・ ジョン・ウェインが2度目のオスカーを狙った西部劇。
頑固な老カウボーイと11人の少年たちが牛追いの旅で心を通わせて行く西部劇。原作のウィリアム・デール・ジェニングスがシナリオを担当し、「華麗なる週末」(69)のマーク・ライデルが製作・監督している。
出演した映画150本以上のうちおよそ半分が西部劇というジョン・ウェイン。初のオスカー獲得の「勇気ある追跡」(69)には必ずしも満足していなかったという。
そこで2度目の獲得を目指したのが本作で、従来の不死身のイメージとは違って老いた牧場主・ウィルを演じている。
最年長で15歳の少年たちで1500頭の牛を400マイル先の町へ移動させるという不釣り合いな設定は、ゴールド・ラッシュで男たちが去ってしまい人手不足のため窮余の策。経験不足を承知で訓練しながらの旅で様々な困難に出逢うが、少年たちを甘やかさず勇気と知恵で立ち向かわせる。
川を渡るシーンは必死の少年たちにハラハラ・ドキドキさせ、刑務所帰りの男・ワッツ(ブルース・ダーン)が執拗に追いかけて少年を脅したり、少年のひとりが落馬でなくなったり、なかなかドラマチックな展開で飽きさせない。
唯一ウィルの話し相手になったのは黒人コック・ナイトリンガー(ロスコー・リー・ブラウン)で危なっかしい少年の盗み酒や商売女との出会いも温かくそっと見守る。苦い想い出は成長への貴重な体験として学ばせるオン・ザ・ジョブのスタイルだ。
目的地まであと2~3日のとき、追いかけてきたワッツとウィルの対決は<想定外の展開>を迎える。
西部魂を少年たちに託し怒濤の終盤となる。これが上手く行き過ぎリアル感に欠けたキライは否めずオスカーはノミネートすらされなかったが、興行的には大成功を収めている。
ロバート・キャラダイン初め11人の少年たちは精一杯頑張ったが、筆者にはロスコー・リー・ブラウンの滋味溢れる演技とブルース・ダーンのネチっこい敵役の演技によって御大ジョン・ウェインを両脇から支える作品という感想となった。