晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『プレステージ』 85点

2007-06-16 08:40:59 | (米国) 2000~09 

プレステージ

2007年/アメリカ

C・ノーランらしく一筋縄ではない

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 85

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆85点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆80点

「メメント」「インソムニア」のクリストファー・ノーランがクリストファー・プリースト原作「奇術師」を監督、実弟ジョナサンと共同脚本化した。
19世紀末のロンドンで競い合ったマジシャン、アンジャー(ヒュー・ジャックマン)とボーデン(クリスチャン・ベール)が命懸けのトリックに挑んだ物語。
生まれも育ちも違う2人がマジックの花形「瞬間移動」にどの様にアプローチしたかが対比されながら、終盤になるまで種明かしがないので興味深々。
それにしてもストーリーの持って行き方がC・ノーランらしく一筋縄ではなく、伏線も無駄がないのに感心させられる。「映画そのものをトリックに」という企画意図が全編に盛り込まれていて面白い。
共演者ではマイケル・ケインが、如何にもこの時代を生き抜いたスペシャリスト役の渋い演技で光っていた。久し振りのデヴィット・ボーイも、この映画でキーとなる実在の科学者、ニコラ・ステラ役で登場し、存在感を見せている。
それに対し、2人のマジシャンの間に揺れるアシスタント、オリビア役のスカーレット・ヨハンソンは、ファッション・ドール的で見せ場が殆ど無く期待外れ。
ラスト・シーンが少し物足りなかったが、これ以上説明すると奇想天外過ぎてガッカリするのを配慮したのだろう。


『情婦』 85点

2007-06-08 17:18:42 | 外国映画 1946~59





情婦


1957年/アメリカ






法廷ミステリーの最高傑作





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shinakamさん


男性






総合★★★★☆
85



ストーリー

★★★★☆
85点




キャスト

★★★★☆
85点




演出

★★★★☆
90点




ビジュアル

★★★★☆
85点




音楽

★★★★☆
80点





アガサ・クリスティの原作「検察側の証人」をビリー・ワイルダー監督で映画化。タイロン・パワー、マレーネ・ディートリッヒ主演による法廷ミステリー。
病後のロバーツ卿(チャールズ・ロートン)のもとへヴォール(タイロン・パワー)が殺人容疑の弁護を依頼にくる。唯一の証人がドイツ人妻のクリスティーネ(マレーネ・デートリッヒ)のみ。エンド・クレジットで「結末は決して人には話さないで下さい。」とあるように、終盤で二転三転のどんでん返しに舌を巻く。
ウィットに富んだロートン卿と付き添い看護士(エルサ・ランチェスター)のヤリトリは最後まで続き、如何にもB・ワイルダー監督らしくこの映画の隠し味ともなっている。
M・デートリッヒの謎めいた人物像もミステリー性をより高めていて大好きな映画のひとつだが、何度も観たい映画ではないのが残念!






『あるスキャンダルの覚え書き』 85点

2007-06-08 11:08:33 | (欧州・アジア他) 2000~09

あるスキャンダルの覚え書き

2006年/イギリス

孤独と老いを超えた女のサガ

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 85

ストーリー ★★★★☆85点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆85点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆80点

英国ベストセラー小説を「アイリス」のリチャード・エア監督とジュディ・デンチ主演コンビで映画化。老いと向き合い、孤独に耐えながら決して挫けない女のサガを掘り下げた佳作。
定年まであと1年、セント・ジョージ校の歴史教師バーバラ(J・デンチ)は美しい新任美術教師シーバ(K・ブランシェット)を見て、孤独な自分を癒して行く。一方シーバも一見平穏な家庭生活を送りながらも、満たされない日々の隙間から15歳の教え子と関係を結んでしまう。
2人の思惑が絡み可笑しな友情が存在して、物語はクライマックスへと進んで行く。
現実離れをしていそうな展開ながら、原作の人物設定がきめ細かく、2人の演技力が伴って観るものを納得させてしまう。バーバラが持つ少女趣味的な性分が、金星のステッカーやシーバの金髪を貼り付けた日記に表れていて何とも孤独。
R・エア監督は、バーバラの日記をナレーションで読むことでサスペンスタッチの展開に拍車を掛けていて、確かな手腕を発揮している。ご本人が気に入ったかどうかは疑問だがバーバラ役はJ・デンチ以外考えられない最高のキャスティング。K・ブランシェットの共演を得てさらにエンターテインメント性が加算された。K・ブランシェットは、美しいけれど決して賢明ではなく本能的に弱さとしたたかさを併せ持つ役を見事に演じている。
大別して女性は何れかのタイプに当てはまるとすれば、男は女の生きる強さに脱帽せざるを得ない。ラストシーンがこの映画を象徴していて秀逸!


『千利休 本覺坊遺文』 80点

2007-06-01 13:45:50 | 日本映画 1980~99(昭和55~平成11) 




千利休 本覺坊遺文


1989年/日本






映像美に挑んだ熊井啓





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shinakamさん


男性






総合★★★★☆
80



ストーリー

★★★★☆
80点




キャスト

★★★★☆
90点




演出

★★★★☆
85点




ビジュアル

★★★★☆
85点




音楽

★★★★☆
80点





 千利休没後400年を記念して井上靖の原作を熊井啓監督で映画化。ヴェネチュア国際映画祭銀獅子賞受賞作品。
 利休(三船敏郎)が没後27年が経ち、ソバに仕えた本覺坊(奥田英二)が織田有楽斎(萬屋錦之助)に請われ秀吉(芦田伸介)に切腹を命じられた理由を解き明かそうとする。
 歴史上の謎を解くことにより、戦国時代を生きた茶人と武将の死想感を丁寧に描いている。女優が一切登場せず、合戦は馬の疾走する場面だけという構成や四季の自然を俯瞰で撮る映像美は、熊井監督が尊敬する黒澤明作品では?と思わせる程素晴らしい。
 豪華キャストで同一画面に登場するシーンはないが、利休役の三船敏郎と有楽斎役の萬屋錦之助の存在感が画面を圧倒している。今では、あらゆる点でこんなに贅沢な時代劇は作れそうもない。






『カクテル』 75点

2007-06-01 11:40:25 | (米国) 1980~99 

カクテル

1988年/アメリカ

T・クルーズの青春ラヴ・ストーリー

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 75

ストーリー ★★★☆☆70点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆75点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆75点

野望を抱いた青年がNYでバーテンダーから身を起こし挫折を味わい真の愛を得るラヴ・ストーリー。
トム・クルーズの溌剌としたバーテンダー・テクニック、バスケットの特技がフンダンに散りばめられている。封切り時(’88)の日本はバブル最盛期で、T・クルーズ扮するブライアンは欲しい物があれば一直線に突き進むヒーロー的存在だった。その反面教師がバーのオーナー、ダグ(ブライアン・ブラウン)。絶えずブライアンの一歩先を歩み栄光を掴みながら、最後はあっけなく自滅して行く。
当時の若者に教訓的な映画だった。