そんなことで井上尚弥の試合と共に台風が迫って来て、予想外の形で大変な事になってきましたが...とりあえず月も変わり、簡単ですが予想、というか願望というか。
今回は、挑戦者選びに批判的な向きもある相手、TJドヘニーとの対戦となりました。
予想有利であることはいつもと変わらないのですが、そういうのを通り越して結果が見えているカードであると。
まあ、本来の意味で、最強の世界チャンピオンなんだから、誰相手でも勝つと目されるのは当然で、まして井上尚弥なんだから、という風に思うのですが、確かに最近は王者対決や仇敵との対戦が続いてきて、今回は元王者とはいえ格落ちだと言う声が上がるのもやむなし、ではあります。
しかし、久々に年3試合ペースを実現しようとしている(出来ないかもしれませんが)井上尚弥と陣営にしてみれば、それをやるには全部が全部、王者対決というわけにはいかない。そもそも全部自分で片付けてしまっているわけですし(笑)。
この試合をクリアすれば、おそらく年末、多くが然るべき挑戦者だと見るムロジョン・アフマダリエフか、サム・グッドマンのどちらかとの対戦が日本で行われる(サウジやマッチルームの影響を嫌うなら、MJは外れる?)と思われます。
もしMJとの対戦になったら、4試合連続でサウスポー戦ですね...まあそれはおいといて。
井上尚弥が格下相手にテンション落とすのではないかという心配については、おそらく無用かと思います。
本人は好調、というのを越えて、厳しい鍛錬ぶりを再三アピールしているようですけど、その源はやはり、前回のネリー戦、その内容に対する反省、さらに自身に対する一種の怒りではないのか、と見ます。
単にパワーヒッターとして、相手を倒すこと「だけ」に満足するのであれば、ネリー戦の試合内容は、ある意味100点満点です。
試合直後、本人も初回のダウンを「サプライズ」と表現し、盛り上がったから良いでしょう、と言っていましたが、言葉が口から出た瞬間に「あ、これは自分自身に腹を立ててもいるな」ということが伝わってきました。
単なる強打者でなく、打たせずに打つボクシングに強いこだわりを持つ井上尚弥にとり、あのダウンはやはり屈辱だったはず、です。
試合直後しばらくは、SNSで倒されたところばかりがアップされて苦笑していましたが、そういうことだけではなく、言えば彼自身の、ボクサーとして沽券に関わるという、より深刻な意味合いにおいて。
今回の試合、当然井上がKO勝ちするのを見たいわけですが、それとは別に、その過程において、井上がいかに隙の無い、水漏れのない構えで試合を運ぶか、というところに注目し、期待しています。
勝ちに繋げる過程において、ドヘニーに勝つ可能性をほとんど与えず、躱して封じて、その上で勝つ。
それが今回、井上尚弥がその心中に秘めた、この試合の重大なテーマなのではないか、と。
今回の試合では、仮に結果が判定だったり、攻めあぐねるという印象で試合が終盤まで行ったりしても、その過程に納得感があれば、それで良し、としたい。
そのくらいの気持ちで、試合を見ようと思っています。
もっとも、こんなことをつらつらと書いたあとで、初回早々バンバンとやって畳んでしまう、という可能性もあるから、井上尚弥は怖いのですが...(笑)。
対するTJドヘニーは、日本のリングで4連勝、岩佐亮佑に判定勝ちでIBF王座奪取し、陥落、苦境を経て、中嶋一輝、ジェフ・ラミドを連破するなど、復調というかV字回復してきたサウスポーです。
岩佐戦では相手の射程を忙しない動きで外す技巧派ファイターのイメージでしたが、最近はフィジカルとパンチの強さを押し出すパンチャーになっています。
その体格は試合の時点でスーパーウェルター級リミットに突入すると言われます。
今後、井上がフェザー級で闘うための、良い予行演習になるのでは...いや、フェザー級チャンピオンたちでもなかなか、こんな体格の人、おらんのでは、と思うくらいで。
もう階級制って何よ、という話にもなります。前日計量制導入から30年を越えて、色々手に負えんようになってきたなぁ...というのはひとまず置いて、対する井上尚弥とて、現実的な対応が求められることでしょう。
実際、今の井上はバンタム級の頃、例えばエマヌエル・ロドリゲス戦やノニト・ドネア第一戦の頃とは、明らかに肉体の厚みが違い、それによって柔軟さと強さの配分が、徐々に変わってきているように見えます。
動きの柔軟さは目減りしているが、攻防共に最小限の動作で、最大限の効果を上げるための肉体強化をしている。
それはスーパーバンタムへの完全な適応、に留まらぬ、さらなる目標があるから、なのでしょうが...。
そういう方向性で変容しつつある井上尚弥相手だからこそ、こちらも岩佐亮佑戦の頃とは肉体的に変わり、闘い方も変わっているTJドヘニーに「パンチャーズ・チャンス」がある、のかもしれません。
ドヘニーは、その一瞬のために全身全霊を込めて、全てを賭けて向かってくるでしょう。
さらに言えば、もし井上尚弥が不調だったり、油断していたり、闘う意志に何らかの翳りがあったりした場合、その左クロスとアッパーの「十字砲火」が井上を捉える可能性は高まるでしょう。
そういう相手に、前回の試合を受けて井上尚弥がどう対するか。どのように構え、躱し、捌き、撥ね付けるのか。
結果以前に、まずはその内容を見たい。万全、水漏れ無し、寄せ付けず、完封、という形であれば最高です。
それによって、井上尚弥のさらなる高みを目指す闘いが、どのような様相になるのかが見えるだろう。そんな風に思っています。
格下相手の一戦、予想圧倒的有利、ということとは別に、その点において、目を離せない、という思いで見ることになる。そんな試合ですね。
ネリ戦ではダウンからの立て直しなど、井上の能力、精神力の高さに改めて感心しましたが、あれを「いい試合」「面白い試合」とは思えず。倒し倒されは実力が拮抗した相手とやって欲しかったですね。前回の東京ドームはネリという相手選び含めて「お祭り」で、普段ボクシングを見ない人にも楽しめる試合ではあったかもしれません。プロレス好きの友人は、「井上尚弥はアントニオ猪木だ」と興奮しておりました。あの試合に限っては分かる気もしますが、井上本来の魅力はそういうものではなく。
今回はメインのカードが弱い代わりにアンダーは充実していますし、興行への不満は多々あれど何だかんだ楽しみになってきました。しかし佐々木の対戦相手の身体すごいですね。背が低いわけでもなく、あれでどうやってウェルターの体重を作れるのか不思議です。
前回は本当に、余計なことが色々とありました。井上尚弥ならばこそそれを全部担い、背負い、綺麗に片を付けてくれたわけですが、こんなことばかりじゃいかん、と強く思います。また井上尚弥とは、ボクシングとはそういう面白さなのだと思われても困ります。
そのご友人の例えば申し訳ないですが最悪ですね(笑)。ご冗談でしょうと。
今回はセミ、セミセミに、第一試合も普通ならメインカードですから、そういう意味では充実した興行ですね。問題はやはりタイムスケジュールですかね。何でも映画館でのライブビューイングには、井上尚弥のドキュメンタリーか何かが30分、固定で流れることになっているそうで、それが会場の観客にどう影響するのかしないのか(多分、するのでしょうね)等々、気がかりなところです。やれやれですね。
佐々木尽については、今回は予備知識なしに見ることになりそうです。相手、そんなにごついですか。まあ...どうなるか見てみよう、という感じですね。
さすがに10キロ以上の増量は危険な体重差になり得るのでそこは怖いところですが、触らせなけりゃ関係ないという感じで行くのでしょうかね。
今回は一発の危険性高い相手なので、私も仮に終盤まで時間かかるとか、判定になったとしても、それが被弾なく隙のない戦いをした中での事ならそれはそれで良いと思ってます。
統一戦ではやらないことになったんですよね。数年前くらいでしたかね?
井上は計量後のインタビューで、ドヘニーの体重戻しについて牽制球投げましたね。「マインドゲーム」の一環ですかね?そこまで考えてないか(失礼!)。
実際、言われた方はちょっと考えるかも。目に見えて迷いが出るとも思えませんが、僅かでも影響するんでは。
今回、本人のコメントにも、ドヘニーの強打警戒に加えて、前回のダウンを踏まえた上でどう構えるかを意識しているような印象のものが見受けられます。まあ、勝負となれば行くんでしょうけども。
しかしスポーツとして観たら最高に面白すぎましたし、ボクシングの魅力存分でしたが(笑)
この倒す欲に溢れ、観る者を魅力するボクサーが無敗で終わる、これは究極の事です。だいたいフラストレーションが起きる試合は必ずありますから、それが無いのですから、井上尚弥には(笑)
かと言って、このいつ倒されてもおかしくないステージ、ほとんどが体格差不利の中でも、倒す事に絶対妥協はしない、と信頼出来るボクサー。
もぅ全力応援しまくります!あと何試合観れるのか…。考えたら怖くなります最近(笑)
私はあのダウンの直後は、この世の終わりってこんな感じか、と一瞬思いましたが(笑)まあちゃんとひっくり返してくれましたから良かったですけど。
自分のボクシングファンとしての過去に、暗澹たる気持ちになったことは数知れずありますが、その重さ深さで言えば、辰吉丈一郎がビクトル・ラバナレスとの初戦で負けたときがその最たるもので、今日はあのとき以上の落胆をすることになるのだろうか、と思った次第です。
確かに倒すボクサー、スペクタクルなボクサーが無敗のままというのは、あまりないですね。井上尚弥の基本はそれ「のみ」に傾倒したものではないはずですが、結果としてそうなっている。ある意味理想、究極です。
仰る通り、あと何試合見られるのか、ということを思う段階に入ってきましたね。もう世界王座に就いてから10年を過ぎているわけで、もう充分過ぎるほどですけど、さらに上のクラスへの挑戦が「やらねばならないこと」になってしまっているのですから。期待していればいいのだと思う反面、祈るような気持ちで、良い形でのキャリア終幕があってほしいとも思っています。