晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

「プロフェッショナル」(66・米) 70点

2022-12-23 12:03:53 | 外国映画 1960~79


 ・ 個性派揃い俳優陣によるR・ブルックスのウェスタン。


 イタリアン西部劇に席巻されていたハリウッドで「暴力教室」(55)「熱いトタン屋根の猫」(58)で知られるリチャード・ブルックスがフランク・オルークの小説を個性派俳優陣を起用して映画化。R・ブルックスの脚色とコンラッド・L・ホールの70m/m大画面に蒸気機関車と馬の疾走シーンなど迫力ある映像でオスカーにノミネートされた。

 20世紀初頭メキシコ革命の頃、妻が誘拐され身代金10万ドルを要求されたテキサス油田の富豪は射撃の名手リコ・ファーダンに報奨金1万ドルと前金1000ドルの条件で取り戻すよう依頼する。

 リコは馬の専門家ハンス、追跡と弓矢の名手ジェイクに声を掛けさらにダイナマイト爆撃プロのビル・ドルワースを刑務所から救出し、革命軍で山賊の頭となった誘拐犯ラザを追跡する・・・。

 「荒野の七人」的スタートの物語は一見正統派西部劇だが、なんとなく趣きが違ってくる。
 四人のリーダー・リコを演じるのはリー・マービン。「リバティバランスを射った男」(62)の悪役で一躍名を売り、「殺人者たち」(64)で寡黙な殺しやに扮し「キャット・バルー」(65)ではオスカーを獲った渋い個性派俳優。

 ダイナマイトのプロ・ビルに扮したバート・ランカスターは「地上より永遠に」(53)でデポラ・カーと競演しスターの仲間入り、「OK牧場の決斗」(57)など西部劇も多く出演しているが、「成功の甘き香り」(57)「エルマー・カントリー/魅せられた男」(60)「終身犯」(60)「山猫」(63)など社会派文芸作品などに定評がある。
 本作では昔のアクションスターを懐かしむような素早い動きとコミカルな演技で美味しいところを持って行く。

 事実上ふたりの映画で脇を固めるプロの二人(ロバート・ライアン、ウディ・スロート)は出番が限られている。

 油田の富豪役のラルフ・ベラミーは善人役、山賊ラザ役のジャック・パランスは「シェーン」(53)の敵役など悪役で知られる。これを逆手にとったストーリー展開がこの映画の最大の見どころか?

 紅一点の富豪の妻ラザには63年に「81/2 」「山猫」「ブーべの恋人」と3本の話題作に出演したCCことクラウディア・カルディナーレが扮し、肌も露わな衣装で灼熱の砂漠を歩くシーンなど体当たりの大熱演だった。この年プロデューサーのフランク・クリスタルと結婚しているが、海を渡ってこの役に挑んだのは何か事情があった?としか思えない。

 一捻りあったストーリーと恋愛と革命についての長台詞や<女は少年を男にし、男を少年にする>という哲学的?な言葉はR・ブルックスらしいが、肩の凝らない娯楽アクションとして観る分には充分期待に違わぬ作品である。

「デジャブ」(06・米)70点

2022-12-02 12:01:45 | (米国) 2000~09 


 ・<過去は変えられるか?>をモチーフにしたサスペンス・アクション。


 トニー・スコット監督✕デンゼル・ワシントン主演による一大エンタテインメント。題名の「デジャブ」とは<体験したことが無いことを体験したことがあるように感じること>。

 06年2月28日マルディグラの日。ニューオリンズ・カナルストリートで500名以上の犠牲者がでたフェリー事故が発生。FBI特別捜査班によると原因はテロによる爆弾によるものであり、現場近くで発見された女性の死体は殺害されたものと判明した。ATF(アルコール・タバコ・火器局)捜査官であるダグ・カーリン(D・ワシントン)は、FBIの協力要請を受けスノーホワイトという監視システムに案内された。

 巨大なタイムウィンドウであるスノーホワイトを開発したデニー博士(アダム・ゴールドバーグ)によると<4日間と6時間の映像>で一度しか観られないが、場所を特定さえすればあらゆる角度からリアル情報が得られるという。
 女性死体のクレア(ポーラ・パットン)に既視感を感じたダグは、爆弾事件と関係あると睨み彼女の自宅映像を再現し彼女に赤いペンライトをかざすとそのライトに反応した。ボードには<U can SAVe heR>とのマグネット文字が・・・。

 スノーホワイトには過去を変えられる機能があるのでは?単なる監視装置ではないと察したダグは、試しに過去の自分にメモを送ると机上に置かれるがそれを観たのは相棒のラリー(マット・クレイヴン)だった。

 楽しそうなマルディグラのお祭りシーンからフェリーの爆破事故発生のリアルなサスペンス・タッチで始まったドラマは、スノーホワイトなる先端装置の登場から一気に転調しパラレルワールドとなっていく。

 これはスコット監督より製作のジェリー・ブラッカイマーの意向でシナリオが書かれ、お得意の壮大なSFアクション・エンタテインメントの世界へ変貌していったとのこと。

 ダグは監視外領域にもかかわらず博士の忠告も承知で、過去が見えるゴーグルでタイムラグのある危険なカーアクションに挑んだり、あらゆる手段でフェリーの大爆破やクレアの死を免れるため奔走。まさに過去を変えようとする。

 D・ワシントンの安定感ある演技とP・パットンのスタイリッシュな美しさを堪能し、かなり凝った映像やダイナミックなアクションで細かいことを気にせず流れに任せ観ていればそれなりに楽しめる。

 ただ時間軸をかなり複雑にしたうえ、伏線をあちこちに配置した進行は一度観ただけではとても回収しきれない。一部のマニアには大絶賛と聴くが、筆者のような単純な思考回路ではついて行けなかった。

 ふたりが再会した?ラストシーンは題名を思わせる洒落たエンディングだったが、果たしてハッピーエンドか?それとも悲劇なのだろうか?