非国民通信

ノーモア・コイズミ

反対は財務省案に対するものだけではないとも思いますが

2015-09-23 23:32:51 | 雇用・経済

財務省案「反対」75%…「軽減税率を」63%(読売新聞)

 読売新聞社の緊急全国世論調査で、消費税率10%時の負担緩和策について聞いたところ、税率はすべて10%とした上でマイナンバーカードを使って、食料品などの増税分を後から給付する財務省案への「反対」が75%に達し、「賛成」は15%にとどまった。

 財務省案で、増税分の給付額に上限を設ける内容となっていることにも、「反対」が55%で、「賛成」は30%だった。

 一方、消費税率を10%に引き上げるのと同時に、生活必需品などに軽減税率を「導入すべきだ」と答えた人は63%に上り、「そうは思わない」の29%を大きく上回った。軽減税率を導入すると、小売店などの事業者が消費税を納める手続きが煩雑になるとの声もあるが、「商工自営、自由業」の人でも、「導入すべきだ」は全体より高い67%に上った。

 

 さて、一般に官僚は悪玉視されるもので政治家もそれに迎合することが多いわけですが、官僚に対するヘイトを煽ることで支持を集めてきたはずの民主党政権ですらも唯々諾々と従おうとしてきたのが財務省です。公務員の中でも自衛隊員だけは例外的に罵倒の対象にはならないように、官僚組織の中でも財務省だけは特別扱いなのでしょうか。ともあれ、そんな財務省が主導して「日本型」軽減税率案が出てきたところですが、「軽減枠が小さすぎる」「導入コストが高い」「マイナンバーでの管理ありき」などなど問題は山積みで、自民党からすら否定的に見られている有様です。

参考、消費税についてのまとめ

 消費税についての総論は上のリンク先にまとめた通りで、3年以上前に描いた当時から何一つとして問題は解決されないまま税率が引き上げられて今に至ります。結局のところ消費税増税が景気回復の腰をへし折ってしまったことに疑いの余地はなく、安倍内閣の最大の失敗であり国民を挙げて反対すべきであった事項はまさにこの消費税増税に他なるまいと思ったりしないでもありませんが、まぁ政治家も一般市民も、金よりも理念にこそ拘りを持つものなのでしょう。損か得かよりも、理想に適うかで行動するのが日本人です。

 財務省案における「日本型」軽減税率に限らず、実際は消費税制そのものが「日本型」であって、これは諸外国における「付加価値税」とは随分と異なった代物でもあります。むしろ諸外国の付加価値税は日本において消費税増税と引き替えに廃止された物品税に近いと言いますか、生活必需品であろうと何であろうと一律に課税する&インボイスなしの穴あき制度という点で我が国の消費税とは、なかなか例を見ないユニークな日本独自の税制であると理解されるべきではないでしょうかね。

 総じて消費税増税をめぐる新聞各紙の主張は似たようなもの、朝日と産経とですら見解が大筋で一致している有様です。掻い摘んで言えば「逆進課税には大賛成だが新聞には軽減税率が認められるべき」みたいな類ばかりで、ここで引用した読売の場合も大差ありません。軽減税率に関する世論調査をするのも結構ですが、消費税増税そのものに対する反対の世論を調査対象から外しているかのごとくなのはどうしてなのか――それは、どこの新聞社もあまり拾いたくない声なのでしょう。財務省案への反対まではフォーカスできても、その根幹までには迫れない、と。

 なお軽減税率は煩雑になるからダメだと強弁する人もいる中で、「『商工自営、自由業』の人でも、『導入すべきだ』は全体より高い67%に上った。」ことが伝えられています。そりゃ、そうですよね。消費税は、立場の弱い側が払う税です。立場の強い側は取引先に消費税分を負担させ、立場の弱い側は消費税分を自ら負担する、そういう仕組みですから。消費税が上がっても販売価格に増税分を転嫁することが難しい小規模事業者ともなれば消費税増税は死活問題、軽減税率を求めるのは当然のことです。

 

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