角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

オンリーワンの面白さ。

2008年09月27日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ24cm土踏まず付き〔4000円〕
赤茶基調の漢文プリントをベースに、合わせは茶の唐草です。編み進むうちに、『これはなかなかイイぞっ』と思っていました。完成してみるとほんとにお洒落な草履に仕上がりましたね。
ベース生地も合わせ生地も、こちらの草履でひとまず完売です。どちらの生地もとても人気がありました、最後は文字通りの「オンリーワン」で締めくくりです。

「今日の草履」をお買い上げは秋田市からお越しのおばさま。最初に入って見えたときから草履に関心をお寄せでしたが、まずはミニ草履ひとつをご予約されてレストランへと入っていきました。食事が終わりミニ草履をお渡しすると、『この配色が好きなんだけど、また今度にするわぁ』。
指した草履が「今日の草履」だったため、『この配色をご希望であれば、“今度”はないですぅ』とお応えすると、『えっ、そうなのっ!?だったらやっぱり買って行くっ』。

草履と限らず気に入ったものが“一期一会”と知ると、人は急にその品に特別の感情を抱くのでしょう。作り手や売り手がこういうことを言うのもヘンですが、やはりそうしたときはすぐ手に入れるべきと思うんです。実演を通していつも感じる縁、「今日の草履」と秋田市のおばさまはしっかりと結ばれていたんでしょうね。

今日の実演席も“オンリーワン”の方々が続々お越しです。こちらも秋田市からお越しのご家族。実演を興味津々ご覧でしたが、お母さんから角館についていろいろ訊ねられました。幸い私が知ることばかりでしたから、ついついおしゃべり時間も長くなります。他のご家族はそろそろ次の目的地へ向かいたいようで、お母さんに軽く催促しています。するとお母さん、『いやぁ、もっと長く喋っていたいわぁ』。
今度はゆっくり時間をとってお越しください。私の知る範囲であればなんなりとお応えしますよっ。

お若い女性二人連れ、草履の話をいろいろしていると、『私のブログに載せたいので、一緒に写真イイですかっ』。どんなブログ記事になりますかっ、私のホームページもご紹介しましたから、そのうちなんらかのアクションがあるでしょう。こうしたことも楽しみのひとつですね。

こちらもお若い女性二人連れ、うちのおひとりは踊り子さんとしてお祭りのヤマに乗っているとのこと。どこのヤマか訊いてみると、それはお馴染みナースマンくんが囃子方として乗っているヤマでした。
彼は太鼓叩きなんですが、知る人ぞ知る“踊りの名手”でもあります。こちらの女性はナースマンくんの相方を務めたひとりで、その少し前に彼が来ていましたから、こういうのも面白い縁と思いますね。もっとも一番驚いていたのは、ナースマンくんと草履職人が知り合いというのを知った女性のほうでしたけどね。

人はそれぞれ“オンリーワン”、これはもちろん間違いのないことです。でもそんなオンリーワン同士がどこかで繋がって出来る社会、これがほんとの面白さなんですね。

コメント (3)
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