晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

森 絵都 『風に舞いあがるビニールシート』

2009-02-15 | 日本人作家 ま
ちょっと技術のある作家ですと、さまざまな作風に挑戦してみて、
それでも作家本人の確立された「色」が見えれば、有意義だと周り
も評価するし、読者も新鮮さと良い意味での裏切りが楽しめるので
すが、まあ中には、ちょっと欲をかいてしまったのか、違った作風
に挑戦したはいいけど、これじゃこの作家の長所が台無しじゃない
かと失望してしまう、あえて褒め言葉でいうと「意欲作」(ひらた
くいえば努力賞的なモノ)といった作品になり、読者はこの作家の
新作に手を出しにくくなってしまうでしょう。

森絵都『風に舞いあがるビニールシート』は、短編集なのですが、
そのいずれも、これはほんとうに同じ作家が書いたのかと思ってし
まうほど、ヴァラエティ豊か。

ほかの作家の作風にたとえるのは、手前勝手な先入観と偏見がある
のですが、強いて、ということで了承していただくと、重松清のよ
うな視点の人間ドラマのようでもあり、浅田次郎のような温かさも
あり、村山由佳のような恋愛世界のようでもあるという、だからと
いって、個性が無いというわけではなく、多様性と柔軟性、そして
器用なんだなあ、という印象を持つことができます。

オススメは、作題「風に舞いあがるビニールシート」と、「ジェネ
レーションX」、あと「鐘の音」という3作品。

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