晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『心のともしび』 75点

2010-06-30 17:24:07 | 外国映画 1946~59

心のともしび

1954年/アメリカ

ジェーン・ワイマン念願のヒロイン

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 75

ストーリー ★★★☆☆70点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆85点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆80点

ドイツの演出家ダグラス・サークがハリウッドで監督したメロドラマ。主演したジェーン・エイマンの熱望で映画化が実現した。同名の布教のためのラジオ番組ではないが、テーマは、失明した未亡人とその原因をつくった良心の呵責を覚えた青年の無償の償い。その想像を超えた無償の愛がスケールアップするたびに気持ちが離れてゆくのを感じた。
それでもD・サークの演出は手抜きせず、ロケ地の美しい風景、こだわりの美術、計算づくの構図などみどころは沢山あった。この作品がヒットしたので、翌年J・ワイマンとロック・ハドソンのコンビで「天はすべて許し給う」を製作している。上流社会の未亡人と庭師という身分違いの恋なので廻りの偏見などストーリーに膨らみを持たせることができ、見応えがあった。のちのジュリアン・ムーア主演で「エデンの彼方に」のお手本となっている。当時のD・サークの評価は芳しくなく、59年の製作を最後にハリウッドから失意のままドイツへ帰ったが、さぞ不本意だったことだろう。半世紀たって再評価されたのはうれしい。


『悲しみは空の彼方に』 80点

2010-06-29 10:41:17 | 外国映画 1946~59




悲しみは空の彼方に


1959年/アメリカ






偽りの人生では幸せになれない





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shinakamさん


男性






総合★★★★☆
80



ストーリー

★★★★☆
80点




キャスト

★★★★☆
80点




演出

★★★★☆
85点




ビジュアル

★★★★☆
80点




音楽

★★★★☆
80点





 メロドラマの巨匠ダグラス・サーク最後のハリウッド作品として評価が高い。ファニー・ハースト原作で、’34クローデット・クロベール主演の「模倣の人生」をリメイク。
 如何にもラブロマンス風の邦題だが原題は「人生の幻影」で、偽りの人生を送ろうとした女優の10年を描きながら俗っぽいラブ・ストーリーとは一線を画している。
 コニーアイランドの謝肉祭でローラ(ラナ・ターナー)とアニー(ファニタ・ムーア)の2組の母娘が出会い、スチーブ(ジョン・ギャビン)という若い男が写真を撮ってくれた。主要な人物5人がいっぺんに登場する冒頭のシーンはなかなか鮮やかで感心させられた。
 ローラはブロードウェイで女優をめざす未亡人。アニーは別れた白人との間にできた娘を抱え、職と住まいを捜している。生まれも肌の色も環境も違う2人は似たような境遇からかウマが合い、同居することに。
 ドラマは華やかなブロードウェイの舞台裏を描きながら大女優を目指すローラとスティーブの関係の深まりを中心に進んでゆく。ローラ役のL・ターナーは相変わらず美しい。ロック・ハドソン似の年下J・ギャビンとのラブ・シーンも、ライティングの工夫のせいか年齢を感じさせない。
 仕事を最優先させたローラはスティーブとは結婚せず娘のスージー(サンドラ・ディ)もアニーにまかせっきり。女優という仕事で愛する人と娘を犠牲にしてきたローラと黒人の母アニーを忌み嫌うサラジェーン(スーザン・コナー)。偽りの人生だと気付いたとき、2人の人生はどうなるのだろうか?後半はアニーとサラジェーンの関係が際立って、ラブストーリーより母娘愛がメインとなる。
 アニーを演じたJ・ムーアのひたむきで節度ある人生感と、ひたすら這い上がろうとするサラジェーン役のS・コナーの演技が光る。
 のちに青春スターとしてブレイクするトロイ・ドナヒューがワンシーン出てくるが、皮肉にも鮮やかな金髪でサラジェーンを思いっきり殴る女性の敵役だったのが印象的。
 マヘリア・ジャクソンのゴスペルが人種差別と物質文明の鎮魂歌として聴こえてくる。






『幸福(1981)』 80点

2010-06-26 10:24:01 | 日本映画 1980~99(昭和55~平成11) 

幸福(1981)

1981年/日本

「相棒」効果で復活した幻の作品

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆80点

市川崑監督が当時人気絶頂だった水谷豊を主演に起用した刑事ドラマ。製作がフジテレビのためTVで短縮版が公開されたあと、ほとんど観る機会がなかった。水谷が「相棒」で復活した効果でDVD化され、CSで完全版が放送されうれしい限り。
白昼、本屋で3人の射殺事件があり被害者のなかに刑事・北(永島敏行)の恋人庭子(中原理恵)がいた。、原作がエドマクベインの87分署だが舞台を80年代の東京に移し、主人公も見事にアレンジされ翻訳ものの感じがしない。原作ではタフガイの主人公の刑事・村上(水谷豊)はTVドラマ「熱中時代」の北野先生風でもあり、妻と別居中で子育てに苦労する等身大の刑事。被害者やその家族と刑事たちの人間模様がドラマの中心となっている。
「おとうと」で絶賛されたシルバー・カラー(銀残し)の映像が時代を切り取ったレトロな感じを醸し出し独特の効果。とくに東京の風景や底辺に暮らす人々の環境は貴重な文化映像である。
市川演出の職人気質は健在で、脇を固める草笛光子、三條美紀、加藤武などどこか「金田一シリーズ」を思わせる。加藤武にあの台詞を言わせるなどサービスカットもあって思わず苦笑い。
市原悦子が生活保護を受ける母親を演じているが、平気でウソをつき、息子を溺愛する姿は30年後のいまも色褪せない。その演技は上手いのひとこと!
娘の恋人を拒否しながらも孤独感に苛まれ、最後は同居を願う父(浜村純)。その妻で、かっとなって娘を置いて家出してしまった無責任な母(草笛光子)。犯人探しは唐突で物足りないが、主人公のダメ親父ぶりとあわせて家族の崩壊ぶりがリアルに描かれていて、家族愛を取り戻せそうなラストシーンに心がなごまされる。


『しあわせのかおり』 80点

2010-06-24 10:26:05 | 日本映画 2000~09(平成12~21)

しあわせのかおり

2008年/日本

ささやかな暮らしの幸せを共感

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆80点

TVドラマで力量をみせながら映画をコツコツと作っていた三原光尋。金沢市大野町を舞台に年老いた料理人とシングルマザーの交流を描いた心温まる人間ドラマ。
小上海飯店をひとりで切り盛りしている王さん(藤竜也)は腕は確かだが無口で無愛想な料理人。「村の写真集」という作品で上海映画祭グランプリを獲ったときのコンビ・藤竜也が、鮮やかな手さばきで作る中華定食がとても食欲を誘って美味しそう。監督自身が中華料理好きで、カメラの芹澤明子が丁寧に撮っているのがその要因。
デパートで出店を勧誘するため通っていた山下貴子(中谷美紀)が、仕事を辞めて弟子入りを志願する。
映画を舞台にした街おこしは尾道・山形など成功例は多いが、これも舞台設定には最適な地方都市に隣接した静かな街並みが、地味だがささやかな暮らしの大切さを共感させてくれる。2人にはそれぞれ病という難関を抱えながら周りの温かい励ましで血縁を超えた絆が生じてくる。
おいしそうな料理、良い人たち、静かな環境で前半は快調な展開だ。ただ中盤、故郷の上海・紹興へ2人が旅するあたりから前半の流れを殺いでしまった。タイアップの弊害からか意味のないPRシーンが続き、この手の作品の難しさを体現したのがもったいない。
中谷美紀は役柄にぴったりで健気な感じが出ていて貴重な女優だ。ただやつれて見えたのは役柄のためだろうか?料理人にはとてもなれそうもない細腕で、後半料理をこなす姿は女優根性を見たが痛々しかった。
王さんの恩人、加賀友禅工房の社長・八千草薫が出てきたあたりからラスト・シーンが想像できたが良くも悪くも期待を裏切らない結末となった。
本当に美味しい料理は「おふくろの味」というが、王さんの<卵とトマトの炒めもの>をいちど食べてみたくなる。


『竜馬の妻とその夫と愛人』 80点

2010-06-23 11:46:42 | 日本映画 2000~09(平成12~21)

竜馬の妻とその夫と愛人

2002年/日本

英雄に関わった凡人たちの葛藤

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆75点

三谷幸喜の舞台脚本を市川準が惚れ込んで映画化した。味の違う2人のコラボレーションが坂本竜馬の妻を巡る3人の男のラブ・コメディをどう融合させるのかが最大の興味。
大河ドラマで再び脚光を浴びている幕末の志士・坂本竜馬。その妻おりょうも竜馬がぞっこんだったのは有名だが、横須賀に墓があるのはあまり知られていない。その横須賀でおりょうの面倒をみたのは、西村松兵衛というのは事実のようだ。
三谷脚本は松兵衛(木梨憲武)を主人公に、おりょう(鈴木京香)の妹と結婚した海軍中佐・菅野覚兵衛(中井貴一)、竜馬似のテキヤ・虎蔵(江口洋介)という竜馬の呪縛から離れられない3人が可笑しくも哀しい男心を繰り広げる。
テンポのある台詞の応酬でドラマを盛り上げる三谷脚本は映画でも活かされていて、松兵衛と覚兵衛の襖の影でのやりとりが舞台劇そのもので木梨と中井のコンビは絶妙の漫才のよう。アドリブを大切に使う市川演出とも波長が合っている。
ただ、引きで長回しの人物描写が特徴の市川映像とは馴染めず、浮いてしまった。寂れた長屋の日常風景もテンポを狂わせ、原作に気遣いし過ぎたのが要因か?思い切って市川作品を前面に出して欲しかった。
ハナシはとても面白く、4人の俳優も好演しているが、音楽もチグハグでトータル・バランスに欠けてしまった。
木梨の台詞は、21世紀の日本語で聴かせどころの自分で考えたというセリフも明治を忘れてしまって月9のドラマのよう。おりょうの鈴木京香は如何にも男好きな雰囲気で実際こんなヒトだったのかもしれない。


『翼よ!あれが巴里の灯だ』 80点

2010-06-22 11:08:55 | 外国映画 1946~59




翼よ!あれが巴里の灯だ


1956年/アメリカ






B・ワイルダー苦心のアドベンチャーもの





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shinakamさん


男性






総合★★★★☆
80



ストーリー

★★★★☆
80点




キャスト

★★★★☆
85点




演出

★★★★☆
85点




ビジュアル

★★★★☆
80点




音楽

★★★★☆
80点





笑いとペーソスの名手ビリー・ワイルダーが、初の大西洋単独飛行に成功したチャールズ・A・リンドバーグの自伝をもとに、ウェンデレ・メイスと共同脚本化したアドベンチャーもの。主人公リンドバーグにアメリカの良心ジェイムズ・スチュアートが演じ、好評を博した。
’27、有名なこの出来事は25000ドルの賞金争いで、飛行士にとって英雄となれる絶好のチャンス。命がけの冒険で既に6名の犠牲者が出ている。25歳の郵便飛行士が果敢に挑み、成功するまでの感動の物語。寒さや睡魔と闘いながら孤独な33時間半の飛行をともにしたような気分になる。
どちらかというと、単独飛行にこぎ着けるまでのスポンサー集めや飛行機調達までのハナシが面白い。B・ワイルダーは、後半の飛行中の単調な展開を補うため回想シーンを随所に折り込んで、一味違う人間賛歌のストーリーを仕立て工夫している。サスペンダーのセールスマンや飛行機会社マホニーとの出会いなど得意のウィットに富んだ挿話も健在。
アクロバット飛行など苦心の撮影で20か月の製作期間もかけたにもかかわらず興行はかんばしくなかった。J・スチュアートが実年齢と12歳も違うリンドバーグを演じるにあたってたいへん努力して役を獲得したことが話題の中心となってしまっている。
それなりに楽しめた103分だったがB・ワイルダーのいつもの切れ味には及ばず、悔いの残る作品。いまのように撮影技術が進歩していれば、工夫の余地はあっただろうがこれだけは止むを得ない。






『イージーライダー』 80点

2010-06-20 16:30:35 | 外国映画 1960~79

イージーライダー

1969年/アメリカ

自由を探し求めた2人のロード・ムービー

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆75点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆85点

デニス・ホッパー、ピーター・フォンダの2人が製作したアメリカン・ニューシネマ。監督はD・ホッパー、脚本はP・フォンダだがアウト・ラインだけ決めニューオリンズのカーニバルの撮影に入ったとか。約10分のこのシーンが偶然の産物ながら何とも妖しい雰囲気を醸し出していて面白い。脚本にテリー・サザーンと撮影にラズロ・コバックスが加わって作品としてまとまったが、そうでなければこの名作は完成しなかっただろう。
ドラッグの密輸で大金を手にした2人は腕時計を外してカリフォルニアからニューオリンズを目指す。名前はビリーとキャプテン・アメリカでハーレーの改造車にまたがった自由探しの旅である。馬をバイクに変えたガンマンの物語とも言える。
途中出会ったさまざまな暮らしの人々。ネイティブと家族を守る敬虔なクリスチャン、ヒッピー・コミューンいづれも2人には居心地は良くない。
快適な旅のはずが異様な風体の2人に土地の人々は冷たく、食事も宿も不自由なのが何とも皮肉である。
唯一気が合ったのはジャック・ニコルソン扮する飲んだくれの弁護士で階級社会からはみ出た人間。3人が焚き火を囲みながら語る、自由についてがこの映画のテーマだろう。
J・ニコルソンのイキっぷりは本物を使用していたというが、いまでは考えられない。改めて時代を感じる。
「ワイルドで行こう」をはじめとするロック・ミュージックをBGMに使用したのは珍しく、画期的なこと。アメリカン・ニューシネマの最高峰といわれたが、3人の行方はその消滅とともに70年代のアメリカが証明してくれる。


『薔薇のスタビスキー』 75点

2010-06-19 13:17:22 | 外国映画 1960~79

薔薇のスタビスキー

1974年/フランス

ジャン・P・ベルモンド渾身の演技 

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 75

ストーリー ★★★★☆75点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆75点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆75点

ジャン・ポール・ベルモンドが、30年代フランスの社交界で活躍した投資家スタビスキーを主人公にした人間ドラマを製作・主演している。冒頭、「この映画はフィクションであり、実在の人物とは関係ない」というクレジットが入っていて、映画化には反対があったのだろう。ベルモンドは、よほど想い入れがあったらしく実現にこぎつけた。実年齢より若くて野心家の詐欺師をスタイリッシュに演じている。
劇場や新聞社を買収した実業家スタビスキーの5億フラン債券詐欺事件は、担保の宝石が盗品や模造品であったことがきっかけで、政治を巻き込んだスキャンダルになってゆく。物語は、フランスでは有名なこの事件を周知のこととして省略がなされていて少し分かりにくい。アラン・レネ監督独特の演出が輪をかけているので、予備知識が必要だ。
スタビスキーと似合いの豪華な宝石を身につけた妻・アルルッテ(アニー・デュプレー)と共同経営者ラオール男爵(シャルル・ボワイエ)が脇を固めているが、あくまでJ・P・ベルモンドの魅力満載のワンマン・ショーだった。


『酔いどれ天使』 85点

2010-06-18 15:00:07 | 日本映画 1946~59(昭和21~34)

酔いどれ天使

1948年/日本

若さ溢れる黒澤・三船の初コンビ作品 

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 85

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆85点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆85点

邦画史上の名コンビ黒澤明×三船敏郎が初めて実現した記念碑的な作品として名高い。黒澤38歳、三船28歳のときで、良くも悪くも若さが画面に溢れるほど。戦後3年しか経っていない混乱期に作られたというだけで感動的である。
反骨心のある貧乏な酔いどれ医者(志村喬)と肺結核を患う若いヤクザ(三船敏郎)との奇妙な交流をとおして不条理な人間社会を描いた人間ドラマ。
舞台は都会の闇市のある街でメタンガスが漂うどぶ池が象徴的。黒澤監督は戦後社会に順応できず虚勢社会に流れて行く若者に警鐘を鳴らすためにこの作品を書いたが、幼馴染みで共同脚本の植草圭之助は落ちぶれて行くものの哀しみを描きたく対立したという。結果は三船のエネルギッシュなバイオレンスとニヒリズムが絶賛され黒澤の計算を超えた評判となって大ヒットして、俳優三船が3作目にして花開くきっかけとなった。志村と三船のコンビは「野良犬」へとつながってゆくが、名優志村を脇へ追いやることとなる。
公開時4歳だった筆者は勿論リアルタイムで観たはずもなく、のちのリバイバルで知ったが戦後風俗を微かに記憶している自分にはその迫力が本物に見えた。
時代のエキスパートたち(伊藤武夫・撮影、松山崇・美術、早坂文雄・音楽など)が如何に素晴らしかったかを再確認した作品でもある。
女学生(久我美子)とヤクザの対比、郭公ワルツが流れる街をさ迷う三船、兄貴分・岡田のギターによる登場の仕方、滑稽なほどリアルなペンキまみれの殺し合い、ブギの女王・笠置シズ子の「ジャングルブギ」など話題にこと欠かない名シーンが続出なのでワクワクして観た。
作品の出来をいえば後の黒澤作品の完成度には遠く及ばないが、映画ファンにとって必見の作品であろう。


『青いドレスの女』 75点

2010-06-16 12:30:24 | (米国) 1980~99 

青いドレスの女

1995年/アメリカ

40年代のロスの街並みの再現が見どころ

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 75

ストーリー ★★★☆☆70点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★☆☆70点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆75点

ウォルター・モズレイ原作の「イージー・ローリングシリーズ ブルードレスの女」を、ジョナサン・デミが製作し、カーール・フランクリンによる監督・脚本作品。機械修理工だったイージー(デンゼル・ワシントン)が殺人事件に巻き込まれ、容疑者になりながら真相に迫るサスペンス。犯人捜しより、当時のロスの人種差別や黒人同士の連帯感が描かれ、どうして殺人事件が起きたかが焦点となっている。
売り出し中のD・ワシントンを主演に起用しナレーションまで務め大奮闘にもかかわらず、失敗作となってしまいシリーズ化もならなかった。それでもエルマー・バーンスタインの音楽をバックに映し出された40年代のロスの街並みはセットとは思えないほどの見事な雰囲気。当時の車がフンダンに出てきてカーマニアには必見だ。
青いドレスの女に扮したのは、フラッシュ・ダンスで印象的なジェニファー・ビールス。残念ながらミスキャスト。いまなら理想のキャスティングはスカーレット・ヨハンソンだろうか?
ストーリーは魅力的だが、とにかく名前が沢山出てきて顔と一致しないのがつらい。
共演者ではテキサスの助っ人マウス役のドン・チードルの<はじけっぷり>が面白い存在で、シリーズ化されていたら当たり役になったのでは?