できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

藤田和恵『民営化という名の労働破壊』から

2006-10-03 19:26:33 | 本と雑誌

以下は、藤田和恵『民営化という名の労働破壊 現場で何が起きているか』(大月書店、2006年)の、「宅配便の労働実態」というところからの引用(p.140~141)。

<以下、引用文>

殴る蹴るは当たり前だった。「ノルマ」を達成できないと、上司に同僚の前で下着を脱ぐように命じられる。そして、ライターで体毛を焼かれた。チリチリという音と、独特の焦げ臭さが辺り一面に漂った。(中略)

入社後しばらくたったころ、新聞報道などで運送業界のノルマの強制が取り上げられたことがあった。それ以後、上司は決して「ノルマを達成せよ」と言葉に出しては言わなくなった。でも、やられることは同じ。結局、恐怖感が先立ち、大垣さん(仮名=引用者注)は自腹を切ってノルマを達成したように装い続けた。(後略)

大阪市の市政改革推進会議の委員長さん、あなたはこういう民間運送業者のあり方をどう考えますか? あなたは自分のブログ上で、宅配業と郵政公社の関係を含め、「官から民へ」の移行を持ち上げてばかりいますが、本当に「民間」がしていることはいいことばかりなのでしょうか? こういう民間業者の実態を把握した上で、「民間は国や地方自治体の行政よりよい」と言っているのでしょうか? こういう本を読んでいると、私の目にはあなたが、どうやら現場でのマイナス面を見ず、ただバランスシートの帳簿上の数字が変わればそれでいい、という風にしか思っていないように見えてきます。


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立ち上がった「施設利用者」たち

2006-10-03 13:18:17 | ニュース

今日は大阪市内某所でのハリ治療に午前中行くのと、前もってある人から教えてもらったので、朝8時過ぎから9時ごろまで、大阪市役所前での青少年会館・老人福祉センター・人権文化センター・障害者会館などの各施設利用者たちの抗議のビラまきを見てきました。まぁ、その場にいてると、見るだけじゃなくてなんかやってみたくて、「チラシ受け取ってください!」と通行人への声かけの手伝いなどもしたのですが(笑)。

お年寄りやからだの不自由な人たち、それから青少年会館に子どもが通っている保護者の人たち、地域の住民、ボランティアのみなさんなど、いろんな立場の方数十人が、大阪市役所前の御堂筋でチラシを配っている様子は、なかなか見ごたえがありましたね。

これからも、各施設の利用者が入れかわり、立ちかわり、こうした抗議行動をしている姿を示されることを期待したいです。また、今日、抗議行動をした地域の人たちだけでなく、ほかの地域の人たちも、ぜひ、市役所前での抗議行動に動いてほしいな、と願っています。みなさんも「市民」である以上、今の大阪市政のあり方に対して、きちんと「ものを言う」権利はありますので。

それから、大阪市役所へ出勤する市職員の人たちが、これら各施設の利用者たちからのチラシを受け取っていました。今後、今日受け取ったチラシに対して、市職員のみなさんがどういう反応をするのか、とても楽しみです(笑) また、チラシを受け取ったほかの人たちが、この件についてどう反応してくるかも、大変楽しみではあります。ところで、このチラシは関市長や、市政改革本部にも届いたのでしょうかね?(笑)

と同時は、今日はその抗議のチラシ配布の場に、関西のテレビ局・新聞社の人などがたくさん集まっていました。これで、遅まきながらようやく、市役所筋から流される情報だけでなく、こういう施設利用者の側からの話が、マスメディアを経由して流されることになります。

個人的に今後マスメディアに期待したいのは、大阪市役所側、特に市長側がいろいろ言うかもしれませんが、そのつど、こうした施設利用者の側からのコメントもとってほしいこと。また、今回はある地域の施設利用者だけがビラまきをしていましたが、大阪市内にはほかの地域の施設利用者もいるし、同じ地域でもこういう抗議をしたくてもできない人もいるので、できるだけ「地べた」をはいまわって、こういうほかの人たちの声も集めてほしい、ということです。結局、テレビであれ新聞であれ、今までこの件での報道に決定的に欠けていたのは、「実際に各施設を利用している当事者の視点」からの報道ではなかったのでしょうか。

あらためて考えればわかることですが、「市民」といってもさまざまで、例えば、大阪市の税金の無駄づかいなどを指摘する市民グループだけではないのです。それこそ、今、廃止対象にあがっている各施設を利用している当事者も、「市民」ではないのでしょうか? また、こういった当事者こそ、地元地域で各施設を利用している「一般利用者」ではないのでしょうか。

ところで、「地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会」は一度でも、こういう「実際の利用者の存在」について、考慮したことがあるんでしょうか? もしも本当に「実際の利用者たち」のことを考慮したのであれば、一度、市内各地域の廃止対象施設を利用している人々に対して、それを「全部まわる」形で、きちんとした説明を同委員会のメンバーでやってほしいな、と思いますね。でないと、利用者でもある「市民」に対して、行政としてのきちんとした「説明責任」をはたしたとはいえませんから。

そして、何度もくりかえしになりますが、今までネット上でこれら施設のあり方をバッシングしていた人々に、あらためていいます。

私のこのブログ及びもうひとつのブログにも、いわゆる「2ちゃんねる」経由で、なにやらアクセスがあるようですが、こういった各施設の利用者に対する誹謗・中傷目的でのアクセスであれば、今後一切、やめていただきたい。また、インターネット上で、こういった各施設の利用者を誹謗・中傷するような発言についても、今後一切、控えていただきたい。さらに、今まで市役所側から流されてきた情報に踊らされて、こういう利用者の存在に全く気づかずにきたのであれば、そういう自分のメディア・リテラシー力の弱さを、この際、反省的にふりかえる機会を持っていただきたい。私は、みなさんの「良心」を信じたいです。


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