非国民通信

ノーモア・コイズミ

ウクライナだけじゃない

2023-08-06 22:49:13 | 政治・国際

五輪=ウクライナのフェンシング選手が特例招待、握手拒否し失格(ロイター)

[28日 ロイター] - フェンシング女子のウクライナ代表オリガ・ハルランに28日、国際オリンピック委員会(IOC)から来年のパリ五輪出場を保証する書簡が送られた。

五輪で複数のメダルを獲得し、世界チャンピオンにも輝いたことのあるハルランは、27日にミラノで行われた世界選手権のサーブル個人1回戦で、ロシア出身のアンナ・スミルノワと対戦。スミルノワは中立の立場で出場していたものの、ハルランは試合後の握手を拒否し、失格となっていた。

フェンシングのルールでは、対戦相手との握手が義務で、違反した場合は一番処分の重い「ブラックカード」を提示される。

 

 ここでは競技のルールに違反したウクライナの選手が「特例で」五輪出場を約束されたことが伝えられています。アメリカやイスラエルの侵略でスポーツのルールが変わることはありませんが、ロシアによる侵攻であればルールは変わるわけですね。あるパレスチナ出身のサッカー選手は、これまで競技の場で反戦を訴えることを禁じられていたことに触れ、「サッカーと政治を混ぜないルールだと言っていたのに、ヨーロッパのある国で起きたことで、サッカーと政治を混ぜてもいいということになった。」と託ちましたが、当然の反応と言えます。

参考、なぜパレスチナ人選手は“戦争反対”バナーの前に立たなかったか?「誠実さもなければ、公平さもない」

 ただ今回のルールに反したウクライナの選手には同情しないでもありません。ウクライナ人に自由はないのですから。成人男性は出国禁止、ロシア語は禁止、大統領に賛同しない政治家は身柄を拘束され、ロシア非難に加わらなかったという理由で選手が協会から永久追放処分を下される、ロシア人選手の出場する大会への参加は政府の判断次第で禁止、それがゼレンスキーの支配するウクライナです。選手にも故郷での生活があり、家族もいる以上は表だって独裁者の意向に抗うことは難しいでしょう。もしスポーツマンシップに則りロシア人選手と握手を交わしたならば、彼女やその家族がウクライナでどのような立場に置かれるか──それは考慮されるべきなのかも知れません。

 

「私だけ助かっていいの」 罪悪感に苦しむウクライナ難民(AFP BB)

【7月29日 AFP】ウクライナから隣国モルドバに避難したラナ・リセツカさん(32)は、紛争から逃れた人々の心のケアに取り組むプログラムに参加している。「助かった」自分を許し、人生を立て直している最中だ。

 リセツカさんは、ロシアによる侵攻開始直後に7歳の息子を連れてモルドバに来た。最初の数か月は、いわゆるサバイバーズ・ギルト(生存者罪悪感)に苦しめられてきた。

「自分が安全なのは分かっていても、祖国や親を裏切ったという罪悪感を感じる」

 

 いっぽうこちらは国外に逃れたウクライナ人の話です。モルドバも今日では反ロシア派で鳴らしていますけれど、その実は単一民族国家を目指す中でロシア系住民だけではなくウクライナ系住民とも対立してきました。結果としてロシア系住民とウクライナ系住民で多数派を構成する「沿ドニエストル共和国」が生まれたわけですが、この成立にはロシアだけではなくウクライナからの軍事支援もあったことは今こそ意識されるべきでしょう。そんなロシア人とウクライナ人が共存する沿ドニエストル共和国ではなく、対立陣営であるモルドバ中央政府の方でウクライナ難民を迎えているというのが興味深いところです。

 一方でウクライナからの「避難民」は日本でも盛んに受け入れられているわけですが、この中にも「私だけ助かっていいの」 との罪悪感を抱く人はいるのでしょうか。まぁ、生活に余裕が出てきたら多少は考えて欲しいとも思います。現実問題として日本が受け入れてきたのはウクライナ人だけ、アジアやアフリカから難を逃れてきた人の受け入れは拒んできたのですから。祖国の混乱や弾圧を逃れ、庇護を求めてさまよう人は世界中にいます。そんな中で「ウクライナ人だけ助かっていいの」という思いは、人道の見地からは抱かれても良いでしょう。

 多くの日本人はウクライナ支援を通じて差別に親しんできた、というのが私の思いです。アジア・アフリカからの難民を拒み続ける一方で、我々の社会は官民共にウクライナ「避難民」の支援を競ってきました。これは議論の余地のない差別ですが、差別であることを認める代わりに、それを正当化するロジックを作り出すことに力を注いできた人も多いのではないでしょうか。他の国からの難民を拒む理由、ウクライナ人だけを限定的に支援する理由、それを創作し自らを正当化し続けることで我々の社会は差別の論理に慣れ親しむようになった、と言うことが出来ます。

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野党共闘

2023-08-06 20:47:15 | 政治・国際

埼玉知事選、大野元裕氏が再選確実に 与野党の県組織から支持幅広く

 埼玉県知事選は6日に投開票され、無所属で現職の大野元裕氏(59)が再選を確実にした。知事選には、共産党公認で党県書記長の柴岡祐真氏(39)と、無所属で音楽制作業の大沢敏雄氏(69)の新顔2人も立候補していた。

 大野氏は、自民、立憲民主、日本維新の会、公明、国民民主の各党県組織から支持を得ていた。

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