都教委、高校定時制4校の廃止決定!~教育委員はいいなり 反対の声は無視(レイバーネット、2016年2月12日)
http://www.labornetjp.org/news/2016/0212yumoto/newsitem_view
この記事を読んで思ったことを、こんな感じで、例の「オルタナティブな教育」とか「多様な教育機会確保法案」の話とも関連づけながら、以下のとおりまとめてみました。一部、フェイスブックに書き込んだこととも重なりますが、加筆修正しています。
まず、このような定時制を含む公立高校再編計画(=という名の学校リストラ計画)がすすむと、他方で今までそこに通っていた子どもの「受け皿」が必要になります。
そこに、私立通信制高校(株式会社立含む)や大検(今は高卒認定試験)のサポート校などのニーズが広がってきます。ここはここで、子どもの数が減る中、民間(私立)どうしのパイの食い合いは必死でしょうね。
と同時に、「再編対象になりたくなければ、特色と実績あげなさい」と公立高校側は言われ、ある学校は受験特化型、ある学校は「アクティブ・ラーニング」とか「スーパーイングリッシュハイスクール」とか、ある学校は「学び直しニーズへの対応」とか・・・。まあ、より一層の「改革努力」を迫られるわけですね。
で、特色と実績をあげるための準備に公立高校教員が四苦八苦して、部活がものすご~く負担に感じたりするようになるわけです。
そうすると、そこに部活の外注化というニーズが発生して、またスポーツクラブのインストラクターたち派遣業とか、カルチャーセンターの講師派遣業みたいな仕事が広がってきます。
で、そうやっていろんなことを外注化していきますと、ますます教員の仕事は教室のなかの授業改善やカリキュラム開発に集中することになりますが、そこにさらに「特色と実績をあげろ」というプレッシャーがかかるわけで・・・。
教員を疲弊させる教育改革の進展⇒教員の多忙化⇒外注化ニーズの発生⇒安心して外注できるシステムの整備⇒教員をより教育改革の枠内での仕事に従事させ、さらなる疲弊をもたらす⇒さらなる外注化ニーズの発生・・・。
こういう悪循環のスパイラルがはじまっているように思えてなりません。
もうそろそろ、私たちがこの悪循環のスパイラルからどうやって逃れるか、ということ。そこを考えていく必要がありますね。
いま求められる「オルタナティブ」って、本当はそういうことでしょ?
この悪循環のスパイラルのなかで「安心して外注できるシステム」の一角に食い込むことじゃないと思うんだけどなあ。
でも、いまここに描いたような悪循環のスパイラルに気付かないでいると、なんかよさそうに見えるんですよね。「多忙化解消のために」とか「学校が行き詰っているから」とか「~しよう」という話が・・・。
※ちなみに私の印象では、今のフリースクール系の人々やこれを支援する子どもの人権論関係者も、この悪循環のスパイラルを構築する一部に組み入れられてしまっています。
つまり「今の学校ではもうだめだ。子どもは暮らしづらい」と考えて、その「外」に子どもの居場所や学びの場をつくろうとしているわけですから、立派に「外注化」ニーズに組み込まれています。
また、熱心に「教員の多忙化」を「部活動の負担」問題から説く研究者(=その代表的な人は、例の組体操問題でも有名な方ですが)や現場教職員も、表層に現れた課題の指摘や苦情を訴えることはできても、この「外注化」ニーズに自らが組み込まれていること自体にあまり気づいていません。
だからこそ、こういう人々は政権与党や文科省的には「安全パイ」で、彼ら彼女らには「どんどんマスコミで情報発信してほしい」のでしょう。
なにしろ「悪循環のスパイラル」を有効活用して、既存の公教育体制を解体・再編したいという政権与党や文科省のニーズに、彼ら彼女ら、かなりマッチしているわけですからね。
それだけに、この「悪循環のスパイラル」が生み出している「教育の病」は深い、ということです。