・ 身体を張ったT・ハンクスの大熱演。
メンフィスにある世界宅配便・フェデックスのシステム・エンジニアがマレーシアへ飛行中に墜落し無人島にたどり着く。
孤独な4年間のサバイバル生活を経て帰還する男の人生を描いた人間ドラマ。
「フォレスト・ガンプ/一期一会」(94)のロバート・ゼメキス監督、トム・ハンクス主演のゴールデン・コンビによる映画化で共演は「恋愛小説家」(95)のヘレン・ハント。
フェデックスと言えばゴルフPGAツアーの年間スポンサーとしてお馴染みだが、宅配便会社の最大手。自社便が墜落するストーリーで始まる本作ではイメージダウンになりはしないか?と思うが、フレッド・スミスCEOが本人役で出演するなど全面的協力がされている。
お陰で事実をもとにしたのでは?と思うほどリアリティにこだわり不自然さを極力排除したシナリオ・映像・演出である。
なんと言っても主演のT・ハンクスの身体を張った独演ぶりに目を奪われる。デニーロ・アプローチと呼ばれる体重の増減は25キロに及びお陰で2型糖尿病になってしまった。
無人島でのサバイバル生活でのアクション・表情では孤独感を目一杯に表現しているが、重くならない彼のキャラクターによって安心して?観ていられる。
約140分のうち前半分刻みの猛烈サラーリーマンの暮らしぶりが30分、無人島のサバイバル生活が80分、帰還後が30分という構成で「生きること」とは?を問いかけている。
皮肉なことに無人島では希望を捨てずに頑張っていてバレーボールをウィルソンと命名・擬人化し友としたり、火起こしから食料調達や脱出の工夫を凝らすなど日々生き生きとしている。
しかし無事帰還し皆から大歓迎を受けるが浦島太郎状態を味わい、恋人まで失って失意のどん底を味わうハメに。
冒頭に出てきた<デックとベッティーナの工房>への宅配便が<世の中から見捨てられた漂流者>への救世主になるというエンディングがさり気なく表現されるが、もっとドラマチックさを期待していた筆者にとって肩透かしを食らったようなオシャレな作品だった。