角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

お祭りと家族。

2008年09月13日 | 地域の話


今日の草履は、彩シリーズMグループ22cm土踏まず付き〔4000円〕
ブルー基調の小花プリントをベースに、合わせは紫の水玉プリントです。清涼感に優しさも感じられますね、綺麗な草履と思います。

お祭り明けから三日間のお休みを経て、本日四日ぶりに実演再開です。町はいつもの風情を取り戻し、私自身も「いつも通り」が戻った感じですね。
草履の常連さんでもあり、町内で商いをされている女性がお越しになりました。お祭り期間の「商い実績」が話題に上り、『どこも良くなかった話ばっかりだよぉ』。

こちらの女性も本業の傍ら茶屋風の露店を出していて、やはり結果はその言葉通りのようでした。昨日のブログでも少し触れましたが、昨今のお祭りでは寄付等のやむおえない出費を除き、出来るだけ飲食などの出費は抑えたい風潮のようです。

主婦と呼ばれる女性からよく聞く言葉に、『お祭りなんて要らないのにねぇ』。角館で生まれ育った人が言うこの言葉は、冗談と本気半々が分ります。子どもの頃から慣れ親しんだお祭りを本当に要らないとは思ってないのですが、やはりそれにかかる費用や客人の飲食接待を想うに、すべてが「笑顔」というわけにもいかないでしょう。

わが家はずいぶん前からお祭りに出店していたので、いわゆる親戚等の客人接待とは無縁でした。もっともお店を出す手間ひまはたいへんなもんですけどね。
出店もやめたこの三年間は、とにかく娘たちの踊りに追われる年を繰り返しています。娘たちがまだ小さいうちは昼だけで良かったのが、一定の年齢になると今年のように「納めるまで」の番が回って来るんです。

曳山に上がってしまえばピッタリ着いている必要はないのですが、その前と後がたいへんです。美容院で頭が出来たらすぐに化粧と着付け、そしてヤマへと車で連れて行きます。深夜や早朝が当たり前の納める時刻を睨みながら迎えに行き、そして翌日また繰り返す。これが三人分ですから手数も苦労ですが、かかる費用もそれなりなんですよねぇ。

カミさんが生まれ育った土地は、角館ながら旧町ではありません。子ども時代も旧町の親戚に呼ばれ祭り雰囲気を味わったとは言え、本当の意味での祭りの面白さは知りません。ですから娘たちが踊りを終えて帰宅したあとも、また半纏を着て出掛けていくその心境が分らないと言います。きっとそんなもんだと思いますよ。そういう意味ではよく付き合ってくれてますね。

角館で生まれ育った人たちが、お盆に帰らずともお祭りに帰るという話は、このブログでも何度かお伝えしています。もちろん今年もそんな同期生たちと出逢いました。
東京に暮らすNAクンは、二年ほど前帰省の折に草履をお買い上げくださった人です。今年のお祭り帰省でも立ち寄ってくれて、『カミさんのお土産にひとつ買って行ぐぅ』。なんでも近く入院の予定があるとかで、『病院の中で履けばイイべっ』と言ってましたねぇ。
入院が近い奥さんを残してまで帰りたいふるさとの祭り、ご機嫌とりに草履一足なら安いもんでしょ。

別の同期生も県外に家族を残し、ひとり祭りを楽しんで帰りました。今日メールがあって、『今日は家族サービスで近くのキャンプ場に来てます。お祭り疲れで体はキツいんだけどね…』。
角館に暮らす人も県外に暮らす人も、それぞれに多少は家族を犠牲にしてるんですよねぇ。

コメント
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