遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

霧 ウラル

2016年05月23日 10時56分04秒 | 読書
               

       霧(ウラル)      桜木紫乃(著)2015年9月発行

    
     この著者は、いわゆる普通の道ではなく厳しい道を歩こうとする、
     なんとなく捉えどころのない女たちを描くのが特徴なのか・・・
     私が前に読んだ『起終着駅(ターミナル)』の主人公の女性然り。
     
     著者の描くヒロインたちは、女性らしい外見ながらも、
     それぞれ独特の雰囲気があり、したたかで芯が強いというか、
     否、風に揺れる柳の枝のような強さ、というべきか、
     個人的には、あまり出会ったことのないタイプの女性が多く
     戸惑いを覚えるのだが。

     それでも、本書は『起終着駅』の登場人物よりは、
     本書の主人公となる三人姉妹それぞれの行動の元となる
     彼女達の考え心情が細やかに描かれていたので、
     今回は私にも理解しやすかった。
     
     終戦後の北海道、荒海を挟みソ連領となった四島と国境を接する根室と
     いう北の町、そしてそこで生まれ育った姉妹達と
     彼女達が共に生きることとなる男たち、反発しあうこととなる人々、、、
     運命の糸が絡みあう彼女達の半生が、
     豊かさを求め激しく変化する昭和という時代を背景に描かれていて、
     一気に読んだ。
 
       わがまま母

     内容は略し、かわりに紹介文を添付しておく
 
     ―
     舞台は、国境の町・根室
    男の屍を越えて生きてゆく女たち。
    北海道最東端・根室は、国境の町である。
    戦前からこの町を動かしてきた河之辺水産社長には、三人の娘がいた。
    長女智鶴は政界入りを目指す運輸会社の御曹司に嫁ぎ、
    次女珠生はヤクザの姐となり、
    三女早苗は金貸しの次男を養子にして実家を継ぐことになっている。
    昭和四十一年の国政選挙で、智鶴の夫・大旗善司は道東の票をまとめ当選を果たした。
    選挙戦を支えたのは、次女・珠生の夫で相羽組組長の相羽重之が
    国境の海でかき集めた汚れ金だった。
    珠生は、大旗当選の裏で流された血のために、
    海峡の鬼となることを誓う。

    〈 編集者からのおすすめ情報 〉
    桜木版『ゴッドファーザー』であり、
    桜木版『極道の妻たち』であり、
    桜木版『宋家の三姉妹』!
    ―

     
コメント
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