楽 70点
アーサー・ペン監督がビリー・ザ・キッドをリアルに描いた西部劇。西部劇の大スター、ジョン・ウェインが演じるガンマンは大方正義の味方で、感情だけで銃を抜いたりしないが、この映画はちょっと違っている。
実在のガンマン、ビリー・ザ・キッドが主人公。ポール・ニューマンがビリー・ザ・キッドに扮し、孤独なガンマンを演じていて、丁度仁侠映画で一宿一飯の縁でお世話になったヒトが殺され、敵討ちをするように3人を次々殺してしまう。
良き理解者を無くし、何処にも居場所がなく無力感に襲われながら死んで行く哀れな男に同情を禁じえない。
雨月物語
1953年/日本
邦画の隆盛期作品が世界で注目された
shinakamさん
男性
総合 85点
ストーリー 80点
キャスト 85点
演出 85点
ビジュアル 85点
音楽 85点
黒澤・小津と並んで欧米に影響を与えた溝口健二監督の代表作。ヴェネチュア映画祭銀獅子(最優秀外国映画)賞受賞作品だけあって映像・音楽・美術とも日本のアートを世界にアピールしていて、製作・永田雅一の意気込みが感じられる。
原作は小説家で大映映画の役員でもあった川口松太郎。戦国時代如何に庶民が悲惨で必死に生きていたか?その背景には貧しくとも家族の愛を大切にすべきという教訓的な話だが、人間の欲と業の深さを感じる作品。
京マチ子の怪しさ、水戸光子の逞しさ、田中絹代の慎ましさを的確に演じた女優陣が目立つ。これも女性を描くのが上手い溝口監督の手腕によるところ大。
ヒューマンネイチュア
2001年/アメリカ=フランス
ハチャメチャだけど何故か哀しい
shinakamさん
男性
総合 70点
ストーリー 70点
キャスト 75点
演出 75点
ビジュアル 70点
音楽 70点
チャーリー・カウフマンの製作・脚本でミシェル・ゴンドリー初監督作品。類人猿が人間になるというハチャメチャなストーリーながら、人間の愛情とは?を暗に批判していて何故か哀しい物語。人間は外見より中身だと知りつつ、ネイサン(ティム・ロビンス)がライラ(パトリシア・アークィット)とガブリエル(ミランダ・オットー)の2人を行ったり来たりするたびに、俗っぽい男の哀れさを感じる。馬鹿らしいと思いながらも最後まで楽しませてくれた。
男はつらいよ 寅次郎紙風船
1981年/日本
寅さんの同級生たち
shinakamさん
男性
総合 75点
ストーリー 75点
キャスト 80点
演出 80点
ビジュアル 75点
音楽 75点
マドンナに音無美紀子を起用したシリーズ28作目。今回は愛子(岸本加世子)が、さくらとの異母兄妹を彷彿させる地井武男との兄妹愛が絡む。
マドンナの光枝(音無)は病床中の夫(小沢昭一)がいる前半と亡くなったあとの後半では別人のよう。寅さんが持つ古き良き女性像を見事に覆すさまが面白い。
小学校の同窓会で出演しているお馴染みの犬塚弘をはじめ前田武彦・東八郎などの面々が語る寅さんの小学校時代の悪がきぶりが妙に懐かしい。こんな同級生が必ずどこのクラスにもいたものだ。
偶然の恋人 BOUNCE
2000年/アメリカ
出来すぎな正統派ラブ・ストーリー
shinakamさん
男性
総合 70点
ストーリー 70点
キャスト 80点
演出 70点
ビジュアル 70点
音楽 70点
ベン・アフレックとグウィネス・パルトロウのラブ・ストーリー。撮影中、2人は恋人同士だっただけあって息のあったコンビ。2人の清々しい印象と、物語のドラマチックな出会いとは不釣合いながら、正統派ラブ・ストーリーとして見られた。
ただ予想どおりの結末はイマドキ物足りなさを感じざるを得ない。
ハスラー2
1986年/アメリカ
男の美学を見せたP.ニューマン
shinakamさん
男性
総合
75点
ストーリー
75点
キャスト
80点
演出
75点
ビジュアル
75点
音楽
75点
題名は「ハスラー」の続編だが、ポール・ニューマン主演のビリヤードがテーマであること以外は関連がない。アカデミー主演男優賞を受賞したが、この作品で取れたというよりそれまでの集大成なのだろう。
若きハスラー、トム・クルーズとの出会いで、諦めていた本来の勝負に生きる自分を見出す初老のハスラーを演じている。まるで西部劇をみるようなストーリーで、男の美学たっぷりの映画。さすがのT・クルーズもP.ニューマンには一目置かざるを得ない。
エレファント
2003年/アメリカ
ガス・ヴァンサントの最高傑作
shinakamさん
男性
総合 85点
ストーリー 85点
キャスト 80点
演出 85点
ビジュアル 80点
音楽 85点
ダイアン・キートン製作、ガス・ヴァンサント監督の青春群像劇。’03カンヌ国際映画祭パルムドール・監督賞受賞作品。プロの俳優は大人3人だけでハイスクールの生徒達は全てオーディションで選ばれた。台詞も彼らのアドリブが生かされている。
1:33の比率画面がドキュメントタッチを倍加していて、物語は彼らの自然な演技の中から周囲の無関心さから、気づかないうちに無差別銃乱射事件になっていく。
ガス・ヴァンサントはこの映画で原因を追究しようとしていない。ものごとはハッキリしないことで恐ろしい結果を招きかねないことを題名である「エレファント」(居間にいる象のような存在=
恐ろしいことも無関心なままだと気がつかない)が象徴している。
マイケル・ムーアの「ボーリング・フォー・コロンバン」と比較されるが、映画としての出来はこの作品のほうが数段勝っている。
アレックスが弾く「エリーゼのために」が最後まで印象的。ガス・ヴァンサントの最高傑作だ。
奇蹟の輝き
1998年/アメリカ
SFXで映像美を堪能
shinakamさん
男性
総合 70点
ストーリー 70点
キャスト 75点
演出 70点
ビジュアル 85点
音楽 70点
精神科医クリス(ロビン・ウィリアムズ)と画家アニー(アナベラ・シオラ)のラブ・ファンタジー。ロビン・ウィリアムズが心優しい妻子思いの男を演じている。子供を交通事故で失い、自分も事故死をしてしまう不運に見舞われるが、天国で思い出とともに暮らす設定。この場面ではSFXで映像美を堪能できる。
その後妻の自殺で地獄へ探し出す旅に出るあたりで単なる子供向けの冒険物語になってしまう。ときどきクリスの子供に対する愛情の発揮に後悔する場面や精神病で入院した妻との愛を回復する回想シーンがでてくるが、観客を巻き込む共感は得られなかった。
トリコロールに燃えて
2004年/アメリカ
ちょっと風変わりなラブ・ロマンス
shinakamさん
男性
総合 75点
ストーリー 75点
キャスト 80点
演出 75点
ビジュアル 75点
音楽 75点
第二次世界大戦前後、激動のパリを中心に起きた、ちょっと風変わりなラブ・ロマンスだ。シャリーズ・セロンが自由奔放な女性を演じている。思ったとおり行動しながらも、先の見えない人生を受け止め、生き急ぐ哀しい心の内を体当たりで表現。恋人のスチュアート・タウンゼントに今ひとつ個性を感じないのが残念だが、女友達のベネロペ・クロスの迫力ある演技で救われた。