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晴れ、ときどき映画三昧

「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」(02・米) 80点

 フランク・W・アバクネイルの自伝小説「世界をだました男」をスティーヴン・スピルバーグ監督、レオナルド・ディカプリオ、トム・ハンクスの共演で映画化。
 ’68年、NYブロンクスヴィルに住む16歳の高校生フランクJr(R・ディカプリオ)が、両親の離婚をキッカケで家出。生活のため小切手詐欺に手を染めるが上手く行かない。パイロットに成りすますことがキッカケで成功するのを手始めに医師・弁護士として偽名を使いFBI捜査官カール(T・ハンクス)との追走劇が繰り広げられる。
 昔から偽名を使った詐欺事件の映画は数多くあって楽しませてくれている。筆者は「チャップリンの殺人狂時代」(47)、「スティング」(73)、「ペーパー・ムーン」(73)などが好みだが邦画では「クヒオ大佐」(09)が本作によく似ている。
 事実だがウソのようなストーリーは魅力的でダスティン・ホフマン主演で過去にも映画化の話があったという。
 スピルバーグはコメディタッチやシリアスなクライム・サスペンスにもなそうなハナシを大筋は変えないものの、16歳の少年が何故大胆な詐欺行為をしたかを追いながら<帰る家のない自分の居場所探しをする男のビター・スイーツな人間ドラマ>として描こうとジョニー・デップの起用を考えていたという。
 フランクJrを演じたディカプリオは当時20代後半で流石に16歳には見えないが、両親とくに父親に憧れを抱いた純粋な少年の面影を巧みに演じ見事期待に応える主人公になりきっていた。
 FBI捜査官カールに扮したT・ハンクスはスピルバーグ作品には4度目の出演。オーバーな演技が裏目に出ることもあるが、本作では離婚して独り身の捜査官を渋い受けの演技で支えている。
 フランクJrの愛する父親フランクにはオスカー俳優クリストファー・ウォーケンが出演し、息子の人格形成にはこの父がいたからだと納得の存在感を魅せ、オスカー・ノミネートも納得の演技だった。
 また後に「魔法にかけられて」(07)でブレイクし売れっ子女優となっていくエイミー・アダムスが新人看護師役で初々しい姿を見せてくれているほか、「アメリカの夜」(73)のナタリー・バイが浮気をごまかす母親を巧みに演じているのも目を惹いた。
 最近ヤンキースの縦縞のユニフォームは元気がないが、昔から<馬子にも衣装>といわれるとおりエリート階級の制服には騙されやすい。
 IT時代の今、小切手詐欺よりもっと大がかりな詐欺事件が横行しているに違いない。そんなテーマの作品も垣間見えるが、名作が生まれるのを期待したい。
 
 
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