晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『父、帰る』 85点

2006-09-22 09:58:52 | (欧州・アジア他) 2000~09

父、帰る

2003年/ロシア

久々ロシア映画の復活

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 85

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆85点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆85点

ロシアの新鋭アンドレイ・ズビャギンツェフ監督作品。ヴェネチア映画祭金獅子賞・新人監督賞受賞作品。
12年振りに戻ってきた無口な父が母の勧めで2人の息子と小旅行に出て、心の交流を描いた7日間の物語。背景にロシア正教・聖書での「創造の7日間」がある。物語は父の12年間の謎が最期まで明かされず想像の域を出ないが、3人の旅の目的が夫々違うことが分かる。兄弟の父に対する思いが食い違うなか、最後に取り返しがつかなくなり父子がひとつになる。特に幼いため父の愛が理解できない弟イワンを「ワーニャ」と呼ぶ父と「あんた」と呼んでいたイワンが「パパ!パパ!」と叫ぶシーンが秀逸。ストーリーは謎が解消しないまま不完全燃焼になるが、テーマを<父と子の関係>に絞れば、各自が想像すれば良いのだと思わず納得してしまう。
監督を始め脚本・撮影・音楽スタッフが素晴らしい。特にロシアの自然風景の変化を鮮やかに写したミハイル・クリチマンの撮影がこの映画を一段と際立てている。