晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

「ライ麦畑で出会ったら」(15・米 )70点

2019-02-27 12:01:51 | (米国) 2010~15


・ 大人になるまえのキラキラした時代を切り取った青春ドラマ。


今年生誕100年のD・J・サリンジャーによる不朽の名作「ライ麦畑でつかまえて」の上演を夢見る演劇少年の青春ドラマ。監督・脚本は実体験をもとに映画化したジェームズ・サドウィズ。主演はアレックス・ウルフ。

’69ペンシルバニアの全寮制名門ハイスクール、クランプトン校へ入学したジェミー(A・ウルフ)。学校の演劇で「ライ麦畑でつかまえて」を上演するため脚本を書き上げ、先生に熱心に説明すると作者の了解を取る必要があることが分かった。

ハンプシャーで隠遁生活を送るサリンジャーに連絡することが容易でないことを知るが、学校生活に馴染めなかったジェミーは決死の覚悟でサリンジャーに会いにトランクひとつで旅に出ようとする。結局、 心配したガールフレンド・ディーディー(ステファニア・オーウエン)の車で同行することに・・・。

大人になる一歩手前の、誰にもある大人でもない子供でもないティーン・エイジャーの希望と不安が入り混じった時代。何かに夢中になってガムシャラになることで、キッカケを掴んで行くキラキラした瞬間を切り取った良作だ。

ディーディーが理想的なガールフレンド過ぎて美化し過ぎの感もあるが、監督の実体験をもとにしているだけあってサリンジャー(名優クリス・クーパー)に会えたこと<それも2度も>にも説得力があった。

自分の高校時代と比較して観ると、なんと素晴らしい貴重な体験と異性とのつきあいだったことだろう。

主人公・ホールデンにもなれなかったが、「自分の物語を書け」と諭すサリンジャーに答えたのが本作だったのかもしれない。


「恋のゆくえ/フェビラス・ベイカー・ボーイズ」(89・米)80点

2019-02-24 17:23:02 | (米国) 1980~99 


・ ブリッジス兄弟とM・ファイファーの切ない音楽ドラマ。


当時29歳だった「ハリー・ポッター」シリーズの脚本家スティーヴ・クローヴスの監督・脚本作品で、ボーとジェフのブリッジス兄弟とミシェル・ファイファーのトリオが織りなす音楽ドラマ。

風采の上がらないジャズ・ピアノデュオが、起死回生として雇ったヴォーカリストのスージーを加え一躍脚光を浴びるが、三者三様の想いからギクシャクして行く・・・。

名手ミファエル・バルハウスの華麗な映像とデイヴ・グルーシンのスコアが全編に流れ、兄弟のピアノ演奏が心地良く心に染み入ってくる。そしてハスッパで妖艶な女を魅力的に演じたM・ファイファーが男たちを惹きつける。
後にパロディでもお馴染みのM・ファイファーが赤いドレスでピアノに乗って歌う「メイキン・ウーピー」など、彼女の歌とルックスで観客を魅了するシーンは印象に残る。

ジェフ扮するジャックとスージーのラブシーンもダイレクトな映像ではなく、微妙な心情のプロセスを経ながら観客に想像を掻き立てる手法がとてもオシャレで、S・クローヴスは新人とは思えない絵創りに冴えを魅せていた。

仕事・家族・兄弟・恋人関係など3人の立場に立って観ると夫々が充分納得の行くものだ。ハッピーエンドではないハリウッド作品だが、エンディングに流れるM・ファイファーの歌う「マイ・ファニー・バレンタイン」とともに心に残る作品だ。

円熟したS・クローヴスのオリジナル脚本・監督作品を再び観てみたい。

「ミッドナイト・ラン」(88・米 )80点

2019-02-17 16:59:10 | (米国) 1980~99 


・デ・ニーロお気に入りのオフ・ビートなロード・ムービー。


元警官の賞金稼ぎと運悪く賞金首となってしまった会計士の二人が繰り広げる、NYからロスまでのオフビートなロードムービー。

賞金稼ぎ(バウンティ・ハンター)とは、容疑者の保釈金を世話して手数料を稼ぐベイル・ショップ(保釈保証業者)に雇われ裁判まで連れ戻す仕事のこと。

シカゴ警官だったジャック(ロバート・デ・ニーロ)は、署内の汚職を知って正義漢を発揮したことから排除されロスで賞金稼ぎになった男。そんな過去から独善的な面があるが仕事には忠実だ。

対する会計士ジョナサン(チャールズ・グローディン)は、シカゴ・マフィアが顧客と知り、横領したカネを慈善事業に寄付したため命を狙われる。通称<デューク>と呼ばれる心優しい犯罪者。

手数料10万ドルで5日後の裁判までNYからロスへ連れ戻すというジャックの仕事は、フライトではたった5時間で済むはずだったが・・・。トラブル続きで、ギャングやFBI、同業の賞金稼ぎなどを巻き込み、車や列車での旅となって行く。

デ・ニーロが最もお気に入りという本作は、ノンストップ・アクションが主流のこの時代には珍しいクスッと笑うシーンあり、ホロっと来るお涙頂戴ありのアクション・コメディに仕上がっている。

シリアスな展開にもなるストーリーをジョージ・ギャロの脚本を「ビバリー・ヒルズ・コップ」(84)のマーティン・ブレストが監督し、ダニー・エルフマンの軽快な音楽が支える。

デ・ニーロの抑え気味の演技も好感を持つが、C・グローディンのとぼけた可笑し味が相乗効果を増し、王道を行くバディムービーともなっている。

アロンゾFBI捜査官、賞金稼ぎマービン、マフィアのボス・セラーノなど登場人物もどこかユルイところが楽しい。

ウソや本音に思いやりが入り混じる二人のヤリトリは男の友情が伝わってきて、なんとかハッピーエンドにならないか?と思ってしまう。

<See You Next Life>という期待どおりの粋なエンディングが心地よい。

「マネー・ピット」(86・米 )60点

2019-02-14 16:26:01 | (米国) 1980~99 


・ 若きT・ハンクスのコメディアンぶりを楽しむ。


今やハリウッドの大御所的存在のトム・ハンクス。「スプラッシュ」(84)以来コミカルな青年の役がはまり役だった頃のコメディ。

製作総指揮にS・スピルバーグの名があり若きT・ハンクスの主演となれば、期待が膨らむ。

駄作ではないが、期待するほどのものでもなかったのは、監督(リチャード・ベンジャミン)脚本(デイヴィッド・ガイラー)のせいか?

ロック専門弁護士ウォルター(T・ハンクス)とヴィオラ奏者アンナ(シェリー・ロング)のカップルがアパートを追い出され、20万ドルで豪邸が手に入ると欠陥だらけのマイホームに悪戦苦闘するという泣き笑いコメディ。

日本ではドリフのコメディでお馴染みだが、チャップリン、キートンなど無声映画時代のスラップスティック・コメディへのオマージュか?

見かけは豪邸だった家は、水道から泥水が出たり、派手に階段が崩れ落ちたり、床が抜けたり、ハチャメチャ。その都度T・ハンクスの孤軍奮闘ぶりは加藤茶を思わせ今や貴重な映像だ。

アンナの元夫で指揮者マックスを演じたアレクサンダー・ゴノドフは、元ボリショイ・バレエ・ダンサー出身で俳優に転身したが早逝してしまった。スタイリッシュで自信過剰なアーティストの雰囲気が出ていたが役柄としては中途半端。

いつまでたっても修理が終わらないが<あと2週間で完成>を繰り返す現場監督が気を惹いた。

疲れを癒すにはもってこいの粋なエンディングが楽しいアメリカン・コメディだ。



「恋におちて」(84・米 )75点

2019-02-12 14:40:24 | (米国) 1980~99 


・ 80年代のマンハッタンを舞台に繰り広げられる大人のファンタジー。


「ディア・ハンター」(78)以来、再共演したロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープがNYを舞台に繰り広げられる愛の物語。デヴィット・リーン監督の英国映画「逢い引き」(45)がモデルで、監督はウール・グロスバード。

メロドラマの基本である、相応しい季節(クリスマス)や場所(マンハッタン グランド・セントラル駅)音楽(デイヴ・グルーシンのピアノ)を背景に、偶然の出逢いとすれ違いがどのように繰り返されるのかが見どころ。

舞台の中心となったグランド・セントラル駅は、筆者が初めてNYへ行き最初に着いた場所で、33年前の想い出が蘇る場所。
と言っても当たり前だが、本編のようなロマンティックな想い出は一切皆無な出張の旅。時差ボケで眠い目をこすりながらオイスタ・バーで昼食を採り、パトカーのサイレンに悩まされながら地上のグランド・ハイアット・ホテルに泊まった記憶があるだけ。

現地の人にうかがうと、ロケ現場は何日も通行止めされ撮影されたとか。それだけで撮影スタッフの大変さが偲ばれ、作品の出来を抜きに感動してしまう。

肝心の作品はいわゆる不倫ドラマだが、名優二人の手に掛かると大人の純愛に見えてしまうのが不思議。公開当時筆者も観たが、改めて如何に記憶が曖昧かを思い知らされた。

この手の映画で最も大切な<リゾート書店>で出逢う冒頭と3年後再会するラストシーンだが、ラストシーンは二人が互いに書店から出て別の通りを歩いて人込みに消えるところでジ・エンドだと思っていたこと。

また、M・ストリープがヒューストンへ旅立つデ・ニーロに逢うため夫の制止を聴かず雨の夜道を車で行くが、遮断機で止められるシーン。愛車のシビックがエンストするが、日本車はそんなはずはないと思ったこと。

30数年前の記憶はその程度の印象だったが、改めて観ると携帯のない時代のもどかしさと懐かしさを感じる。

中流家庭の中年男女が、充分満たされているハズの自分の環境を振り返ると何かが足りない気がする。その隙間に入ってくる偶然の出逢いは、とても素晴らしいもののように映ってしまう。

そんな普通の男女をデ・ニーロとストリープが見事に演じて魅せてくれている。後の「マジソン郡の橋」(95)でも感じたが、M・ストリープのトキメキと戸惑いの交差する心情の描写は見事!

バブル期の日本でも郊外に住む家庭で起きた<「金妻」シリーズ>に同名のドラマがあり、小林明子の歌がヒットしたことも併せ、ただただ懐かしい。

くれぐれも、夫婦で鑑賞しないように。

「マッキントッシュの男」(73・英/米 )60点

2019-02-08 12:18:29 | 外国映画 1960~79

・ J・ヒューストン監督、P・ニューマン主演コンビのハードボイルド。


前年「ロイ・ビーン」に続くジョン・ヒューストン監督、ポール・ニューマン主演のコンビが、デズモンド・バクリー原作の映画化で再びタッグを組んだスパイ映画。

<007>のような華やかさはなく、足に地が付いたアクションが見所。

宝石泥棒に扮したリアデン(P・ニューマン)が上司・マッキントッシュの指示で10万ポンドのダイヤを奪うが、あっさり逮捕され禁固20年の刑に処せられ刑務所入り。

徐々に登場人物の相関図が明らかになって行くが、説明不足もあってモヤモヤ感が拭えないのは脚本のせいか?脚本はウォーター・ヒルとウィリアム・フェアチャイルドの名があるが、何か経緯があったのかもしれない。

前半はリアデンが刑務所での暮らしと、ソ連スパイのスレイドと一緒に脱獄するシーン。囚人服は流石英国らしく、シャツにネクタイにジャケット風の作業着なのがユニーク。

クレーンを使う脱獄シーンは原作とは違うオリジナル映像で、いよいよスパイ小説らしくなってくるが脱獄を手助けした組織は何故リアデンまで助けたのか?まだ謎は解けない。

目が覚めるとそこはアイルランドだった。荒涼とした岩だらけの風景は当時新鮮で、繰り広げられる逃亡劇はP・ニューマンの面目躍如で本作最大のハイライト。

このあたりでウィーラー卿(ジェームズ・メイソン)とマッキントッシュの関係や、マッキントッシュの秘書スミス夫人(ドミニク・サンダ)の存在も明らかになってくる。

テンポよく進むが、原作のダイジェスト版のような展開はアイルランド、マルタ島ロケやP・ニューマンのカーチェイスを映像化するためにエネルギーを割いた感がある。

出番は少ないが日本でもパルコのCMでも人気があったD・サンダの清楚な美しさが際立っていて、当時彼女目当てで観た人も多かったのでは?

本作は失敗作と言わざるを得ないが、P・ニューマンは同じ年「スティング」で鬱憤を晴らすことができた。彼の俳優生活でもエポックメイキングとなった年でもあった。

「search / サーチ」(18・米 )70点

2019-02-05 14:12:40 | 2016~(平成28~)

・ いまが旬の全編PC映像によるミステリー。


M・ナイト・シャラマンを尊敬してやまない27歳のアニーシュ・チャガンティ監督・共同脚本による長編デビュー作は、二転三転するアイデア満載のミステリーで全てがPC画面という斬新作。

3年前ガンで妻を亡くしたデヴィット・キム(ジョン・チョウ)は16歳の娘マーゴット(ミシェル・ラー)との二人暮らし。娘が友人の家で試験勉強をするという連絡のあと、消息を断つ。

行方不明事件としてヴィック捜査官(デブラ・メッシング)が担当することになったが、家出か誘拐か不明のまま37時間が経過。
デヴィッドは手掛かりを見つけようと娘のパソコンを開け、ANS インスタグラムなどを駆使して情報をヴィック捜査官に伝える。

筆者は未見だが、全編PCの映画には先駆者がいるがスカイプ映像主体で、本編のように最新のネットを駆使して観客を惹きつける作品ではなかったようだ。

現役当時、仕事で初めてPCを使ったときがWindowsXPだった。懐かしい映像からスタートする本編は、主人公一家の16年間が分かる出だしから画面にくぎ付けとなる。

字幕がとても見にくく、画面変換が速いため筆者のような後期高齢者には視神経が疲れるが、構成の巧さに弾き込まれ眼が離せない。画面から得られる情報を少しでも知ろうとする自分がいた。

PCで現れる情報は膨大な量で、ヒントが隠されている面白さとミスリードを誘う無駄な情報が混載されているところがこの映画の斬新さ。ストーリーはオーソドックスなミステリーで、もしこの手法でなかったら簡単に見抜けたのでは?

Your Castのユーザーネームがfish_n_chipsというのがヒントで、昨今よくあるネットで知り合った若者たちの危うい事件を連想してしまう。

父親と年頃の娘の疎遠という普遍的なテーマをネット社会に反映したテーマだが、今が旬の手法映像は決して暗い結末にならないエンタテイメント作品だった。




「ウィンド・リバー」(17・米 )80点

2019-02-03 14:05:49 | 2016~(平成28~)

・ T・シェルダン監督デビュー作は、濃密なクライム・サスペンス。


メキシコ国境の麻薬「ボーダーライン」(15)、テキサスの銀行強盗「最後の追跡」(16)の脚本で知られるテイラー・シェルダン監督デビューはフロンティア三部作最終章。

アメリカ・ワイオミング州、深い雪に包まれた先住民保留地区。地元の野生動物管理局のベテラン・ハンター、コリーが若い女性の遺体を発見する。遺体はナタリーで、亡くなった娘の親友だった。
FBI新人捜査官が派遣されるが、地元警察は人手不足のうえ慣れぬ土地柄から捜査は難航。コリーに応援を頼む。

生きて行くには過酷な辺境に住む人々の貧困・差別・暴力など過酷な環境を背景に、二人の視点で描かれ見応え十分な現代版西部劇の趣。

主演のコリーを演じたのはジェレミー・レナー。3年前に娘を亡くし持って行き場のない怒りを内に秘めた抑制的な男に扮して、キャリア・ハイともいえる好演だ。先住民の妻とは離婚しているがこの地に残り、幼い息子には生きて行くための躾けは怠らない。

かたや新人捜査官ジェーンに扮したのはエリザベス・オルセン。慣れぬ土地で悪戦苦闘しながら懸命に職務を全うしようとする。パワハラに近い境遇だが、その一途さが地域に認められるかがカギ。

医学的には自然死であるナタリーは、明らかに事件に巻き込まれたのでは?

ジェーンたちが捜索で辿りついた石油掘削所のドアをノックするシーンで、遡って新事実を映像化する手法が斬新だ。
さらにエンタメたっぷりな迫力の銃撃戦と<白い地獄>の終盤が続いてエンディングを迎える。

現地は「ガンよりも高い死亡率」で「ネイティブ・アメリカンの失踪者統計は存在しない。人数も不明」というところ。

米国最大の失敗は<先住民保留地政策>だといわれながら、忘れ去られてしまったような舞台に脚光を当てたT・シェルダンに拍手を送りたい。






「ボヘミアン・ラプソディ」(米/英)70点

2019-02-01 15:56:53 | 2016~(平成28~)

・音楽伝記映画の定番ながら、大画面・大音響で神話を再現。


「ウィ・アー・ザ・チャンピオン」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」などロック・バンド<クイーン>伝説のボーカル、フレディ・マーキュリーの半生を描いた音楽伝記映画。

20世紀フォックスのタイトルがいつもと違う音声でスタートした本作。
クイーンの音楽がどのように誕生したか、F・マーキュリーの栄光と挫折そして復活という絵に描いたようなストーリーは、ファンにとっては周知の事実で目新しくはないが、筆者のようにCMでしかその曲を知らなかった者にとっては、人となりを知るにはもってこいのストーリー。

監督のブライアン・シンガーが途中降板ながらデクスター・フレッチャーが手際よく纏め、ギクシャクしたところは見られなかった。

成功の要因は孤独なスーパースター、F・マーキュリーに扮したラミ・マレックの好演によるところが大きい。
風貌がそっくりではないにも関わらず、英国ではハンデとなる人種・容姿・学歴というコンプレックスをバネに独自の音楽づくりに没頭した自信家のマーキュリーを演じ切っている。
4オクターブの声域は出せないが一部は歌声も披露し、そのスタイルに違和感は全くなかった。

ファンには周知の事実だが、デビュー前は<パキ野郎>と侮辱されながらブライアン(グイリム・リー)とロジャー(ベン・ハーディ)のバンド・ボーカルに参入、ジョン(ジョセフ・マッセロ)が加わってクイーンが誕生したこと。
車を売ってスタジオを借りレコード・デビュー、実験的な音楽はキワモノと言われながらロックの世界だけが彼らを受け入れてくれた。

恋人メアリー(ルーシー・ボーイントン)との経緯、ゲイであることの自覚とドラッグ・パーティやメンバーとの確執、マネージャー・ポール(アレン・リーチ)との亀裂、エイズの発症、新恋人でマネージャー・ポール(ジム・ハットン)との出逢いなど、フィクションも取り混ぜながらのフレディの神話が進んで行くが、如何にも定番メニューという気も・・・。
親日家だった彼の描写がもっとあれば日本のファンは喜んだことだろう。

ハイライトとなるウェンブリー・スタジアムでの<バンド・エイド>の再現は圧巻のシーン。大観衆を前にした渾身のライブは、恵まれないアフリカの子供たちへのチャリティ・コンサートでメンバーと久しぶりに再会。「善き思い、善き言葉、善き行い」を説いた父親の教えを実践し、母への愛を伝えた最大の親孝行でもあった。

感動で涙した観客のリピーターが多いのに驚くが、彼らのライブがスタジアムの大観衆と同じように大画面を通して熱いエネルギーで伝わってきた証しでもあろう。