・ J・ウェイン、M・オハラのコンビで、コメディタッチの西部劇。
「じゃじゃ馬ならし」をヒントにした「アラモ」のジェームズ・E・グラント脚本を、ジョン・フォードの後継者として期待された「ローハイド」のアンドリュー・V・マクラグレン監督で映画化。
大牧場主マクリントックにジョン・ウェイン、その妻キャサリンにモーリン・オハラが扮し、「静かなる男」(52)で共演したその後のような役柄をコミカルに演じている。
地元の名士マクリントックは、開拓民との交渉役から先住民とのモメ事の纏め役まで頼りにされ何かと忙しい。そんななか2年前離婚した元妻キャサリンが戻ってきた。
東部から里帰りした大学生の愛娘ベッキー(ステファニー・パワーズ)の後見人役を巡って夫と争うためだったが、彼が雇い入れたばかりのルイーズとデヴリン母子など周囲の人々を振り回して大騒動となる。
壮年期を迎えたJ・ウェインが勝気な妻に翻弄される西部男を演じるだけで、なにか新鮮な気分にさせられる。がん治療直前にも関わらず、アクションにも果敢に挑んでいる。
J・ウェインより13歳年下だが息の合った夫婦役がぴったりなM・オハラが、前年の「罠にかかったパパとママ」に続いてのコミカルな役柄で頑張っている。
殴り合いに巻き込まれ泥沼に突き落とされたり、下着姿での追いかけごっこをしたりの大奮闘ぶりは、若いころ鉄火肌の娘役を思い起こさせる。
脇役にブルース・キャボット、チル・ウィルスなどJ・フォード一家やウェインの息子パトリックを配したA・V・マクラグレンの演出は、手堅いが新鮮味に欠け、その後TVへ転じたのも頷ける。
真夏の昼下がりノンビリ過ごすにはぴったりのホーム・コメディだった。