角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

権利を得るための手数。

2008年09月01日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
藍色基調の井桁プリントをベースに、合わせは紺です。私も大好きなこちらのベース、紺を合わせるとより和が活きる気がします。

このブログにもたびたび登場する布草履作り経験者。『つま先が円くならないのよぉ』とか、『左右が同じにならなくてねぇ』といった言葉をよく聞きます。今日もこの趣旨の言葉がおふたりからありました。一日にひとりも出逢わない日はないくらい、布草履作りはほんとにポピュラーな趣味になっています。

「なかなか上手く出来ない」と言う人の多くは、まず経験が少なすぎますね。『どれくらいの数を編んだんですか?』とお訊ねすると、その多くは二~三足止まり。中には『あんまり難しくて片足で止めちゃったぁ』という人までいました。こうした場合私がお返しする言葉は、『生まれたての赤ちゃんが、自分の名前を書けなくて悩んでるようなもんですよっ』。

ときに布草履のスペシャリストとでも呼ぶべきおばさまもお越しになります。編んだ数は200足とか300足、7月21日のブログにご登場のおばさまは350足の実績をお持ちでした。
こちらのおばさまは布草履作りを誰かに教えるとき、『50足くらい編まないと思い通りの形にはならないわよ』と言っているそうです。スペシャリストゆえに体験から出る言葉、私も同感に思いますね。「綺麗な草履」を編み上げる“権利”を勝ち取るためには、それ相応の手数が必要ということでしょう。
「角館草履」をマスターし一定のお金を頂戴している生徒さんが複数いますが、どの人もこれまで編んだ数は300足を超えています。思う存分売って欲しいものです。

先日双子の娘が通う高校へ行ってきました。用件は「曳山参加保護者説明会」です。どうやら一年生のみが対象のようで、三年間に一度だけの召集なんですね。
午後6時30分からの案内で私が到着したのが10分ほど前、すでに50人ほどの親が着席していて、『お祭り絡みはみんな真面目に集まるんだなぁ』と密かに笑っていました。まず時間を守らないのが「角館時間」と云われていて、フツーの会議が時間通りはじまるのは珍しいと思います。

予測していた説明が一通り終わり、「許可願い」の用紙が配られました。それには親の署名捺印はもちろん、曳山責任者の署名捺印、さらには校内で三人の先生から捺印をもらう仕組みになっています。期限まで三日間ほどしかありませんから、生徒たちもウッカリでは済みません。なかなかの手数と思いますね。

学校がなぜこれほどの手数を踏ませるのか、それにはある意味がありました。許可を受けず隠れて曳山に参加する生徒がいて、だいたい祭りで悪さするのはこうした生徒というわけなんです。
そうした生徒への「見せしめ」に利用するのが先の手数、『許可を受けるために、親御さんが忙しい中に学校へ呼ばれ、いくつも判子をもらってはじめて参加権利を勝ち取るんだ。楽をして同じ権利が得られると思うなよっ』ってなワケですね。

わが家もその手数が滞りなく済み、間もなく「許可証」が発行されるでしょう。これで娘たちは、思う存分曳山の上で踊りを披露できますね。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする