遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

予想どおりに不合理

2009年06月17日 15時37分20秒 | 読書
     予想どおりに不合理
      行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
                    ダン・アエリー(著)2008年11月発行

  昨年話題になったユニークな「行動経済学」の興味深い本。
  色んな人が、書評を書いているので、今更私がいうこともないけれど、
  予想通りに面白かった!です。

  読んでいて、思わず「そうそう、そんな行動、選択をしてしまっているわん」  
  と、わが身を振り返る場面に、しょっちゅう出くわします。
  
  例えば、『アンカリング』(係留)、私達が新製品をある価格で買うと、以後
  その価格にアンカリングされることになる。
  「刷りこみ」のことだ。
  手近なものを元に最初の決断をし、一度決めたことは貫き通すことになる。
  ここでは、ワインや黒真珠の価格を例として、「恣意の一貫性」の証明を試み
  ている。
  また、ファストフード店のコーヒーとスターバックスのコーヒーの価格の違い
  を、いかにして客が受け入れたか?
  価格の高いコーヒー「スターバックス」の成功についてのアンカリングの説明  
  に、思わずなるほどと納得。
  この章で、また他の章でも、
  われわれ人間は、合理的ではなく非合理的なものである、ということが、沢山の
  実験により次々と証明されていく。
  『ゼロコスト』無料!の魅力、「無料!」の力についての考察の最後に、
  無料!の力を生かした社会政策を提案していて、これは色々参考にできそう。
  『先延ばし』問題は、、、うーむ、なんか読んでいると辛くなってきたぞ、、、
  でも、「先延ばし問題を自覚すれば克服もできる」とある。確かにね。
  著者の「自制クレジットカード」のアイデアは、いつか実現しそうな気がするし。
  「価格の力」の章では、『プラセボ効果』について行われた実験と過去の
  プラセボ暗示について語られている。
  高価な薬と安価な薬の効果には、本当に違いがあるのか?
  高い栄養ドリンクは効き目があり、何故、安売りのドリンクには効き目を感じ  
  ないのか?
  この章では、狭心症の治療法内胸動脈結さく手術や変形性関節症の手術の
  実験例が『プラセボ効果』として述べられていて、その結果に驚いてしまった。
  この本の中で、最も衝撃を覚えた話題だ。
  他にも、「わたしたちの品性について」では、エンロン事件や電子商取引の
  不正行為、巨額なビジネス界の不正について、著者の実験結果にもとずいた
  考察に、憂慮することも多く、博士はこう述べている。
  「問題は、現金が目にはいらなければ善心に立ちかえれない私達が、
  どうやって不正に傾きがちな心をコントロールするか、そして、現金が
  なくなりつつある今、わたしたちに何ができるかだ」

  とにかく実験数が膨大で、アメリカの大学ってすごいな~、と感心してしまう。
  しかも、その実験が、人間の行動や決断がいかに不合理か、を示す興味深い
  ものばかりなのだ。
  かといって、決して行動経済学の専門書、学術書といった本ではなく、とても
  わかりやすい表現で書かれているので読みやすい。
  その証拠に、本書10章で紹介された「同じ偽薬(プラセボ)でも値段が高い
  方が効き目がある」という研究で、2008年イグ・ノーベル賞(ノーベル賞のパロディ)
  を受賞したそうだ。
  特に、商売をしている方には、面白いヒントがいっぱい(消費者行動など)
  必見の書!なのではないでしょうか。

    わがまま母
  
  
  
コメント
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