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世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

宿命

2011年05月31日 | Weblog
当社はチェーンストア展開をしている。

会社から近い某店には、帰りすがら、よく寄り道をしている。
その店に長らく在籍していたスタッフMさんが、明日からちょっと遠くの店に異動することになった。

Mさんは、私の後輩女子Cちゃんの新卒当時の先輩である。
MさんとCちゃん、二人の会話は漫才のようで聞いていて面白い。
芸妓と半玉のような姉妹愛を感じさせる。

人事異動の頻発は、チェーンストア展開する会社のいわば宿命みたいなものである。
しかし、今回は急な異動であるのと「あのMさんが。まさか…」という人選だったのでショックだった。

帰りにCちゃんと一緒に、店に寄り、Mさんに挨拶しに行くことにした。
行く前に商店街の花屋で花束を作ってもらった。
出来上がった花束はMさんらしい色合いのピンクのガーベラと薔薇。

「お疲れさまです」
と入店。

Mさんに花束を差し上げると「あ、もう、ど~しょうッ~」とタジタジしていた。
彼女のこんな面白い様子が私は好きだった。勿論仕事はきちんとこなすらしい。そのギャップが彼女の魅力だと思う。

今日はたくさんの彼女の顧客が店に来てMさんとの別れを惜しんだそうだ。

「まったく。箱入り娘が見合いをさせられて急に嫁に出される気分ですよ」
と、最初は笑っていたMさんだったが、話しているうちに、ぽろぽろと涙を流しはじめた。

ずっとこの店にいて初めての異動なんだそうだ。さぞかし不安に違いない。
なんだか切なくなって私とCちゃんまでもらい泣きしそうになってしまった。

「退職するわけじゃないんで!明日からも頑張ります」と、最後は笑顔になった。

雨空から晴天に変わる瞬間のような彼女の表情を見て、この子、強いなと思った。
大丈夫だろう、きっと。

今度一緒にご飯に行く約束をして別れた。

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