男はつらいよ 旅と女と寅次郎
1983年/日本
都はるみの「矢切りの渡し」
shinakamさん
男性
総合 75点
ストーリー 70点
キャスト 75点
演出 80点
ビジュアル 80点
音楽 75点
シリーズ31作目。マドンナ都はるみが殆ど本人の役で出ている。場所は佐渡で、たらい舟や佐渡おけさで郷土色がいっぱい。
都はるみは台詞に難はあるものの、随所で唄うことでカバー。ヒット曲が次々と歌われるが、持ち歌以外のほうが印象に残る。なかでも寅さんとデュエットした「矢切りの渡し」が逸品。
ひと頃より、初期に見られたドタバタ調が目立つ作品だったが、脇役陣の藤岡琢也・桜井せんり・ベンガルが演じているのが懐かしい。北林谷栄や中北千恵子などシリアスな役者でバランスをとっているのだろう。
手馴れた作りながら、ちょっとマンネリ感は否めない。
トリノ、24時からの恋人たち
2004年/イタリア
トリノの街が影の主役
shinakamさん
男性
総合 80点
ストーリー 75点
キャスト 80点
演出 80点
ビジュアル 85点
音楽 85点
トリノ在住のインディペンデント製作者であるダヴィデ・フェラーリオ監督ならではの、映画へのオマージュ。映画好きには堪らないシーンが続出するので、片時も見逃せない。
若い女性アマンダに片思いのマルティーノとアマンダの恋人アンジェロのラブストーリーだが、ネチネチしたところがない。これはヌーベル・バーグのトリュフォー監督「突然炎のごとく」がベースになっている。アンジェロの人物設定はゴダール監督「勝手にしやがれ」のジャンポール・ベルモンドにそっくり。
そして何よりこの映画に欠かせないのは、トリノの街並みとその象徴である国立シネマ・ミュージアムだ。まさに影の主役といえる。
主役の3人はそれぞれ持ち味を出して魅力的。なかでもヒロインのフランチェスカ・イナウディが映画初出演とは思えないノビノビとした演技に好感を持った。
フェラーリオ監督が「国立シネマミュージアムの創設者・マリア・アドリューナ・ブローロと喜劇王バスター・キートンに捧ぐ」思いがバンダ・イオニカの叙情たっぷりな音楽と相まって全編を流れている。ラブ・ストーリーを期待してみると展開が唐突で物足りない。好き嫌いがハッキリする映画でもある。