晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

熊谷達也 『邂逅の森』

2019-09-07 | 日本人作家 か
とうとう先月は投稿ナシ。慙愧に堪えません。まあ
そこまで大げさな話でもありませんが。

読書じたいを飽きたとかそういうのは一切ありません。
いやむしろ移動や待ち時間が長いと予想されるときに
本を持っていかないとパニックに陥ります。

さて『邂逅の森』です。直木賞と山本周五郎賞をダブル
受賞されてますね。
なんでもこの作品は「マタギ三部作」の二作目なのだそ
うで、今後機会がありましたら一、三作目を読みたいな
と思っております。

舞台は山形県の月山近く、肘折温泉の山奥からスタート。
主人公の富治は(善之助組)という狩猟組に所属する野生
動物の猟を生業とする(マタギ)の一員。

ですが、富治も善之助組も地元は山形ではなく、秋田の山
奥の打当(うっとう)という集落が地元。
もう地元ではカモシカもクマもあまり取れなくなってしま
い、わざわざ旅マタギ(遠征)に。

そんな富治ですが、地元の村のあるイベントで恋に落ちます。

ところがその娘、地主の娘で、しかし富治はドントストップ
マイラブということでなんと文枝という娘を夜這いしようと
地主の家に深夜忍び込みます。ところが文枝はなんと富治を
受け入れるのです・・・

しかしこれが地主つまり文枝の父親にバレてしまいます。

そうして富治は罰として鉱山に行くことに。

さまざまなトラブルに遭ったりもしますが、富治はマタギだけ
あって体力はありチームワークもあるので頭角を現します。
しかしそんな富治に山形県の鉱山に行ってほしいと・・・

なんだかんだで山形の鉱山に行った富治ですが、そこで見習い
鉱夫の(兄貴分)として面倒をみることに。ところがこの小太
郎という名前の弟分、名前とは反対で図体がでかく、おまけに
態度もでかく、富治にいきなりタメ口。
こりゃあハメられたと悔しがる富治でしたが、ある日、小太郎
がどこかに出かけるのを見かけます。しかも銃を持って。
跡をつけていくと小太郎は山に入っていき、なんとクマを仕留
めようとしているのです。ですが富治の目には小太郎の猟はあ
きらかにシロウト。そこで富治は小太郎に声をかけ・・・

この出会いがふたたび富治をマタギの世界に。

性描写やバイオレンスを描いてはいるのですが、エログロな
印象はまったく残らず、なんといいますか、自然の営みのよ
うに淡々と描いているのがとても印象的でした。
よく考えたら子孫を残そうとする繁殖行為も食うか食われる
かの生き残りの戦いもまさに自然そのものなんですよね。
それを人間が(見てはいけないもの・タブー)と勝手に決め
ただけで。

なんだか久しぶりに「強烈な小説」を読んだような気がしました。




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