晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

「宮廷画家ゴヤは見た」(06・米) 80点

2014-02-28 18:24:25 | (米国) 2000~09 

 ・ 権力に巻き込まれた人生は、現代社会の縮図のよう。

 「カッコーの巣の上で」「アマデウス」の巨匠ミロス・フォアマン監督が<魂の兄弟>と呼ぶジャン=クロード・カリエールの脚本。18世紀末から19世紀初め、激動のスペインを舞台に、画家ゴヤを通して描いた人間模様。

 主演のハビエル・バルデムはゴヤではなく、ロレンソという神父で異端審問の推進者。ヒロイン、イネス(ナタリー・ポートマン)は、豪商トマス(ホセ・ルイス・ゴメス)の娘で、ともに宮廷画家のゴヤ(ステラン・スカルスガルド)に肖像画を描いてもらっている。

 面識のない2人だが、居酒屋で豚肉を食べないことを理由に審問に問われたイネスは、拷問に耐えられず事実ではない異教徒であると認めてしまう。父は娘を救うために、ロレンソを晩餐会に招待したいとゴヤに頼みこみ、ロレンソとある取引を強引にする。

 カルロス4世と王妃のお気に入り宮廷画家であるゴヤは、普通の人々の生活を描いた版画作家でもある。彼にジャーナリストとしての感覚を重ねるように「フランス軍の進撃」から「スペイン独立戦争」までを版画集「戦争の惨禍」が映像化されている。

 ドラマはロレンソとイネスの軌跡を追いながら心地良いテンポで描いて行く。ソレンソは権力におもねながら翻弄され、保身のため残酷な言動をしてしまう。イネスは光り輝く豪商の娘が時代に流され、別人のようになってしまう。ソレンソが最後にとった行動に幾分救われた気がしたが…。

 H・バルデムは、その栄光と挫折を見事に演じ切って、油の乗りきった個性的俳優としてのチカラを如何なく発揮している。

 N・ポートマンは、薄幸の汚れ役をこなし、その娘15歳のアリシア役まで演じて敢闘賞もの。単なるお姫様女優からの脱皮を果たした。

 200年前のスペインの宮殿や風景の中で展開されるこのドラマは、現代社会の構図に共通するところがあるのでは?チェコ生まれのフォアマン監督は50年前の学生時代とこの時代を重ねている。 
 

「おくりびと」(08・日) 85点

2014-02-27 16:49:16 | 日本映画 2000~09(平成12~21)
・ 日本の様式美と丁寧な作りで心温まる傑作となった。

 <納棺師>という、あまり馴染みのない職業を通して、人生を改めて考えさせられるという笑いと涙の感動物語。主演した本木雅弘のアイデアが発端で映画化された。<納棺師>という職業は{納棺夫日記」(青木新門・著)が参考になている。「壬生義士伝」「バッテリー」の滝田洋二監督、TV界の鬼才・小山薫堂の映画脚本によるオリジナル。米アカデミー賞外国語映画賞受賞作品。

 チェリストだった小林大伍(本木雅弘)は、妻・美香(広末涼子)を連れて故郷山形へ戻る。<旅のお手伝いをする>というNKエージェントの募集広告を見て応募すると社長の佐々木(山崎努)は即座に採用するが、<旅立ちのお手伝い>の誤植だったとあっさりと言われる。

 人に感謝される仕事であるが、誰にでもできる仕事ではない。この映画では妻に「けがらわしい」といわれ、同級生(杉本哲太)に「もうちょっとマシな仕事があるだろう」といわれたり、ヤンキー女子高生の場で、同席した暴走族に向かって「こんな仕事しかできなくなる」と名指しされたりする。

 声を大にして反論することなく、まるで茶道のように鮮やかな様式美で心を込めた死別のお手伝いのシーンが続く。一歩間違えればトンデモナイ作品になりかねないが、自ずとその偏見は一掃されて行く。
山形の冬から春への美しい風景と久石譲の音楽が心を癒してくれる。

 等身大の若者が特異な職業に触れドンドンのめり込み、大人に成長して行くサマを見事に演じ切った本木の俳優としての素晴らしさを改めて実感させられた。

 脇役陣も素晴らしい。とくに山崎努は独特のアクの強さを抑え、きめ細やかな演技で近年では最高の演技。吉行和子・余貴美子に囲まれ広末涼子が浮いているとの評価も多いが、<涙を強要するための愛と感動の物語>にしたくないためのキャスティングだったように思われる。うまくバランスが取れていた。

 蛇足ながらニューハーフの遺体役・白井小百合に敢闘賞を贈りたい。

 小山の脚本は「料理の鉄人」の放送作家らしく、命の大切さを伝えるための食べ物が随所に出てくる。生きているタコを怖がる美香や、ふぐの白子焼きを美味しそうに食べる佐々木が「困ったことに美味しいんだな、これが。」と言うシーンが印象的。

 丁寧でスキのない作りだが、後半親切すぎて想像力を掻き立てるところが無くなってしまったのがモッタイナイ。


「プライドと偏見」 (05・英) 75点

2014-02-26 12:25:19 | (欧州・アジア他) 2000~09

 ・ 時代考証に忠実な英国ラブ・ストーリー。

 18世紀末イギリスを舞台に、資産家の息子と田舎町の娘のラブ・ストーリー。女流作家ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」を当時若干34歳のジョー・ライトが監督し、主演女優のキーラ・ナイトレイをスターに押し上げた作品でもある。

イングランド・ハートフォードシャーに住むベネット家は5人の娘を持つ。夫(ドナルド・サザーランド)は広い視野を持ち娘たちを見守るが、財産相続権のない時代で夫人(ブレンダ・ブレッシン)は、如何に金持ちの男に嫁がせるかに必死になるのも無理はない。

 近くの別荘に資産家の息子ヒングレー(サイモン・ウッズ)が越してくると、娘たちは舞踏会で見染められるかの期待で大騒ぎする。

 ヒロイン、エリザベス役のK・ナイトレイが米アカデミー賞・主演女優賞候補になっただけあって、聡明で凛とした女性を好演。相手役のマシュー・マクアディンは美男子ではないが、舞台俳優らしく手堅い演技。

 巨匠といわれるベテラン監督が手掛けそうな登場人物の多い物語を、2時間余りに纏めたJ・ライト監督はなかなかの手腕。のちにK・ナイトレイを再起用した「つぐない」でも、その実力を発揮して見せてくている。

 女性好みのラブ・ストーリーだが、時代考証を忠実に再現したインテリア・衣装など、美しい田園風景と併せ見所も多いドラマだった。

「ぷりてぃ・ウーマン」(02・日) 75点

2014-02-25 16:59:04 | 日本映画 2000~09(平成12~21)

 ・ 生き甲斐とは?を暗示してくれるハートフル・コメディ。

 「居酒屋ゆうれい」の渡邊孝好監督が、実在のおばあちゃん劇団「ほのお」をヒントにしてハートフル・コメディに仕上げている。

 脚本家を目指して静岡から上京した森下加奈子(西田尚美)は夢破れて帰郷する。森下家のおばあちゃん(淡路恵子)は老人クラブ・ともしび会のリーダー格でしっかり者。加奈子の封筒から「夕空、晴れて」という脚本を見つける。

 おばあちゃん女優群(風見章子、草村礼子、イーデス・ハンソン、正司照枝、絵沢萌子、馬淵晴子)に加え、森下家夫婦に岸部一徳・風吹ジュン、市役所の福士課長と部下に益岡徹・市川実日子と個性豊かな俳優達が脇を固めている。

 さらに津川雅彦、山田邦子、すまけい、佐藤允、ミッキー・カーティス、秋野太作、金子貴俊、石丸謙次郎、蛭子能収など、ワンシーンながらお馴染みの俳優達が見られるのも楽しい。しかも彼らがストーリーから脱線していないのもいい。

 洋画の「フル・モンティ」「ブラス!」や邦画の「ウォーターボーイズ」などと同様納まるところへ納まるストーリーながら、おばあちゃんたちに元気を貰ったのは家族や加奈子だけでなく、この映画を見たヒトたちなのかもしれない。

「アメリカン・ハッスル」(13・米) 75点

2014-02-24 11:55:38 | (米国) 2010~15

 ・ ラッセル・ファミリーの演技合戦を楽しむ。

 <ハッスル>には俗語で<詐欺>という意味があるそうだ。70年代後半、アトランティックシティで起きた「アブスキャム(アラブの悪業)事件」をもとにしたエリック・ウォーレン・シンガーの脚本をデヴィッド・O・ラッセルが共同脚本・監督したクライム・コメディ。

 FBI捜査官に協力要請を受けた詐欺師がオトリ捜査を企て、マフィアと癒着したカムデン市長や上院議員たちを逮捕するまでをユーモアたっぷりに描いている。

 詐欺師アーウィンを演じたクリスチャン・ベイルとその愛人シドニーに扮したエイミー・アダムスは「ザ・ファイター」、FBI捜査官リッチーを演じたブラッドリー・クーパーとアーウィンの妻ロザリンに扮したジェニファー・ローレンスは「世界にひとつだけのプレイブック」のラッセル・ファミリー。その4人に「ハート・ロッカー」のジェレミー・レナーとノンクレジットで大物マフィアにデ・ニーロが加わるという豪華キャストによる演技合戦を楽しむエンタテインメント。

 3月2日発表のアカデミー賞最多部門ノミネートを謳い文句にした作品だけに期待充分だったが、ラッセルらしく肩肘張らないコメディが違和感ある人には全然面白くない138分になりそう。

 C・ベイルは天才詐欺師というには余りにも風貌が冴えない中年男で、若い妻に離婚すると大好きな息子を取られるトラウマを抱えている。この役でまたも体型まで変えるカメレオン俳優ぶりがデニーロ・アプローチと呼ばれたデ・ニーロの後継者でもあり、今回も主演男優賞にノミネートされている。デカプリオとのオスカー争いはどちらに軍配が上がるだろう。

 主演女優賞にノミネートされたA・アダムスは、胸元があいたドレスを身につけた偽英国人役で従来の可憐な演技からの脱却を果たし、年齢相応のバンプ役に挑戦して見事な変身ぶり。

 B・クーパーは切れやすいFBI捜査官で、婚約者がいながらシドニーに想いを寄せる狂言回し役を楽しそうに演じ、J・ローレンスは全てをぶち壊しそうな言動でスクリューボール・コメディのヒロインのように搔き廻してともに助演賞にノミネートされた。

 この4人が全てオスカー・ノミネートされ割を喰った感じのJ・レナーだったが、役でも家族想いでマフィアと繋がらないと貧しい市民は救えないという大義名分からのカジノ・レジャーランド建設に奔走した市長役。出演したなかで一番まともで気の毒な気がしたのは筆者だけではないだろう。

 たった1シーンだけでインパクトがあったのは御大デ・ニーロ。お得意のマフィアのボス役でアラビア語で偽アラブの王族に話しかけるシーンは流石。

 ラッセル監督は、人間の持つ弱みをユーモアたっぷりに描写する中にも愛情を込めて終始一貫訴えている。そのあまり不必要と思われるシーンもあって、テンポの悪さを感じるのは宿命的なもの。それを楽しんで観る人が多ければオスカー受賞も現実になってくる。

 70年代後半にタイム・スリップした音楽・ファッションに懐かしい気分にさせてくれた作品でもあった。

「灰とダイヤモンド」(57・ポーランド) 80点

2014-02-22 17:51:08 | 外国映画 1946~59

 ・ A・ワイダ監督<抵抗3部作>の最高傑作。

 イエジー・アンジェイスキー原作「’45.9.5ドイツ降伏前後4日間のポーランド群像劇」をアンジェイスキーとアンジェイ・ワイダ監督が共同脚本化。降伏当日と翌日の混沌とした状況で、立場の違うポーランド人2人の悲劇を描いている。A・ワイダ監督<抵抗3分作>の最高傑作で、ヴェネチア国際映画祭での批評家連盟賞を受賞している。

 反ドイツの地下運動をしていたマチェク(ズビグニエフ・チブルスキー)とアンジェイ(アダム・パウリコフスキー)はソ連の傀儡政権を倒すために、標的として県党地区委員長のシシュカ(バグラフ・ザストルジンスキー)暗殺を企てる。

 本作はマチェクとバーの給仕クリスチーナ(エヴァ・クジイジェフスカ)の青春ドラマでもあり、シシュカがソ連亡命から帰国した人格者で、マチェクがテロリストである勧善懲悪ドラマであるとも受け取れる。共産政権下、検閲を掻い潜っての上映に漕ぎ付けたA・ワイダの手腕が窺える作りとなった。

 監督自身はのちに「本当の悲劇は、善と善が闘ったときに起きることを描いた」と語っている。その後監督生命の中断を余儀なくされたのは、<西欧では勧善懲悪ドラマとしては評価されなかった>ことの証明か?

 マチェクとクリスチーナが雨の夜、迷い込んだ教会の墓で見つけた碑文にノルヴィトの詩があり、「燃え盛るたいまつのごとく・・・。灰の底には星の輝くダイヤモンド・・・。」というシーンがハイライト。ほかにも<花火>やラスト・シーンなど名場面が多く、後の映画作りのお手本となっている。

 筆者は、時代に翻弄されながらも東欧のジェームス・ディーンと言われたチブルスキーと、美しさが際立つクジイジェフスカの青春恋愛ドラマとして観た。さらにワイダ監督自身<ワルシャワ蜂起>とは無関係に同時代をすごした体験からくる<ポーランド人20万人への鎮魂歌>でもあろう。

「地下水道」(56・ポーランド) 80点

2014-02-21 17:45:21 | 外国映画 1946~59

 ・ A・ワイダ監督の人間愛と祖国愛がほとばしる。

 イエジー・ステファン・スタウィニュスキーの原作・脚本を当時31歳だった若手監督アンジェイ・ワイダが映画化。彼の<抵抗3部作>の2作目でカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した。

 ’44年9月ワルシャワ蜂起のパルチザン部隊中隊長ザドラ(ヴィンチェスワク・グリンスキー)は独軍に全滅の危機に曝され、中央区まで撤退命令を受ける。43名いた隊員も20名に減り、マンホールから下水道を伝って脱出を図ろうとする。悲劇の隊員たちは軍人より一般市民が多く、暗くて異臭が漂う地下道を一緒に行動するのは無理なハナシ。発狂したり単独行動で地上に上がり独軍に射殺されたりする。

 小隊長コラブ(タデウシュ・ヤンチャル)はデイジー(テレサ・イゼウスカ)に助けられながら、光が見える出口らしきところへ到達するが・・・。

 製作した’57年のポーランドは旧ソ連の検閲なくしては映画が作れなかった時期。この映画はポーランド人が見ればソ連が進軍せず、対岸でパルチザン部隊の崩壊を待っていたのが分かるという。それが光の先のヴィスワ河の対岸だった。

 <ワルシャワの悲劇>を題材にした映画は近年では「戦場のピアニスト」があるが、ソ連軍はほとんど描かれていない。

 「悲劇の主人公が揃った。彼らの人生の最後をお目に掛けよう」というナレーションで始まる救いのないドラマだが、A・ワイダの人間愛と祖国愛がほとばしるのを感じる。

「生きものの記録」(55・日) 80点

2014-02-20 17:17:54 | 日本映画 1946~59(昭和21~34)


 ・メッセージ性強い、気鋭の黒澤明作品。

 「核の恐怖」をテーマにした黒澤明監督作品。失敗作とも言われたが、改めて観るとメッセージ性の強い力作だ。

 鋳造所経営の中島喜一(三船敏郎)は妻と2男2女を養い、一家を支える大黒柱。さらに外には3人の愛人を持っている。原水爆の恐怖から財産を処分して全員ブラジルへ移住しようとして、家族から訴えられる。歯科医で調停委員の原田(志村喬)は、不本意ながら喜一を準禁治産者として裁定する。

 戦前から家長制度の名残りを持つ喜一は一家を引き連れようとするが、時代はハイスピードで制度の崩壊へと進んでいた。

 一見滑稽なまでの主人公の言動は当時ビキニ環礁での水爆実験があり、第五福竜丸の放射能汚染直後で日本中が核の恐怖を覚えた時期を考えると、まんざら杞憂ではない。

 黒澤が信頼していた音楽・早坂文雄の遺作でもあり、冒頭からインパクトのある音楽がとても印象的。

 何より驚いたのは従来なら志村喬が演じていた筈の70歳過ぎの老人役を、35歳だった三船が演じて決して不自然ではないこと。のちの娯楽性たっぷりな一連の素浪人役とは違って、幅広な演技振りは一見の価値あり。

 「死ぬのは止むを得ない。だが、殺されるのは嫌だ!」と言った主人公に、周囲が一瞬無言になるシーンが深く心に残っている。

「赤い風船」(56・仏) 80点

2014-02-19 15:32:21 | 外国映画 1946~59

 

・ A・ラモリス監督のシネポエム代表作。

 パリのメニルモンタン街で少年パスカル(パスカル・ラモリス)が見つけた<赤い風船>の映像詩で、カンヌ国際映画賞パルムドール受賞作品。

 3年前「白い馬」でシネポエムというジャンルを切り開いたアルベール・ラモリス監督の代表作で、4年後の長編「素晴らしい風船旅行」のベースにもなっている。

 モーリス・ルルーの音楽に乗って街を漂う<赤い風船>はまるで人間のような意思を持っている。パスカルも雨が降れば傘に入れるなど、親友を得たように振る舞っているところが微笑ましい。モノトーンの街並みや、衣装の人々と対照的な真っ赤な風船が美しい。

 当時難しかったヘリによる空撮で、その映像を見ているだけで心が洗われ癒される36分だ。

「白い馬」(53・仏) 70点

2014-02-19 07:54:48 | 外国映画 1946~59

 

・ シネポエムというジャンルの開拓者、A・ラモリス。

 フランス南部・カマルグ地帯を舞台に野生の馬と少年の交流を描いた短編。カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作品。

 「白いたてがみ」と呼ばれる野生馬のリーダーは、カウボーイたちのターゲットにされる。勇猛果敢なリーダーは、なかなか捕らえられないが少年ファルコ(アラン・エムリー)には従順である。

 アルベール・ラモリス監督は、ジャン=ピエール・グルニエのナレーション以外は台詞を最小限に抑え、モノクロの美しい映像でストーリー展開して、シネポエムというジャンルを切り開いて見せてくれた。野生馬の疾走シーンなど撮影には相当苦労しただろうが、その欠陥を見破られない映像に感嘆させられる。

 主人公の弟役で女の子のような可愛いパスカルは、監督の息子で3年後「赤い風船」の主役となっているので、一緒に見るとその成長ぶりが感じられて楽しみが増す。

 メルヘンなのにハッピーエンドではないのが消化不良に陥るが、幻の映画ともいわれた本作が映画館で上映され、DVD化されるのを喜ぶとともに、多くの人に観てもらいたいと願っている。