晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ベルンハルト・シュリンク 『朗読者』

2009-08-31 | 海外作家 サ
この本の帯に、各界著名人の絶賛コメントが載っていて、
しかもドイツやアメリカで大ベストセラー、さらに映画化まで
もがされるとなると、期待は膨らむのですが、まあ他人の
評価を絶対視してしまうのは危険なので、ここは冷静に読
みはじめたら、うーん、面白かった。号泣はしませんでした
けど。

舞台設定は、1960年代のドイツ。15歳の少年ミヒャエル
はある病気に罹ってしまい、街中で突然吐いてしまいます。
そんなミヒャエルを助けてくれた女性は、家まで運んでくれて
介抱してくれます。その女性の名はハンナ。
市内の鉄道会社に勤務する、ミヒャエルの21歳年上の36歳。
ミヒャエルは故意に落ちてしまい、ハンナのアパートに通うよ
うになり、ある日は働いてる彼女の姿を見るため、鉄道に乗り
ますが、彼女は目を合わせてくれません。
それどころか、会話の端々で怒ったり、黙ったり、その原因は
ミヒャエルには分かりません。

そして、またいつものように彼女のアパートに行くと、彼女は
いません。ミヒャエルに黙って引っ越してしまったのです。

ミヒャエルはやがて高校を卒業し、大学へ進学。ハンナ以外
の女性とも恋愛するようになります。
あれから数年が過ぎ、ミヒャエルはハンナを思いもよらぬ場所
で見ることになるのですが・・・

はじめは少年が年上の女性に恋する淡い恋愛物語だと思って
いたのですが、読み進めていくうちに、ドイツという国が持つ
忌まわしい過去、悲劇が絡んできて、そしてハンディキャップ
を持つ人間のそれを隠しながら生活する大変さ、知られたくな
いための苦悩などが描かれ、『朗読者』というタイトルの意味が
とても重く感じます。
コメント
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