非国民通信

ノーモア・コイズミ

子供は見世物

2015-10-04 10:46:42 | 社会

[フィフィ]裁判所が認めたアイドルの“恋愛禁止条項”は人権侵害か

【好評連載・フィフィ姐さんの言いたい放題】アイドルグループのメンバーであった17歳の女性が、異性との交際を禁じた規約に違反したとして、東京地裁は18日、65万円をマネジメント会社に支払うよう女性に対し命じた。女性は2013年3月に、交際禁止を定めた規約を含む契約を結び、6人グループとして7月にデビュー。しかし、男性ファンに誘われホテルに行ったことが発覚。グループは10月に解散した。今回の判決は「男性ファンの支持を得るため、交際禁止の条項が必要だった」と、マネジメント会社の主張を受け入れる形となったが、果たして、交際発覚はアイドルのイメージを本当に悪化させるのであろうか。フィフィは、今回のケースが前例となってしまうことで、今後アイドルたちが被るであろう危険性についても指摘する。

 

 先日に書いた話の続きとなりますが、アイドルグループの一員であった女性が事務所に難癖を付けられた挙げ句、裁判所が女性側に金銭の支払いを命じるという驚きの判決があったわけです。こんなのが罷り通るのですから、契約を盾にAV出演を迫る事務所が普通に存在するのも無理からぬことと思うばかりですね。なんともまぁ、日本の人権意識を端的に表わす一幕と言えます。

 

アイドルの恋愛禁止問題。日本では、アイドルの恋愛が発覚すると「アイドルはイメージを売りにしていることを、彼女たち自身もわかってやっているわけだから、守らなかった本人にも問題がある」と、よく言われがち。だけど、こうした考え方は、人権問題に発展する可能性もあるんです。

(中略)

そもそも、世間の期待に応えたアイドル像を事務所が作り上げていくという手法自体、日本特有の文化だよね。

ひと昔前のアイドルがまさにそれ。アイドルはトイレにも行かないし、好きな食べ物はだいたいパフェで、もちろん恋愛なんかしません、という現実離れしたアイドル像を作り上げることで売り出す、“イメージ商売”がメインでした。同時にこれは、そうしたアイドル像を求めるファンが一定数いたからこそ成り立っていたビジネスモデルであって、SNSが生活に浸透した昨今においては、徐々に限界を迎えつつあります。

 

 尚ここで引用したフィフィ氏に関しては、日頃は日本文化の悪しき側面を代弁しているようなイメージもあったのですが、今回は筋の通った主張を展開しているのではないでしょうか(今回は別のゴーストライターが書いてました、なんてオチだったり?)。問題のニュースへのネット上の反応を見ていると、公序良俗に反する契約は無効だという現実を受け入れたがらない人の多さに驚かされるのですけれど、やはりこうした契約が裁判所に認められてしまうことに疑義の一つも持てないのはどうなんだろうと、そう感じるところです。

 なんだかんだ言って日本社会はポルノには厳しいところがあって、先日は例によって契約を盾にAV出演を求めた事務所側が敗訴するなんてケースもありました。しかし一方で、恋愛禁止のルール違反云々との理由で(元)アイドル側に賠償支払いを命じるようなトンデモ判決もまた、出てしまったわけです。あからさまに性的な要素がなければ、「子供を見世物にする」ことは悪いことだなどとは考えられていないのだと言えます。

 アイドルが恋愛すればファンの支持を失うというのなら、すなわちファンがそれを求めていることを意味します。そういう人を相手にしなきゃいけない商売というのも大変だなと思いますが、結局のところファンとは対象を愛しているよりも支配したがっているものなのかも知れません。例えば「子供を守れ」と喧しい人ほど、その実は子供に自分の主張を代弁させているばかりで子供の自己決定権など考えようともしないものです。同様にアイドルのファンもまた、アイドル自身の意思よりもファン側の「こうあって欲しい」との欲望を優先するものなのでしょう。

 まぁ、我が子の望みを叶えてやりたいと思う親もいれば、親の理想を子供に押しつけるばかりの人も普通にいます。そしてアイドルのファンには、後者のタイプが多いようです。ともすると華やかなイメージを抱かれがちなアイドルの世界も、その実は周りの大人が欲する子供像を演じさせられる存在でもあります。どうにも私には、児童や未成年の芸能活動に対して児童ポルノと同じくらいの闇の深さが感じられてしまうのですけれど、まぁ気にしない人は気にしないものなのでしょうね。

  

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コメント (2)
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