・生い立ちとクロスオーバーするR・フェニックスの青春ドラマ。
社会派監督シドニー・ルメットが逃亡生活している家族愛を描いたナオミ・フォナー原作・脚本により映画化した感動のドラマ。
クリスティーン・ラーチ、ジャド・ハーシュが両親に扮し、17歳の長男を演じたリバー・フェニックスが好演、オスカー助演男優賞にノミネートされた。
70年代反戦活動家だった両親はベトナム反戦活動中ビル爆破で犠牲者を出し逃亡生活を送っていた。
長男ダニーは2歳から生活をともにしてニュージャージーの小さな町で音楽の才能を認められるが、その出仕から未来は思うようになるはずもなかった。
ダニーを演じたR・フェニックスは「スタンド・バイ・ミー」(86)のクリス役で注目されたが本作の瑞々しい演技で<ジェームズ・ディーンと並ぶ永遠の青春スター>として強烈な印象を残している。
R・フェニックスは10歳でデビューしているが、幼い頃両親がカルト宗教団体「ファミリー・インターナショナル」に入信していてその布教活動で南アを転々としている。
まるで本作同様、両親の主義主張から子供たちがその犠牲になってしまう家族の在りようが実体験であったのだ。
その生い立ちからくるのか?甘いマスクのなかにどこか寂寥感が漂いダニーの役柄にオーバーラップしてくる。
恋人役ローラに扮したマーサ・プリンプトンともお似合いで実生活でもラブラブだったが長続きはしなかった。
実生活では薬物使用過多により23歳の若さで亡くなってしまったリバーだが、4歳離れた弟のフォアキンが今や演技派の大スターとなって見事に彼の業績を引き継いでいる。本作で10歳の弟ハリーはその後どのような生活を送ったのだろう。
’70年代エネルギッシュな社会派として鳴らしたS・ルメット監督は、感動のラストシーンとともに枯れた演出で一家の未来を託す作品に仕上げている。