晴れ、ときどき映画三昧

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「クリスタル殺人事件」(80・英) 75点

2013-11-18 21:03:24 | (米国) 1980~99 
 ・ キャストは超豪華、内容はかなり地味なクリスティ・ミステリー。

        
 ロンドン郊外の静かな街で、往年の名女優マリーナ・クレッグ(エリザベス・テーラー)と夫の監督ジェースン・ラッド(ロック・ハドソン)が映画撮影のため大歓迎を受ける。歓迎パーティの最中、予期せぬ犬猿の女優ローラ(キム・ノヴァック)とプロデューサー、マーティ(トニー・カーティス)が現れる。その直後、婦人会の女性がマリーナと談笑中に飲んだドリンクで突然死してしまう。
 ミス・マープル(アンジェラ・ランズベリー)と甥のクラドック警部(エドワード・フォックス)の推理と捜査が始まる・・・。

 アガサ・クリスティ原作「鏡は横にひび割れて」をガイ・ハミルトン監督で映画化。「オリエント急行殺人事件」「ナイル・・・」に続く第三弾でミス・マープルが初登場。

 とにかく豪華なキャスティングに驚く。ちょっと老けたとはいえ4人のハリウッド俳優に秘書役でジェラルディン・チャップリンも出演している。E・テーラーとR・ハドソンは「ジャイアンツ」以来の美男美女夫婦役。K・ノヴァックはE・テーラーにドリス・デイのシワを例えで出したり、R・ハドソンの監督にジョン・ヒューストンへ代ってもらうと言うなど、随所にハリウッドの楽屋落ちを楽しめる。

 その割にハナシはかなり地味で、おまけに犯人はだいたい途中で読めてしまう。映画化よりTVドラマに向いているらしく、ミス・マープルはこの1本だけでTVでシリーズ化されて行くのも頷ける。そういえば、主演のA・ランズベリーはミス・マープルよりTV版「ジェシカおばさん」でお馴染みのヒト。こちらのほうがお似合いだ。


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1 コメント

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Unknown (オーウェン)
2024-02-04 19:08:56
「オリエント急行殺人事件」「ナイル殺人事件」で、アガサ・クリスティー原作のミステリーを、豪華キャストで映画化すれば大ヒット間違いなしというやり方が定着したのか、その第3弾がこの「クリスタル殺人事件」。

しかし、それにしても何とセンスのない邦題なのか。
本当に安っぽい題名になっています。
時流に便乗というか何というか、アガサ・クリスティーを愛する一ファンとしては、苦情を言わずにはいられない気持ちになります。

これでは、原作の邦訳名の「鏡は横にひび割れて」のほうが、どれだけいいかわかりません。
いつもセンスの良い、素敵な邦題を付けていた東宝東和とも思えぬ、"悪題"ですね。

それはともかく、今までの2本がエルキュール・ポアロ物だったのに対して、今度の作品はアガサ・クリスティーのミステリーを代表するもう一人の名探偵、ミス・マープルの登場です。

セント・メアリー・ミードという英国の小さな田舎町から一歩も出たことがないという老嬢ミス・マープルが、その鋭い"人間観察"を通して事件を鮮やかに解決していきます。

その平和な田舎町へ、映画のロケ隊がやって来て、もう、てんやわんやの大騒ぎ。
そして、その歓迎パーティの席上で殺人が起きてしまいます。

この映画を原作を未読の人が見たら、どう思うのでしょうか?
原作をそれこそ深く知っている私としては、その辺の判断がつきません。

しかし、往年の人気スターを集めて、この田舎町へ乗り込ませたアイディアは実に楽しい。
エリザベス・テイラー、キム・ノヴァク、ロック・ハドソン、トニー・カーティス。

この顔ぶれを観ていると、リズとロック・ハドソンは「ジャイアンツ」で夫婦役で共演していたなとか、キム・ノヴァクはヒッチコック監督の「めまい」で妖艶な魅力があったなとか、トニー・カーティスはジャック・レモンとのコンビでの「お熱いのがお好き」での女装がなかなか良かったなとか、様々な映画の思い出が走馬燈のように、次々と脳裏をよぎってしまいます。

かつての美男美女が、今やどこかうさんくさい、一癖ありそうな風貌となって、いかにも誰もが犯人らしく見えてくるから愉快です。
それから、忘れてはならない女優として、ジェラルディン・チャップリンが秘書役でなかなか好演しています。

そして、肝心の主人公のミス・マープルはアンジェラ・ランズベリー。
エルキュール・ポアロのアルバート・フィニー、ピーター・ユスティノフもそうですが、こういうよく親しまれた名探偵というのは、誰もが自分なりのイメージを持っていますから、どうしても違和感があるのはやむを得ないことだと思います。
私個人の好みとしては、エルキュール・ポアロは断然、アルバート・フィニーが良かったですね。

芸達者なアンジェラ・ランズベリーですから、決してミス・キャストではなく、好演していると思いますが、私のイメージから言えば、多少派手すぎる感じがしないでもありません。

この映画の舞台となるセント・メアリー・ミードの村は、よく雰囲気を出して作られていて、名手クリストファー・チャリスのカメラも実に美しい。

ただ、監督が007シリーズのガイ・ハミルトンというのが観る前に気になっていて、その不安はどうも半ば的中してしまいました。
英国ミステリーの、生活感のあるムードがどうにも出て来ないのです。

そして上映時間が1時間45分というのも、はっきり言って短かすぎると思います。
ここはやはり、2時間以上かけて、じっくりと描き込んでもらいたかった。
大体、アガサ・クリスティーの作品は、世界中でかなりよく知られているのですから、話がわかっている観客をも、楽しませるように作ってくれなくては困るのです。

せっかく、お金をかけ、豪華な役者も集めたのに、何ともったいないことかと、つくづく思います。
確かに、顔ぶれの楽しさ、原作の骨組みの確かさで見せてくれますが、アガサ・クリスティーの大ファンとしては、文句なしに面白かったと言えないのが残念です。
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