晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『砂漠の流れ者』 85点

2011-03-29 16:21:23 | 外国映画 1960~79

砂漠の流れ者

1970年/アメリカ

西部劇風ロマンティック・コメディ

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 85

ストーリー ★★★★☆85点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆85点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆80点

「ワイルド・パンチ」でバイオレンス・アクションの先駆者と言われたサム・ペキンパーの西部劇風ロマンティック・コメディ。本格的西部劇の全盛時代が終わり、西部を舞台にした人間ドラマへ転換しつつあった頃の作品。探鉱試掘で砂漠を旅する男が裏切られた仲間に復讐するため駅馬車の中継所を造り再会を待つ。
出てくる人物のキャラクターがキッチリ描かれていて脇役まで行き届いた演技がされているのに感心。出演者がかなり地味なため興業的には失敗作で公開時話題にもならなかったが、のちに評価が上がって再公開された所以が分かる小品ながら傑作である。
主演の人間臭い男、ジェソン・ロバーズと娼婦ながら可愛いレディのステラ・スティーヴンスのヤリトリがとてもほのぼのしていて、大人のラブ・ストーリーを醸し出している。2人に絡むインチキ牧師役デイヴィッド・ワーナーが飄々としていい。3人ともこんなにいい俳優だったかと見直したほど。
ペキンパーはカットバック、スロモーションを多用したコメディ・タッチと2人の唄をBGMに取り入れたミュージカル・タッチを交えながらの多彩な画作りもスムースで違和感はない。時代に取り残された男の終盤の展開も哀愁があって、思わぬ拾い物をして得した気分になった。


『熱海殺人事件』 70点

2011-03-28 15:47:35 | 日本映画 1980~99(昭和55~平成11) 

熱海殺人事件

1986年/日本

舞台向きなブラック・ユーモア

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shinakamさん

男性

総合★★★☆☆ 70

ストーリー ★★★☆☆70点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★☆☆70点

ビジュアル ★★★☆☆70点

音楽 ★★★★☆80点

’73初舞台以来何度も上演された、つかこうへいの代表的戯曲の映画化。
警視庁のお騒がせ、くわえ煙草の伝兵衛こと二階堂部長刑事が担当する殺人事件は世間を騒がせるような一流でないと気が済まない。単純な動機の殺人事件を立派な?事件に仕立てようとする。13年経ってもその斬新さは失っていないが、独特のブラックユーモアはやっぱり舞台向きで映画化には無理がある。つかこうへい自らのシナリオにこの作品が初監督の高橋和男が気を遣いすぎたのか俳優の熱演が浮いてしまって空回り。
大物・仲代達矢を始め俳優達が真面目にやればやるほど冷めてしまい、ついて行けない。常連・風間杜夫のハイテンションぶりと志穂美悦子のビルからビルへ飛ぶ見せ場のアクションが用意されているが、3人の絡みの面白さが出ていない。大滝秀治・コント竹田クンの独特の存在感も全体の流れにつながらなかった。やはり、舞台の最前列でリラックスしながら出演者たちの大奮闘を味わう快感には及ばない。


『幕末』 75点

2011-03-24 16:22:13 | 日本映画 1960~79(昭和35~54)

幕末

1970年/日本

良くも悪くも重厚な錦之助・竜馬

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 75

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆90点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆80点

中村錦之助の独立プロが作った幕末の英雄・坂本竜馬の物語。監督・脚本は伊藤大輔で、重厚な演出が目立つ本格時代劇。
5社協定で縛られていたスターの専属が解禁され錦之助・吉永小百合・三船敏郎・仲代達矢という豪華キャストによる夢の共演が魅力。
幕末の志士たちは30歳前後だが錦之助を始めかなり貫録がありすぎるのが難。錦之助の竜馬と後藤象二郎の三船が画面いっぱいに映ると大政奉還はもう実現したかのよう。この作品のハイライトは天下国家を熱く語る竜馬と中岡慎太郎(仲代達矢)。良くも悪くも自分の世界にのめり込む錦之助をどちらかと言うと同質の仲代が受け身の演技で支えている。土佐藩は上士と下士(郷士)の差が未だに残る独自の階級社会。そのシーンを描いた冒頭はなかなかいいシークエンスで期待が膨らんだが、竜馬が現れた途端、雰囲気が重くなってしまった。若い可憐なお龍役の吉永小百合が一服の清涼剤。


大震災と自分の生活

2011-03-23 18:52:33 | 2010.07から東北大震災直後までの日誌
今朝は7時台に大きな余震が2回あった。まだまだ気が抜けない。福島原発も依然危険な状態だ。その影響か野菜・牛乳・水と食生活に欠かせない必需品に放射性物質が検出され、毎日の生活にかかわる情報が飛び交っている。
こんなときにゴルフをするのは不謹慎かもしれないが、敢えて予定していた地元のゴルフ場へ。ゴルフ仲間のMさんと一緒。久しぶりに同じ組になったNさん。消防士のTさんが加わり和気あいあいのプレイだった。昼休みは地震・原発のハナシになり、大震災が抜け切ることはなかったが自分の生活を早く取り戻す必要も感じた。予定の計画停電が中止になったにもかかわらず限定メニューで節電も徹底していた。ゴルフ場も影響が大きいようで、平常に戻るには大分時間が掛かりそう。
選抜高校野球が始まった。高校生の懸命なプレイは平常に戻るためのキッカケになれればいいが...。
プロ野球の開幕日がなかなか決まらない。節電中の今、時期尚早であることが大きな要因だが球団の経営事情が優先されることのないよう、開幕日の決定を待ちたい。

『乱』 80点

2011-03-21 16:49:46 | 日本映画 1980~99(昭和55~平成11) 





1985年/日本






黒澤の「人類への遺言」は?





プロフィール画像

shinakamさん


男性






総合★★★★☆
80



ストーリー

★★★★☆
80点




キャスト

★★★★☆
80点




演出

★★★★☆
80点




ビジュアル

★★★★☆
90点




音楽

★★★★☆
90点





戦国武将・毛利元就<3本の矢>の逸話をヒントにしてシェイクスピアの「リア王」をもとにした黒澤明最後の時代劇。監督自ら「ライフワークで、最高傑作」というほど自己の世界観を描いた162分渾身の作。
一文字秀虎(仲代達矢)が七〇歳を迎え当主の座を太郎(寺尾聰)に譲り、二の城城主・次郎(根津甚八)三の城城主・三郎(隆大介)が支えるように申し渡す。それがもとで親子・兄弟の壮絶な骨肉の争いとなる。歌舞伎・能狂言を思わせる極限の映像美(色・美術・衣装・風景)を飽くなく追及した黒澤の集大成だ。
いっぽう秀虎の仲代を始め狂阿弥のピーターがデフォルメされ過ぎていて人間を描けなくなった観念的な作品でもある。顔のアップを殆ど使わず自然のなかに漂う人間たち。これは長年のパートナーである脚本家・小國英雄の途中降板が多分に影響しているのだろう。
「人類への遺言」であると監督がいう世界は、神仏に見放されてもそれが人間の営みであるという厭世感が満ち溢れている。僅かな救いは次郎の正妻・末の方(宮崎美子)の仏を信じる姿。
相変わらず迫力ある合戦シーンや城の炎上も壮絶というより美しい絵巻を観るようだ。武満徹の音楽は日本が誇る緊張感溢れる音色で芸術の域に達している。






大震災とスポーツ

2011-03-18 17:50:41 | 2010.07から東北大震災直後までの日誌
昨日は少し余裕ができ、久しぶりにミステリー・チャンネルを観る。観終わった途端に震度3の余震。1時間後も同じ規模の余震があった。緊急予報速報のチャイムが鳴るたびに緊張感が走るのはまだまだ続きそう。
大震災から1週間が経ったが、震災地のライフラインがなかなか復旧しない。高速道路がなんとか通じ、電力が復旧しつつあるが、救援物資もまだ行き渡っていない。雪の風景を観るたびに心が痛む。
そんななか、セリーグが予定どおり開幕するという。昨日も思ったが時期尚早である。せめて1カ月経過して計画節電が軌道に乗るまではやるべきではない。東京ドームの使用電気・観客動員を考えただけで非常識では?高校野球は今日中に開催の是非が決まるようだ。救いは甲子園開催で被災した県を励ます意味もあり大分事情が違う。
今日から開催中のPGAツアーでは今田が選手ロッカーに1バーディ1000ドル寄付のメッセージを掲示したという。初日はバーディなしだったが、ちなみに石川は4バーディで4000ドルに相当する。プロ野球選手も西武の選手が募金活動していたが、金額の多寡ではなく心がこもった励ましになるに違いない。とかく売名行為と思われがちなこの種のことは、気にせずにやって欲しい。
大リーガーではイチローが1億円、松井秀のアスレチックスがマリナーズ戦の入場者一人当たり8ドル寄付、松阪が募金呼び掛けなど積極的な活動ぶりが伺えた。

生兵法は大怪我のもと

2011-03-17 11:52:25 | 2010.07から東北大震災直後までの日誌
今日はあまり大きな余震はなく地震発生後初めて熟睡できた。
いま最大の危機は原水の放射能物質漏れ対策だろう。諸々情報が錯綜しているが、混乱のもとは政府の対策本部と東電の足並みの乱れだろう。初めは東電・安全対策本部の情報が噛み合わなかったが、政府が乗り出してますます混乱に拍車を掛けてしまった。ここは役割分坦をしっかり認識してこの重大問題に取り組んで欲しい。首相が現場を呼びつけたり乗り込んだりするのは最悪。東工大出でちょっぴり知識があるからといって、むやみに発言するのではなく、もっと高い次元での判断が最高責任者の役割なのだから。まさに<生兵法は大怪我のもと>である。
いま自衛隊のヘリが空から7.5トンの水を4回投下している。これを100回やらないと冷却効果が出ないという。地上からの放水準備ともども終わりが見えない懸命の作業が続いている。
現在の環境は2重3重苦の状況だ。みずほ銀行のATMシステムが半日機能せず、鳥インフルエンザが地元千葉でも発生、宮崎のJRAの馬が伝染病で死亡、新燃岳の噴火もまだおさまっていない。日本列島が汚染されてしまっている。こんななか、野球界は選抜高校野球は実施する予定で準備中、プロ野球はパリーグが延期の方向・セリーグが実施の方向でまだ正式決定していない。選手会はやれる状況ではないと言っている。元気づけるためにやるにはまだまだ時期尚早だろう。読売の意向だけで無理強いは世間を無視したことになる。

ガソリン不足

2011-03-16 11:47:53 | 2010.07から東北大震災直後までの日誌
昨夜の計画停電は6時20分から9時過ぎまで約3時間だった。久しぶり夜間の停電だったが、携帯ラジオを聴きながらじっとしていた。その間余震と思われる地震が2回ほどあったが、震度のわりに恐怖感が大きいことを実感した。10時の静岡東部地震は、東北とは関連がないということで一安心だが、もし停電中だったら不安感が増したかも。
10時半から歯医者の予約があって開業中とのこと、迷ったが行くことにした。驚いたのは最寄りのガソリンスタンドが長蛇の列だったこと。先週ガソリンを入れたばかりなのでこんな状態とは想いもよらなかった。食糧・乾電池などスーパーの棚が空になっているのは認識していたが、オイル・ショックと同じ状況だ。必要不可欠なもの以外は買いだめや無駄遣いを戒めたい。

危機管理とは?

2011-03-15 15:29:49 | 2010.07から東北大震災直後までの日誌
余震は大分少なくなったが、まだまだ気が許せない。
仙台は7年前、ワイフと旅行したところで思い出も多い。4月の桜が満開で温泉と蔵王が眺望できるゴルフ場や松島の風景も忘れられない。今回の震災で旅行者が被災して避難所で足止めのひとも多いと聞く。決して他人事とは思えない。今回も感じるのは日本人の民度が素晴らしく高いということ。世界のメディアが絶賛している。被災者の方々の忍耐強さは、涙なくしては見られない。計画停電にしても皆整然とルールを守って対応している。それに比べると政府の危機管理能力の頼りなさは予め危惧したどおりで、なんともモドカシイ。
人命第一で全力をあげて対応すると言いながら、全てが後手に回ってしまっている。もちろん未曾有の大震災なので誰がやってもこうなるかも?と思うが、福島原発の対応は国家の危機にもかかわらず一体感がまるっきり見えない。メンツに拘らず「非常事態宣言」をして危機的状態を一刻も早く脱する体制をとることが何故できないのだろう。リーダーの資質を疑わざるを得ない。官庁・地方行政がいくらしっかりしていてもリーダーにその度量がないのではハナシにならない。黙々と非難する原発付近の住民、いまでも孤立して救助を待つ人々。とても胸が痛む。

計画停電、そして巨人VS阪神戦

2011-03-14 20:47:55 | 2010.07から東北大震災直後までの日誌
今日から計画停電に入るという。地元・八千代市は第1グループか第2グループかが分かるのは東電のホームページからだけだ。結局我が家は第2グループと判明。9:20~13:00と18:20~22:00の予定。今現在停電はないが、混乱は避けられそうもない。自分で防衛するしかなさそうだ。
10時2分の余震は震度4だった。かなり揺れたが緊急地震速報を聴いていたので心構えがあって比較的落ちついて対処できた。
ゴルフWGCキャデラック選手権・石川遼は最終日78と崩れ42位Tへ落ちた。4日間持続できる体力・技術が不足していたという去年の全米プロと同じコメントを残さざるを得ない悔しさ。日本の地震を知って自分ができることは頑張ることで元気づけたいという気持ちも空回りしてしまった。
巨人VS阪神のオープン戦が岐阜で開催された。試合は2対2で引き分けたが、福島出身の鈴木尚がヒットを打ったのが何よりの励み。
結局、計画停電は5時から6時半まで一部実施されたのみだった。交通機関の大混乱もあり決してスムーズに行われたとは言えなかった初日だったが、被災地のことを想うと皆なで協力する以外になさそう。いつまで続くか分からないが止むを得ない。