晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

ジョン・グリシャム 『評決のとき』

2009-08-03 | 海外作家 カ
この作品は、今やアメリカを代表する超売れっ子作家となった
グリシャムのデビュー作で、発売当初はあまり、というかほとん
ど売れず、2作目「THE FIRM/法律事務所」以降、たて続けに
大ヒット作を連発、映画化もされ、その余波でデビュー作が注目
されたのです。

作品の内容は、公民権運動以前よりはましになったものの、依然
人種間の問題が色濃く残るアメリカ南部で、クスリと酒で頭のイカ
レた白人二人組が、黒人少女を強姦暴行し逮捕され、少女の父
親が裁判所内で、銃で二人を射殺。
この父親の弁護をすることになったジェイク・ブリガンスは心身喪失
で無罪を主張、一方検察側はジェイクの天敵で、復讐を認めず、求
刑はガス室送り。
裁判は全米の注目するところとなり、厄介なことに、クー・クラックス
・クランの活動も活発、ジェイクに脅迫。
有色人種地位向上団体も活動をはじめ、南部の小さな街はマスコミ、
クラン、そして数万の黒人が集まる異常事態に。
はたして判決は・・・

もしも、犯人が黒人で、白人少女の父親が黒人を射殺していたら、つ
まり人種が逆だったら、この事件は裁判にならず不問になるだろう、
という一節があり、いまだ根深い人種間対立を象徴しています。

評決の結果はぜひ読んでいただきたいので書きませんが、有罪で
死刑になれば黒人の反発は必至、しかし無罪になったとしても白人
の反発は免れません。

女性を強姦殺人し、被告は裁判で無罪を主張、犯行のあった日に
炭酸飲料を飲み、中華料理を食べて、炭酸と中華料理の材料が
体内で反応し、一時的に判断能力が鈍った、というメチャクチャな
弁護でなんと被告は無罪、その後、殺された女性の母親は無罪
放免の男を射殺する、という映画を思い出しました。
その映画で、被告の母親が被害者の母親とトイレで出会うシーンで、
「わたしは息子の母親としてあなたに申し訳なく思うが、息子の無罪
を信じる。あなたも母親なら分かるでしょう」と、被告の母親が被害者
の母親に向かってこう言うのです。

日本でも国民裁判員裁判がはじまりますが、うーん、はたして
自分が人を裁く立場になったら・・・

コメント
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