晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

垣根涼介 『狛犬ジョンの軌跡』

2021-04-14 | 日本人作家 か
ここ最近、というか去年あたりから、テレビをあまり見てません。テレビというかニュースですね。つけても気の滅入ることしかやってないので、基本は旅番組か動物もの。どうせなら、明るい話題、ほのぼの話題しかやらない専門チャンネルというのができたら人気になるんじゃないですかね。

痛烈なメディア批判をしたところで。

さて、垣根涼介さんです。クライムノベルを書いたと思ったら、リストラ請負人とOLの話もあり、最近では歴史小説も書かれてるみたいですね。で、この作品はというと、動物もの。
といっても、絵描きになりたい貧乏な少年が雪の夜に大聖堂の絵画の前で犬と一緒に息絶える的なやつではありません。

建築士の太刀川要は、ドライブで都内から千葉の銚子へ。すると、車道に何かが出てきて、ブレーキを踏んだのですが間に合わなくてぶつかったよう。車から降りてみると、そこには大型犬が。人間ではないからひき逃げにはならないだろうとは思いつつも、いちおう付近の動物病院を調べますが真夜中に開いてる所は無く、(ダメもと)で人間の病院の夜間救急に行きますが、案の定断られます。ここで朝になるまで待つよりも東京に帰った方がいいと思い、後ろのシートに乗せて、自宅の近くの動物病院に連れていきます。

すると獣医が、この犬の犬種がよくわからないというのです。一見マスティフ系とも思えるけど、ロットワイラーかレオンベルガーか・・・

とりあえず入院ということになったのですが、不思議なことが。この犬が病院に来た時から、病院にいたほかの犬や猫がものすごく鳴くのです。獣医から電話があり、ちょっとこのままだとまずいので、こちらから診察に行くのでご自宅で面倒見てもらえませんか、といわれて、一軒家の貸家住まいなので、空いている部屋にケージを置いて、そこに寝かせます。

とりあえず名前を決めなきゃなあということで、ジョンと命名。

傷の治りが極端に早い、動物病院内だけでなく、散歩に連れて行くときも他の犬がぎゃんぎゃん鳴く、といった不思議な現象はあるものの、エサも食べてくれるし、散歩もどうにかできるようになります。そんなある日のこと。週刊誌を読んでいると、そこに「深夜の惨劇、黒い幽霊犬」という見出しが。中を読むと、銚子に車で行ったあの日の夜、「犬のような」大型の動物が3人の少年を襲い、2人が死亡、1人が重傷、とあります。

これはもしかしてジョンの仕業なのか。そもそもジョンの正体は・・・

と、こんな感じで書くとまるでディーン・クーンツのホラーかスリラー系のようですが、主人公の建築士がジョンと暮らすことによって心境の変化といいますか、他人との向き合い方みたいなものがだんだん変わってゆきます。主人公は人間嫌いでまったくの孤独というわけではなく、恋人もいます。恋人との話、建築士の仕事の話といった人間模様から、合い間に(犬の視点)の話が差しはさまれて、といった構成。

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