父、帰る
2003年/ロシア
久々ロシア映画の復活
shinakamさん
男性
総合 85点
ストーリー 80点
キャスト 80点
演出 85点
ビジュアル 85点
音楽 85点
ロシアの新鋭アンドレイ・ズビャギンツェフ監督作品。ヴェネチア映画祭金獅子賞・新人監督賞受賞作品。
12年振りに戻ってきた無口な父が母の勧めで2人の息子と小旅行に出て、心の交流を描いた7日間の物語。背景にロシア正教・聖書での「創造の7日間」がある。物語は父の12年間の謎が最期まで明かされず想像の域を出ないが、3人の旅の目的が夫々違うことが分かる。兄弟の父に対する思いが食い違うなか、最後に取り返しがつかなくなり父子がひとつになる。特に幼いため父の愛が理解できない弟イワンを「ワーニャ」と呼ぶ父と「あんた」と呼んでいたイワンが「パパ!パパ!」と叫ぶシーンが秀逸。ストーリーは謎が解消しないまま不完全燃焼になるが、テーマを<父と子の関係>に絞れば、各自が想像すれば良いのだと思わず納得してしまう。
監督を始め脚本・撮影・音楽スタッフが素晴らしい。特にロシアの自然風景の変化を鮮やかに写したミハイル・クリチマンの撮影がこの映画を一段と際立てている。