不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

社会教育・生涯学習行政の「解体」?

2006-10-11 12:11:13 | 大阪市役所への質問(再開後)

ちょっと言い方はキツイですが、今、「」施策見なおしといって大阪市長が導入しようとしている施策が、青少年会館の部分についてのみ、私は「施策見なおしに便乗して、社会教育・生涯学習行政の解体をめざすもの」に見えてしかたがない。

と同時に、「教育委員会の一般行政からの分離・独立の原則」という、教育法令上の重要な原則をないがしろにする行為のようにも見えてしかたがない。

ここまでいろいろやられていて、大阪市教委として黙っていていいのか、やられっぱなしじゃダメだぞ、という思いもあるので、市教委上層部への「激励」の意味で、以下のメールを送りました。

と同時に、社会教育・生涯学習や、教育行政・教育制度・教育法・教育政策などの研究者が、大阪市で起きているこの事態に対してあまり発言しないでいることについて、私としては「おい、しっかりしろ!」といいたいので、このメールをブログ上にアップしておきます。

<以下、市教委に「市民の声」から送ったメール>

前略、再度あらためて、大阪市長が昨日出した「」施策見直し方針に関連して、青少年会館のことをとりあげ、大阪市長の権限と大阪市教育委員会(以下「市教委」と略)の権限との関係について、お尋ねをしたいと思います。
 まず1点目。青少年会館条例を含めた条例案の制定・廃止等は市議会の権限でありますが、では、社会教育関係の条例の原案は、市議会議員が提出するのでなければ、どこが出すことになるのでしょうか。青少年会館が市教委の社会教育施設である以上、市教委が条例案を出すのがスジだと思われますが、この点はいかがでしょうか。
 2点目。以前、№0610-11474-001-01で市民局長名で回答をいただいた際、地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会の出した「まとめ」については、「あくまでも、監理委員会としての結論であり、市教育委員会の独立性を侵すものではございません」とのことでした。では、今回マスコミなどで伝えられているように、青少年会館12館の来年3月末廃止、多目的スポーツ施設等への転換、「ほっとスペース事業」等の青少年育成関連諸事業の全市展開といった大阪市長の出した「」施策見なおし案については、同様に「これは市長の考え」で「市教委は別の判断をする余地がある」ということになるのでしょうか。
 ちなみに、法令上の建前からすると、大阪市長と市教委は「独立」「対等」の関係にあると考えます。また、「独立」「対等」の関係にあると考えると、大阪市長の意向とは別に、大阪市の社会教育事業として必要な施策については、市教委が独自の人員配置・施設整備等を、市議会の条例制定、予算措置の承認等を得て行うことが可能かと考えます。この点について、市教委の理解はいかがでしょうか。
 3点目。市教委としては、前述監理委員会の「まとめ」でも明らかなように、すでに青少年会館は「」施策ではなく、一般青少年を広く対象とした事業を行う施設として位置づけ、数々の事業を展開してきたところだと思われます。そうすると、今回の市長の方針は、「」施策見なおしを口実にした、実質的には大阪市の社会教育・生涯学習行政の「解体」を目指したものだとも受けとめられます。
 少なくとも私はそう認識しているわけですし、子どもや保護者、地域住民の「学習権保障」の大幅な後退を招く施策として、市長の方針に強く憤りを感じているわけですがが、この点についての大阪市教委の認識はいかがでしょうか。
 以上3点、大変答えにくい質問もあるかと思いますが、市教委としての見解をお聞きしたいと思います。お忙しいところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いいたします。 草々


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

経営企画監からの回答への再質問

2006-10-11 10:07:17 | 大阪市役所への質問(再開後)

はい、いよいよ市政改革の本体、大阪市の経営企画室(その長が企画監)からの返答がきました。わざわざ手紙で大学にお返事をくれましたが、他の局との対応のちがいが逆に気になります。なんかウラがあるんですかね? また、回答の内容も、説明になってない部分が多々ありましたので、あらためて質問をしておきます。

<以下、再度「市民の声」で送ったメール>

前略、本日大学に出勤した際、郵送で大阪市経営企画監(庶務担当)からの「市民の声」回答「№0610-11551-001-01」をいただきました。お忙しいところ、わざわざ郵送でご回答いただき、ありがとうございました。
 ですが、次回からは郵送に加えて、電子メールでの送信もお願いします。なお、市民局や市教委はすべて電子メールで回答していますので、そのこともあえてお伝えしておきます。また、この回答は私の9月25日付けの質問への回答かと思われますが、今回の経営企画監からの回答にはいつの日付の質問に対する返答かが抜けておりますので、その点も、昨日市民局の方にはお願いしましたが、今後、是正をお願いします。
 さて、あらためて上記文書番号でのご回答を読んで、いくつか質問・意見を述べさせていただきたいことがあります。引き続き、ご返答のほどよろしくお願いします。
 一点目。「地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会」(以後「監理委員会」と略)について、上記の回答では、「客観的な立場を確保しながら市民の信頼を一日でも早く回復するためにスピード感を持って取り組む」という目的で、外部委員に「大阪市政に関わりのある方」を選んだとのことでした。
 しかし、「市民の信頼を回復する」ということと、「スピード感を持って取り組むこと」との間には、なんら論理的なつながりはありません。世の中には「拙速」という言葉もあるとおり、急いでつまらない改革案を作るくらいなら、時間をかけてじっくりと行ったほうがいいこともあります。なぜそれほどまでに監理委員会は点検作業を急いだのか。また、監理委員会で短期的に大阪市側の設定した日程で審議し、来年度予算等に反映したいと考えた理由はなぜか。特に政策的課題についての点検をなぜ急いだのか、その理由をご回答いただきたい。
 二点目。弁護士や入札等監視委員会の委員を監理委員会の外部委員に選任したことには一定の妥当性があると認めますが、「市政全般に精通している」という理由で「市政改革本部員を経験している方」を選ばれたというのは、いかがなものか。はたして、例えば過去の青少年行政や人権行政などの細かいところまで、その方が精通していたのかどうか。大変疑問に思います。むしろ、そういう理由で市政改革本部員の経験者に外部委員をお願いすることは、ご本人にとっても大変荷が重い仕事を任されたわけで、疑問が残るのですが、いかがでしょうか。この点もご回答いただきたい。
 三点目。監理委員会における短期間の審議において、上記の回答では「委員による自由闊達な議論があった」と述べています。しかし、会議録非公開という現状では、その内容を市民から検証する術がありませんから、その言葉を字義どおりに受けとめることはできません。また、その「自由闊達な議論」の内実があの「まとめ」の内容であったとすれば、本当に「市政全般に精通している方」の議論であったのか、大変疑わしいです。そこで、今からでも遅くないので、監理委員会の会議録を全面公開することはできないのでしょうか。早急に公開を決定していただきたいと思います。
 以上3点、要望も含めまして、あらためて質問させていただきます。草々


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「むきだしの自立」への第一歩

2006-10-11 06:08:46 | 大阪市役所への質問(再開後)

また関市長への抗議と質問のメールです。今回は「権利保障のない状態の一律平等」「権利保障のないむきだしの自立」という言葉とか、「これまでの権利保障の取り組みを身包みはぐもの」という言葉を使いました。どうやらこれが、今の大阪市政の「」施策見直しを語るのにぴったりくると思いますね。

もっというと、これは行政サービスの水準を後退させ、「一律低水準での平等」にするというもので、「格差社会=不平等社会」のより一層の拡大を行うものでしかありません。したがって、このような「」施策の見なおしに対して反対の声をあげない政党が「格差社会の是正」を訴えたところで、そんな政党には「ただし、被差別は別」という但し書きがついているのだから、「それじゃダメだな」ということしかありません。

さらに、青少年会館についていうならば、私の見たところ、あの大阪市長や監理委員会側ですら「全市的に展開すべき事業」というしかないものを実施していたわけで、すでに一般施策化が相当に進んでいます。それをこうやって「切る」わけですから、これは「」施策見なおしのレベルを越えています。もうすでに、「青少年施策」や「次世代育成施策」そのものの切り崩し、あるいは「社会教育・生涯学習施策」そのものの「解体」を行っているというしかありません。そこにはおそらく、青少年会館の敷地・建物の売却、もしくは既存施設のスポーツ施設化による「民営化」などを通じた「平成の払い下げ」を行い、それで財政再建を行おうという意図が見え隠れしています。もしもそうだとすると、これは新たな「利権」を生み出すものではないのでしょうかね。市長のいう「本当の意味で施設がうまく利用されるように」というのは、こういう「利権」を民間企業などが利用できるように、という意味ともとれますが。

<以下「市民の声」から送信した内容>

前略、昨日10月10日に発表された大阪市長による「」施策見直しについて、いくつかの問い合わせと、抗議の意思をあらためて以下のとおり表明します。
 さて、毎日放送や朝日放送、関西テレビの昨夜のインターネット配信ニュースによると、関大阪市長は「今の利用者を無視するのではなく、特別扱いをせずに本当の意味でうまく施設が利用されるようにしたい」(関西テレビのネット配信ニュース、10月11日0時14分配信)と述べたようですね。
 しかし、今の青少年会館・人権文化センター・地域老人福祉センターなどの利用者から、「廃止反対」という意見が出ている。そのなかで「今の利用者を無視するのではない」というのは、関市長、いったい、どんな考えでこう言っているのでしょうか? 脇で見ている私らからすると、論理的な説明に全くなっていない。今の関市長が記者会見で打ち出した方針こそ、「利用者無視」の最たるものだと考えますが、いかがでしょうか? 関市長には論理的な説明をしていただきたい。
 次に、「特別扱いをせずに本当の意味でうまく施設が利用されるようにしたい」ということについて、いったい関市長は、どういう内容の実現を目指して考えているのでしょうか。私の目には、この言葉は「行政による権利保障のないむき出しの自立と、権利保障のない状態での市民の一律平等を、最も力の弱い市民層の多い地域の住民に強いるもの」という風に見えますが、いかがでしょうか。なにしろ、「特別扱いしない」ということですから。これに加えて、青少年会館などは施設そのものを廃止し、別施設に形態を転換するわけですから、「うまく施設が利用されるように」という以前の問題ではないでしょうか。
 あるいは、毎日放送のネット配信ニュース(10月11日、0時13分更新分)では、青少年会館について「特定の地区にだけ施設があるのは市民の理解は得られない」と市長が述べたとのことですが、だとしたら、既存の施設を残したまま、他地域に施設を建設するなど、全市的に青少年会館を設置するという道もあります。なぜそういう方向ではなく、12館全館を廃止するという方向に向かうのでしょうか。あるいは、今、青少年会館で行っている施策を全市的に展開する必要性を大阪市として認めておきながら、これまでの歴史的経過のなかで、どうしてそのような措置をとらなかったのでしょうか。この点も、今の大阪市長の主張は、論理的な整合性がないように思いますが、いかがでしょうか。
 このように、ネット配信記事で紹介されている関大阪市長のコメントには、大阪市内の最も力の弱い市民層に対する配慮のかけらも感じません。これまでの権利保障の取り組みを「身包みはぐもの」としかいいようがないと思います。このような施策の実施については、私としては到底容認できるものではありません。すぐにこの方針を撤回していただきたい。以上、とり急ぎ、お伝えします。 草々


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする