・ 大人向け実写のラブ・ファンタジーはディズニー起死回生のヒット作。
幼い頃海で溺れたとき助けてくれた人魚の少女が忘れられないNYで青果卸業を営む青年が、ゴッド岬で美しい娘に出逢ったが、その時の人魚だったというファンタスティック・ラブストーリー。
ロン・ハワード監督がトム・ハンクスを起用したディズニーの大人向け実写第1作目で、起死回生のヒット作となった。
E&Tの人魚版と言われた本作。きわどい題材のファンタジー化はリスクの高いものだったが、NY市街地のカーチェイスなどふんだんに製作費を賭けた冒険が見事に実を結んだ。
ギレルモ・デル・トラ原案という今年のオスカー作品「シェイブ・オブ・ウォーター」は本作のリメイクでは?と思わせるほど構成が良く似ている。
主演のT・ハンクスは当時コメディタッチの青年役に定評があり、その愛くるしい眼差しが武器だった。本作では人魚と分かった途端ショックのあまり途方に暮れるなど、頼りないところもありとても人間らしい。
ヒロインの人魚・マディソンを演じたダリル・ハンナは人魚にふさわしい体形と金髪が眩しい。裸体もラブシーンも厭らしさがなく、手掴みでロブスターに噛みつくところなど圧巻の演技。
コメディ・リリーフとなったコーン・ブース博士(ユージン・レヴィ)、兄フレディ(ジョン・キャンディ)の二人が奮闘し、ドラマの推進役としていい味を出してくれている。
R・ハワードとT・ハンクスは「アポロ・13」(95)、「ダヴィンチ・コード」(06)と11年ごとコンビを組み大御所となって行くが、その原型が本作であることが何とも懐かしい。