晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

スティーヴン・グリーンリーフ 『運命の墜落』

2009-06-12 | 海外作家 カ
よくアメリカの裁判でにわかには信じがたい判例というもので、
濡れた猫を電子レンジに入れて乾かそうとしたら死んでしまい
メーカーを訴えた、キャスター付き椅子を車の後ろに縛り、椅子
に人が乗って高速道路を走行中に紐がはずれて椅子に乗って
いた人が死亡、そんな使い方はするなと説明書に書いてなか
ったとしてメーカーを訴えた、など常軌を逸してるとしか思えな
いですが、実はこれらの判例のうちいくつかは実際には無く、
作り話あるいは誇張されて伝わったものなのです。

ただ、自分が太ったのはファストフード店のせいだと訴えたという
ケースは本当にあって、当たり前ですが原告側敗訴でした。

『運命の墜落』は、サンフランシスコで墜落した小型旅客機の
遺族や奇跡的に生存した乗客対航空会社の裁判サスペンス。
カリフォルニアの田舎町に住む弁護士キースは、ローラという
女性と不倫していて、そのローラの夫ジャックが件の飛行機に
乗っていて、奇跡的に生存していました。
ローラはキースに航空会社を訴えてほしいと依頼しますが、長
年、田舎町で軽犯罪しか扱ってこなかったキースは自信が無く、
大学の同期で航空機事故訴訟の第一人者である弁護士アリック
に頼むことにしますが、アリックは病気になってしまいます。
仕方なしにキースが法廷に立つことになり、アリックの助言で
航空会社と対峙することになります。

ジャックの損害賠償と精神的苦痛、ならびにローラに対しての
慰謝料を求めますが、被告側の調査により、ローラはジャック
との夫婦生活は事実上破綻していて、お互いに不倫しており、
さらにジャックは事故機に乗っていた際、愛人と乗り合わせて
いた可能性も出てきてしまい・・・

パイロットの操縦ミスでもなく、空港管制塔の誘導ミスでもなけ
れば、争点は飛行機の安全性で、航空会社と航空機製造メー
カーの過失を訴えることになります。
これこれの安全性を講じていれば原告は死なずに、あるいは
大怪我をせずに済んだということを主張していくのですが、当然
被告側つまり航空会社は過失は無かったと主張します。
キースは最終手段として妻ローラの反対を押し切り、ようやく片言
喋れるようになったとはいえ後遺症の痛々しいジャックを原告
側証人として法廷に招きます。そこまでするのかと思ったのですが、
日本でも裁判員制度が始まるので、対岸の出来事とはいえず、勝つ
ためには鬼にでもなるといった風潮にならないとも限りません。

もっとも、現行の警察や検察、裁判所は自白偏重主義、冤罪多発で
今の時点でじゅうぶん鬼になってますけどね。
コメント
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