晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『ライムライト』 85点

2006-12-28 10:31:47 | 外国映画 1946~59




ライムライト


1952年/アメリカ






主人公を自分に置き換えたチャップリン





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shinakamさん


男性






総合★★★★☆
85



ストーリー

★★★★☆
85点




キャスト

★★★★☆
85点




演出

★★★★☆
85点




ビジュアル

★★★★☆
85点




音楽

★★★★☆
90点





無声映画の帝王チャールズ・チャップリン製作・監督・主演の名作。
往年の喜劇王・カルヴェロ(C・チャップリン)が、かつてのライバル・バスター・キートンをパートナーにして演じた一世一代のコントが、最大の見せ場。チャップリン自身も、無声映画時代の全盛期は過去になりトーキーが当たり前の時代にこの映画を作ったのは、主人公を自分に置き換えて作ったに違いない。
それにしてもバレエの振り付けまでこなすチャップリンの多彩振りには感嘆させられる。






『あるいは裏切りという名の犬』 85点

2006-12-27 11:16:54 | (欧州・アジア他) 2000~09

あるいは裏切りという名の犬

2004年/フランス

男の魅力をD・オトゥイユが演じた

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 85

ストーリー ★★★★☆85点

キャスト ★★★★☆90点

演出 ★★★★☆85点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆80点

パリ警視庁を舞台に2人の警視、レオ(ダニエル・オトゥイユ)とドニ(ジェラールド・パルデュー)のライバルを巡るサスペンス。オリヴィエ・マルシャル監督と共同脚本のドミニク・ロワゾーが警察経験があるだけに、フィクションでありながら本物の迫力を感じる。
ストーリーに無駄が無く冒頭から惹き込まれる。特に、街頭標識を盗んだバイクに乗った2人組のシーンが活きている。
妻子と仲間を愛しながらも仕事に危険をさらすレオと、仕事と出世が全てのドニの2人の立場が逆転するたびに物語の展開が興味が増して行く。D・オトゥイユが男の哀愁と人間味をたっぷり出していて、久し振り仏ノワール映画を見た思い。ジェラールド・パルデューは単なる悪役に留まらず男の悲哀を感じさせる存在感を魅せた。
2人のほか豪華キャストも魅力のひとつ。2人の上司ロベール長官にアンドレ・デュソリエ、レオを慕う元娼婦にミレーヌ・ドモンジョ、2人に愛されるレオの妻にヴァレリア・ゴリノ、レオの相棒エディにダニエル・デュヴァルなど数え上げたらキリがない。
ハリウッド・リメイクがロバート・デ・ニーロ、ジョージ・クルーニで決まっているが、どんなアレンジになるか?楽しみだ。


『男はつらいよ 寅次郎の告白』 75点

2006-12-24 11:12:42 | 日本映画 1980~99(昭和55~平成11) 

男はつらいよ 寅次郎の告白

1991年/日本

疲れ?が見えた寅さん

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 75

ストーリー ★★★★☆75点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆75点

44作はマドンナは吉田日出子でロケ地が鳥取。ゴクミ・シリーズ3作目で光男(吉岡秀隆)が大活躍。疲れ?がみえた寅さんの代わりに動き回り滑ったり転んだり怪我だらけ。寅さんがタコ社長との口論の果て、名物の殴りあうシーンは映像ではなく音声なのが寂しい。
都会の繁栄と地方の疲弊ぶりが映像にかなり鮮明に写った回でもある。


『たそがれ清兵衛』 85点

2006-12-23 12:02:45 | 日本映画 2000~09(平成12~21)




たそがれ清兵衛


2002年/日本






山田洋次監督、藤沢時代劇の最高傑作





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shinakamさん


男性






総合★★★★☆
85



ストーリー

★★★★☆
85点




キャスト

★★★★☆
85点




演出

★★★★☆
85点




ビジュアル

★★★★☆
85点




音楽

★★★★☆
85点





藤沢周平原作・山田洋次監督の時代劇シリーズ第一作。シリーズ3作品のうち最高傑作だ。
妻を亡くし2人の娘の成長を励みに日々を必死に生きる五十石取りの御蔵役清兵衛(真田広之)と千五百石で酒癖が悪い夫(大杉漣)と離縁した幼馴染み朋江(宮沢りえ)の物語。
貧しくも楽しいヒトトキも、幕末庄内蕃の下級武士を時代は放って呉れず、藩命により上意打ちを命じられる。
真田の殺陣の上手さと宮沢の匂うような美しさがこの映画を引き立てる。とくに甲田(田中泯)との一騎打ちは迫力満点。
脇役陣も小林稔持・丹波哲郎・岸恵子など適材適所。こんな時代劇を作れる山田洋次は現在日本を代表する監督に間違いない。この年の最高傑作だ。






『ブラス!<ニュー・プリント版>』 85点

2006-12-21 17:42:07 | (欧州・アジア他)1980~99 

ブラス!<ニュー・プリント版>

1996年/イギリス

感動のラスト・シーン

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 85

ストーリー ★★★★☆85点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆85点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆90点

マーク・ハーマン監督・脚本による実在ブラスバンドをテーマにしたハートフル・ドラマ。廃鉱の町を背景にした人情ドラマで今年ヒットした邦画「フラガール」に似ている。
ヨークシャー地方の炭鉱の町グリムリーで、百年の伝統を誇るグライムソープ・コリアリー・バンド。廃鉱で失業寸前のメンバーが、揺れる気持ちのなか全英選手権を目指す。リーダーのダニー(ピート・ポスルスウェイト)とフィル(スティーヴ・トンプキンソン)の親子が何事も犠牲にして、全てバンドに賭けるさまが涙ぐましい。
「アランフェス協奏曲」「ダニーボーイ」「ウィリアムテル序曲」など全て実在バンドの吹き替え演奏が素晴らしく、指揮をするP・ポスルスウェイトが凄くサマになっている。
とくにコンクールでするスピーチはこの映画のコンセプト。「威風堂々」の演奏とともにラスト・シーンが感動的である。


『男はつらいよ 寅次郎の休日』 80点

2006-12-17 14:49:57 | 日本映画 1980~99(昭和55~平成11) 

男はつらいよ 寅次郎の休日

1990年/日本

光男を我が子のように可愛がる寅さん

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆75点

音楽 ★★★★☆75点

43作目はゴクミシリーズ第2弾。甥の光男が大学生になり、独立心が芽生える。さくら夫婦の心配ぶりが世の親達にも共感を呼ぶ。
寅さんが幸せかどうかを観客に訴える回でもある。バブル絶頂期にフーテンを続ける寅さんに、哀愁を感じる。今回は泉(後藤久美子)の両親(夏木マリ・寺尾聡)の人生がオーバーラップして家族・親子を改めて考えさられる。秋吉久美子の37作同様、旅館での夏木マリとの夫婦ごっこがその現われか?


『武士の一分』 80点

2006-12-17 11:12:58 | 日本映画 2000~09(平成12~21)

武士の一分

2006年/日本

理想の夫婦愛を描いた山田時代劇

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆85点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆85点

山田洋次監督・藤沢周平原作の時代劇シリーズ3部作の最終作品。どうしても前2作と比較され易いが、「たそがれ清兵衛」に軍配を上げざるを得ない。三村新之亟(木村拓哉)と加世(檀れい)の夫婦愛に焦点が当たっているため物語が至極シンプル。2人の演技力がどうしても試される作品となった。2人とも精一杯の演技だが、やはりキムタクにやつれた凄みに欠ける。壇れいも熱演だが色気がないため、島田藤弥(坂東三津五郎)が唯の女好きのイヤな上司となってしまった。
とはいえセットだけで、これだけリアルな四季の変化や、時代背景を描いた山田組の頑張りに感服させられた。
また役得ながら中間・徳平の笹野高史が2人を上手く補佐していて助演賞候補。他にも緒方拳・小林念持・桃井かおりなどが、この理想の夫婦愛ドラマを盛り上げていて、さすが山田作品ならではと思わせる。


『硫黄島からの手紙』 85点

2006-12-16 11:33:31 | (米国) 2000~09 




硫黄島からの手紙


2006年/アメリカ






命の大切さを改めて想う





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shinakamさん


男性






総合★★★★★
85



ストーリー

★★★★★
90点




キャスト

★★★★☆
80点




演出

★★★★★
85点




ビジュアル

★★★★★
80点




音楽

★★★★☆
80点





C・イーストウッド監督の硫黄島シリーズ第二作。何よりこの映画が日本映画でなく、ハリウッド作品であることに驚かされる。製作総指揮のポール・ハギスと共同原案・脚本のアイリス・ヤマシタに敬意を表したい。
日本から見た硫黄島は、ヒロシマ・ナガサキ・沖縄と並び、悲劇の象徴。そこで指揮を執った栗林中将(渡辺謙)と若き兵士西郷(二宮和也)を中心に日本人の戦争を回想させる。
当時の思想「生き恥をさらすより、名誉の戦死」を選ばず、命の大切さを切々と訴える物語は涙なくして見られない。
栗林が硫黄島へ赴任した年に生まれた自分にとって、西郷の娘同様父親達の人生そのもので、私情なしで観られないのを差し引いても「父親達の星条旗」を上回る傑作だ。
全て日本語の台詞で不自然さは微塵にも感じられない。モノトーンの映像とともに寧ろ淡々と進む戦争シーンとC・イーストウッドの音楽もその悲しみを倍増させる。アメリカ留学経験のある栗林とロス・オリンピック馬術金メダリストバロン・西(伊原剛志)もさりながら、普通のパン屋・西郷や、理想に破れ生きることの大切さを実感した元憲兵・清水(加瀬亮)にこの物語の真実を見た。






『ゴーストワールド』 80点

2006-12-14 18:34:00 | (米国) 2000~09 

ゴーストワールド

2001年/アメリカ

少女が大人になる危うさ

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆80点

ダニエル・クロウズのコミックを自らテリー・ツワイゴフ監督と一緒に脚本化。ハイスクールを卒業した親友2人が、どんな人生を送るか迷いながら自分なりに模索するサマを描いている。
イーニド(ソーラ・バーチ)とレベッカ(スカーレット・ヨハンソン)が当ても無くその日暮らしをするうちシーモア(スティーヴ・ブシェミ)という中年オタクをからかっていくうち、イーニドが孤独感に苛まれて2人が違う生活を送るようになる。
「アメリカンビューティ」での名演技を彷彿させるような役に、ソーラ・バーチが扮し、独特の世界を醸し出している。インディーズの名優スティーヴ・ブシェミとの絡みが抜群に良い。「マッチ・ポイント」「ブラック・ダリア」で今や若手スターナンバー1のS・ヨハンセンも影が薄い。
「依頼人」で名子役振りを披露したブラット・レンフロがいじめられ役のコンビニ店員に扮しているのも見逃せない。
少女が大人になる危うさをヒシヒシと感じさせる青春ドラマだ。


『男はつらいよ 僕の伯父さん』 80点

2006-12-10 11:06:12 | 日本映画 1980~99(昭和55~平成11) 

男はつらいよ 僕の伯父さん

1989年/日本

ゴクミ シリーズ第一弾

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆80点

42作目は、甥の光男(吉岡秀隆)の応援に回って、いつもの「マドンナ(壇ふみ)に片想いして失恋」のパターンはない。光男の初恋相手は泉(後藤久美子)でゴクミシリーズ第一弾。
寅さんはとっても出来た伯父さんで、お節介で喧嘩っ早いいつもの寅さんはプロローグのみ。古き良き日本人に変身している。
代わりに光男がバイクで旅をしながら経験を重ねる。事故を起こし、助けてくれた男(笹野高史)に迫られるシーンなど笑わせてくれる。
この映画シリーズは地方(今回は佐賀)の観光名所・物産を取り入れ、もはや日本の文化遺産映像ドラマとして定着した感がある。