できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

おとなこそ、いま、メディア・リテラシーが大事

2012-01-08 00:01:00 | ニュース

この金曜日(1月6日)あたりから、橋下市長はテレビ朝日の報道ステーションに出たり、関西ローカルのテレビ番組にでたりと、大忙しの様子ですね。きっとこの土日月の1月の三連休は、何らかの形でテレビに出るのではないでしょうか。「お休み返上で、よくがんばりますねぇ」と、一応はその点、言っておきたいと思います。

きっと彼には、大阪市内の各地域に地盤になるような組織を持たないうえに、「大阪都構想」や「学校選択制」なるもので従来ある地域コミュニティの基盤をぐらつかせるような、そんな政策提案をしている以上、マスメディア、特に新聞とテレビをつかった世論誘導こそが、自分への人々の支持を取り付ける有力な装置だという認識があるのでしょう。また、テレビに出るタレント弁護士としての経験や、そこで培ったお友達タレントなどとの人脈も活かせますしね。

だからこそ、市長選で当選して以来、次々にいろんな構想をぶちあげてみたり、就任後も市の職員労組との対決の構図を描き出したり、あるいは、年明けも連日のように何かと政策提案を連発する(=その提案の多くは、よく検討すると他自治体のマネであったり、前市長の頃から検討中のことを手直ししただけ、スピードアップさせただけであったりするのですが)。こういった形で、橋下市長はあの手この手でマスメディアに自分を露出させるか、自分からの提案を連発することで、何かと自分たちの方へと注目を集めようとしているのではないでしょうか。

しかし、そのことは裏を返せば、実は大阪維新の会には、いまのところ、橋下市長のマスメディア向けパフォーマンス以外に、自らの政策を実行に移していく有力な道具がない、ということを意味しています。

そして、そうやってマスメディアに出ても周囲からの批判に耐えられるようなキャラクターの持ち主も、実は大阪維新の会には橋下市長しかいない、ということも示しているのではないのでしょうか。思うほど、橋下市長が今、府市統合本部などに呼び集めているブレーン層も、今のところは動けていないですし、実はそのブレーン層も橋下市長のパフォーマンスにぶらさがっていこうとしているような人に見えますしね、私には。おまけに、年明け早々に飲酒運転でひきにげ事故を起こしたような堺の市議も、大阪維新の会には居ましたしね(世間はもう忘れたかもしれませんが、私は忘れていませんよ)。

だからこそ、私が言うのも変ですが、ある意味、土日も返上でテレビに出て、「孤軍奮闘」に近いようながんばりを橋下市長は示しているのでしょう。

こんな感じで、新聞・テレビなどのマスメディアで次々に連発される橋下市長の施策や、市職員労組や学校の教職員、市教委などとの対決の構図、自分を批判する有識者などへの挑発的な言動等々は、いわば、「なんとかして自分の側に注目を集めつづけて、自分たちの施策への支持を調達するためのもの」ということを示しているのではないかと思えてきました。

だとするならば、まずは、彼の出てくるテレビ番組や、彼らの政策を伝えようとしている新聞記事など、マスメディアが発信する大阪維新の会、橋下市長等に関する情報をていねいに検証する作業こそが、彼らの動きに対抗していく第一歩のようにも思えてきました。

いまこそ、おとなたちのメディア・リテラシーの力が問われている時期はないのかもしれません。子どもたちのメディア接触のあり方以上に、私たちおとなのメディア接触のあり方、これを今、ていねいに問い直しておきましょう。特に、大阪のことに限らず、政治的な問題に関する情報について、私たちはそれをうのみにすることなく、きちんと検証して理解できるようなスキルを持ちたいものです。


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