晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

エリエット・アベカシス 『黄金と灰』

2009-06-10 | 海外作家 ア
読書が趣味という人の大半は、仕事や家事の合い間や休日に、
あるいは就寝前の1時間くらい本を読んでいるわけで、ある種の
息抜きタイムにもなるので、小難しい文章を並べ立てられている
ようなものはなるべく避けたい(時間が有り余ってる学生はせい
ぜい小難しい作品でも読んで苦悶すればいい)のではないでしょ
うか。

この『黄金と灰』という作品、テーマがユダヤ人の贖罪、悪とは、
絶対悪とは何か。そして、作者が二十代にして教授資格所有者
のせいか翻訳者のせいか、文章が小難しい。
「形而上学的の視点」がどうのこうのと、論文を読んでいるようで、
息抜きどころか、ちょっとした学術研究です。

ドイツ人の神学者で歴史学者のルドルフ・シラーが、上半身と下
半身を切断された状態で発見され、上半身は見つからず。
フランスの歴史学者ラファエルは記者で友人のフェリックスとこの
事件の真相を探そうとします。
生前のシラーと親交のあったパリ在住のユダヤ人ぺルルマン家
を訪ね、ラファエルはぺルルマン家の娘リザに好意を持ちます。

シラー殺しとして、はじめはリザの兄が疑われ、やがてリザの元
恋人が逮捕されます。
ラファエルとフェリックスは別に真犯人がいると確信し、ある映像
に残っていた、かつてナチス親衛隊が書いたとされる手帳にその
真相の鍵が握られていると思い、探すのですが見つかりません。
第2次大戦時のフランスの政権、ナチスドイツ、アウシュビッツ収
容所、これらがシラー殺害に絡んでくるのですが・・・

文中、物語の進行の腰を折るように、ラファエルの妄想というか、
抽象的な心理描写があるのですが、正直息苦しさを覚えました。
それはあまりに抽象的で、ユダヤの受難を憂うかと思えばヘビが
自分を睨んで云々。

「悪の起源」とは、そしてシラー殺害の犯人は。
そういえば、ある女優さんが映画の舞台挨拶でふてぶてしい態度
でバッシングされ、後日テレビで涙の謝罪をするというのがあった
のですが、その時その女優さんは「諸悪の根源は私にあります」
といいました。
ユダヤ受難の歴史もコソボ紛争もクルド人難民問題もあんたのせ
いかよ、とひとりテレビに向かってツッコミ入れた記憶があります。

コメント
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