ちいさな幸せ

幸せの基準ってある?
それは自分の心の中にあると思う。
私は何時も陽だまりのような幸せの中に居た。

往ったり来たり

2008年08月05日 | 読みました

                ルリマツリ
     暑いさなか、ルリマツリの咲いている場所だけ涼しげです

   


7時頃から強い雨と雷の競演「明日の朝水をまかなくてもいいわ」と喜んだ。これが9月に入ってのことなら「一雨毎に涼しくなるわね」と喜ぶところだが、今は8月に入ったばかりだから、其れはないでしょう。


               ☆  ☆  ☆  ☆  ☆

            往ったり来たり       夏樹静子

夏樹さんの推理小説は何冊か読んだことがあります。私が推理小説に興味を持ったのは松本清張の「点と線」、女性では仁木悦子の「猫は知っていた」(第3回江戸川乱歩賞)だったと思います。4歳の時から脊髄カリエスで寝たきりで、学校に行かなくて独学でこの大きな賞を取ったという事で話題の人でした。

当時会社に図書部を作って、少ない予算ながら、買う本は私に任されていたので、この本を買った記憶があります。始めは本がないので本社の図書部から送ってもらって貸し出しをしていました。取立ては厳しく、期日が過ぎると罰金(一日に付き10円)を貰って本の購入費に当てた覚えがあります。役得は買った本が一番に読める事でした。

この本はエッセイなんですが、夏樹さんの小説以外を読むのは初めてです。唱歌の学校のはったさんが貸してくださいました。

エッセイですから身の回りのことが書かれていて「へぇ~こんな人だったん」と言う事が解って面白かったです。

病気の問屋さんのように色んな病気をしておられるのに驚きました。「椅子が怖い」と言う腰痛の経験を書かれた本を読んだ事がありますが、其れが夏樹さんの書かれたものであることはすっかり忘れておりました。「腰痛」だけをテーマに良くこれだけ長文を書けるな~と思ったのを覚えております。

夏樹さん付きの記者の人も「直られた時、このことを書いてください。メモして置いてください」って頼んでおられたそうです。人が痛みで苦しんでいる時に、凄い職業意識ですね。夏樹さんも頼まれる前から病状を克明に記録しておられたそうです。こんな病気の本が売れるのかしらと思ったのですが、良く売れたそうです。

今は膝痛で、立っているのが辛いそうで、何をするにも腰掛けたい(勿論座ることは出来ない)家のアチコチに椅子が増えているとか。日本料理店に行く時は「掘り炬燵式ですよね」と確かめる癖が付いたそうだ。今度は「椅子が恋しい」って本を書こうかと思うほどだって…。

眼に痛みがあって、普通の生活にも故障をきたしていた時、丁度囲碁に興味を持ち始めた時で、眼が痛くて本は読めないし書けないしで、興味のある囲碁でもして過ごそうとしたら、お医者様が「囲碁は黒と白がはっきりして刺激的だから止めて、緑を見る様にしなさい」と言われたそうです。

そこからが夏樹さんの発想の凄いところです。では白と黒の碁石を緑の濃淡にしたら如何だろうと考えたそうです。そして発注して、プラスチックの緑の濃淡の石が出来上がりました。50組作ってエッセイの後に「希望者にはお分けします」と書いたら直ぐ売り切れて追加注文したそうです。

しかしプラスチックの石では重さが普通のものの1/2しかない。そこで今度はガラス玉で程好い重さのものを作ったそうです。グリーン碁石は日本棋院で扱っているそうです。

グリーン碁石を使った囲碁大会を棋院の新聞で募集したら250人も集まったそうで、初代グリーン碁石本因坊には夏樹さんからカップを贈呈されました。

自分の発想から端を発して、大勢の人に喜んで頂いて、夏樹さんがその時感じたのは「生きている事はなんと面白いのだろう」と言う事だったそうです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする