緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

久しぶりの日本酒(9)

2019-07-12 21:47:28 | グルメ
明日から三連休。
この連休の前日の夜というのが、最高に開放感に浸れる。
こういう時は日本酒だ。
静かな部屋で、独り、味を確かめながらゆっくりと飲む。
併せて音楽を聴くのもいいが、思索に耽るのもいい。

仕事帰りに「山本」という秋田県の日本酒を買ってきた。



ラベルにこんな説明書きがあった。
「この商品は純米大吟醸でありながらも敢えて香りを控えめに抑え、酸味や旨味、後味のキレの良さなどを重視して仕込みました。今流りの華やかな酒質を期待して購入すると飲んだ際にがっかりして肩を落とすことになりますのでご注意下さい。
後付けですが、恋のほろ苦さも表現しています(笑)。」

日本酒のみならず食品のパッケージにこんな商品説明が書かれているのを見たことがない。
これはユーモアがあるし、正直だし、逆にいうと商品に絶対の自信を持っていることが伺える。
味は私の好みだ。
しかし私にはかなり甘い感じがした。
日本酒好きな人には分かるかもしれないが、精米歩合が50%前後の吟醸香の強い華やかな日本酒がここ数年氾濫してきた。
一口でいうと、果実酒のように甘くて日本酒という感じがしない。
メロンのような味がするものもある。

日本酒というと昔は硬派な酒で、女性はほとんど飲まなかったが、昨今はこの純米吟醸や純米大吟醸の開発で、女性好みの日本酒がたくさん生まれたことで、果実酒感覚で飲む人が増えてきるように思う。

ただ甘いと癖になるから注意が必要だ。
よく新宿などの地下で、バニラの臭いを店の外に充満させて客を引き寄せて、甘いお菓子を買わせている店を見かける。
これも商品の内容はともかく、バニラの臭いに釣られて集まった人が行列をなし、その行列の人の多さを見てさらに惑わされて買わされているということだ。
こういうお菓子ほど短命に終わる。
本物のおいしいお菓子はそんな売り方をすることはない。
甘い日本酒も、その独特の味に魅了されて買うひとが多い。
今、獺祭という日本酒が人気でスーパーでも買えるようになったが、昔は流通していなかった。
これも甘くて華やかな部類に入るが、日本酒は大量生産されるなったら終わりだ。
越乃寒梅や八海山がそのいい例だ。
越乃寒梅は昔、「幻の銘酒」とい言われたほど手に入らなかった。

それと、いい酒は絶対に飲み屋で飲むものではない。
これも持論ではあるが、いい酒は独りでゆっくりと、その酒の味を楽しみながら飲むのが一番。
つまみも食べない方がいい。

今「山本」を飲みながらこの文章を書いているが、酒と合わせてするものはせいぜいもの書きをするか、思索に耽るか、音楽を聴くか、文学を読むかのいずれかだ。

あと本当にいい酒は、たくさん飲んでもあまり酔わない(又はいい酔い方をする)し、翌日に全く残らない。
今まで飲んだ日本酒で一番おいしかったのは、20代半ばに長野の上高地に撮影旅行に行った帰りに松本駅の売店で買った酒。
陶器のとっくりとおちょこが付いたもので名前は全く憶えていないが、買ったその日の夜に飲んだ時のおいしさは今でも忘れることはない。
ほのかに米の味がする、すっきりとした癖のない酒だった。


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2 コメント

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Unknown (ブチャラティ)
2019-07-13 00:46:37
連休の前日の夜、ひとり酒を愉しむ。
最高のひと時ですね。上質な大人の時間だと思います。

仰るとおりで、良い酒は悪酔いしませんね。巷で流行のストロング何とかだとか、ただ刺激だけを求めたような商品は本当に酷い酔い方をするようで、人体への危険性が指摘されています。

さて、お酒を語る表現とギターのそれとは、少し似ているようです。大量生産されるようになったら終わり、
甘口、辛口、スッキリしている、キレの良さだとか。

私はギターも甘口より、辛口の音が好きで
倍音がスッキリしていて、芯の強い音を好みます。
そこにスパニッシュな乾いた感じ、ほのかな香気があれば、なお良いですね。最近の若い演奏家の音は、どうもぱっとしなくて、音で感動した覚えがありません。
指はよく回るし達者な演奏ですが、心を揺さぶられるものがありません。新しい楽器もそうで、マイルドな音が増えてきており、演奏性はすこぶる良いですが、ギターの本質とはかけ離れているようです。

何でもそうですが、本物を知る事はとても大切な事だと思います。知らないという事は確かな判断基準がないので、いつまでたってもわからないままです。
私も世の中、わからない事だらけですが、せめて自分の好みの世界だけは、本物に触れていたいものです。
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Unknown (緑陽)
2019-07-13 23:16:17
ブチャラティさん、こんにちは。コメント下さりありがとうございました。
ブチャラティさんのご意見に全く同感です。
今、缶に入った様々な酒が売られていますが、どんな添加剤が入れられているかと思うと怖くて飲めないですね。
酒だけでなく、レトルトや冷凍食品も危険な食品添加物にまみれているようです。
癌やアレルギーが増えてきたことと無関係とは思えません。
企業はもうけだけを考え大量生産し、人体に悪い影響を与えることが分かっていても供給を止めない。
そういうことに疑問を投げかける人ってあまりいません。
安倍さんや政府に物申す輩はごまんといますが。
ギターの音、本当にそう思います。
何で本質とかけ離れる楽器を作るようになったのだろうと思います。
つまり本当に人の心に響いて感動させるものを、感じることが出来ないのだと思います。
そのくらい強い感情を感じる生活から遠ざかっているのだと思います。
おっしゃるように、本物に出会うということは、人生にとって何よりも大切なことだと思います。
私もこの年になって、そのことが良く分かります。
本物って、人間の並大抵でない苦労と完成したときの喜びに満ちたエネルギーが詰まってますから。
本当にいい物に触れる、私もそのような生き方をしていきたい。
貴重なご意見を聞かせていただきました。
本当にありがとうございました。
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