非国民通信

ノーモア・コイズミ

猪瀬じゃダメなんですか

2014-01-16 00:01:16 | 政治・国際

 先日の記事でも触れましたが、細川護熙まで東京都知事選に出てくるわけです。原発立地自治体でも国政選挙でもなく、あくまで東京都知事選で脱原発を訴えるとのこと、民主党、小泉純一郎、河村たかしと頭の悪い連中が続々と支持を表明してもいるところですが、東京の有権者の反応はどれほどのものなのでしょう。石原に続いて猪瀬を当選させ、国政選挙でも山本太郎を当選させてしまうような有権者ですから、また愚かな選択を繰り返さないとも限りません。

 前任者である猪瀬が尻尾を巻いて逃げ出した結果として、2011年、2012年12月、そして来月と短いスパンでの都知事選挙が続く形になりました。膨大な税金が選挙のために投じられることとなります。まぁ、それもまた民主主義のコストと言えますし、任期満了まで役目を果たすにふさわしい人を選べなかった有権者の責任であるのかも知れません。では、次なる候補としては誰ならまだマシなのでしょう。猪瀬の後釜として、細川を選ぼうという人は特に、この辺を考えて欲しいと思います。

 細川は東京で脱原発を訴えるつもりでいるようですが、それは前任者と比べて何が違うのでしょうか。つまり猪瀬と原発/電力会社との関係はどうであったのか。猪瀬だって脱原発系ポピュリストの一人として東京電力へ子供じみた嫌がらせを繰り返してきたわけです。原発立地自治体でもない東京の都知事が脱原発を標榜して何をするのか、細川がやれそうなことと猪瀬がやってきたことにどれほどの違いがあるのか、その辺は問われるべきものでしょう。

 「脱原発」でありさえすればデマを吹聴するのも気にしない、風評被害を広めることに何ら罪悪感を持たない人も多いわけです。だから細川が佐川急便から「説明できない金」を受け取ったとしても、民主党や支持層は気にしないものなのだと思います。しかし、そうであるならばなぜ細川支持層は猪瀬をかばおうとしなかったのか。脱原発なら細川の金の問題も許されると考えるなら、猪瀬が徳州会から受け取った「説明できない金」はどうなのでしょう。特定企業グループから受け取った金について説明できない政治家に代えて、同様に説明できない政治家を支援する、そのどちらも脱原発系ポピュリストと来ている、猪瀬と細川では何が違うのか、わざわざ選挙に税金を投じてまで同類を後任に据えようとするのは、まさしくムダの極みです。細川を支持するくらいなら、同類の猪瀬を応援していた方が良かったのでは?

 

細川氏、都知事選立候補を表明 小泉氏が支援約束(朝日新聞)

 小泉氏は細川氏を支援する理由に「原発問題」を挙げて「東京が原発なしでやるという姿を見せれば、必ず日本を変えることができる」と強調。「この戦いは、原発ゼロでも日本が発展できるというグループと、原発なくしては発展できないというグループとの争いだ。私は原発なしでも発展できるという考えで、細川さんもそうだ。それが支援する最大の理由だ」と語った。

 さらに小泉氏は、「今回の都知事選ほど国政に影響を与える選挙はない。細川さんが知事になれば、エネルギー問題、原発の問題で、国政を揺るがす、大きな影響を与える知事になる」と訴えた。

 関係者によると、細川氏は14日までに、立候補した際の公約についてほぼ調整を終えている。細川、小泉両氏は昨年10月から連絡を取り合っており、小泉氏が細川氏に立候補を勧めてきた経緯があった。細川氏に近い関係者は「小泉元首相が何回、選挙カーに乗って街頭演説に立つのかなど、細かい調整をすでに行っている」と話している。

 細川氏の立候補に関しては、地域政党・減税日本代表の河村たかし名古屋市長も同日、支持する意向を表明した。河村氏は細川氏が代表の日本新党で衆院議員に初当選している。

 

 河村たかしは民主党のイメージが強かったですけれど、初当選時は日本新党だったんですね。それはさておき細川出馬を受けて一部の支持層からは先に候補を立てていた共産党へ「道を空けろ」と迫るような言動も聞こえるところ、全くの不当要求と言えますが、まぁ共産党も小泉に関しては「考え方が大変近く一致点が多い~」などと賛辞を惜しまない様子ですから、小泉シンパ同士の連合というのは有りなのかも知れません。

参考、確かに共産党は小泉に考え方が近いのかも知れない

 小泉は「この戦いは、原発ゼロでも日本が発展できるというグループと、原発なくしては発展できないというグループとの争い」云々と相変わらず架空の設定で二項対立に持ち込もうとしているわけですが、これは有権者の好むところなのでしょうか。劇場の芝居みたいな感覚で政治を見ている人は、その虚構性に騙されないように努めるよりも、舞台に立つ人のパフォーマンスに積極的に乗じる方を選ぶものとも言えます。小泉の語っているのは要するにプロレスのアングルみたいなもの、しかし敢えて気づこうとしない人も多い、と。

 「誰がやっても無理だろう」みたいな自治体もあれば、「誰がやっても上手く行くだろう」と言うほかない自治体もあるわけです。有能な首長でも八方ふさがりの地方自治体で石もて追われる羽目に陥る人もいれば、無能な首長が勝手に富の集まる豊かな自治体で我が世の春を謳歌することもあるでしょう。一極集中の恩恵を受ける東京都はまさに後者の典型で、よほどのヘマをしなければ失政とは言われないもの、地方からの人材や富をかき集めて東京は繁栄し、それを東京都知事が自らの功績であるかのごとくに奢るものと言えます。

 国政でも時期に恵まれた人と、そうでない人がいるのではないでしょうか。いしいひさいちの漫画で、故・小渕首相が景気の上向き傾向を見て奮起するシーンがありました。「もう少し頑張って首相で居続ければ、景気を回復させた首相になれる!」と。この辺はギャグとしても、日本国内はいざ知らず世界経済の動きは一国の首相の手には余るものでありつつ、しかし世界経済の浮沈がまた日本の景気をも左右するものだったりする、その在任当時の世界経済次第で過大に評価された首相もいるのではないかと思うわけです。

 小泉時代は「戦後最長の景気回復局面」と被る範囲が長いですけれど、それは小泉の功績ではなく諸外国の経済成長から「おこぼれ」を貰った結果に過ぎません。非金融法人の現金・預金を軸とした内部留保が増大を続ける中、小泉時代も一貫して日本で働く人の給与所得は下がり続けましたし、経済成長が続くと言っても緩やかに過ぎて世界経済の成長からは取り残される一方であった、そして金融危機で日本の「外」の景気が悪化すると金融依存と呼ばれた国なんかよりも格段に大きな落ち込みを見せたのが日本経済でした。

 小泉の語る「発展」とは何なのでしょうか。小泉時代の「実績」を発展と考えるなら、それは日本で働く人にとって一層の苦難の時代を意味します。より「働かせる」側が恣に振る舞えるよう規制緩和して企業側が強い社会を作ること、企業の内部留保を際限なく増やし続けること、国内の購買力を蔑ろにして外需依存度を高めること、そうして諸外国の成長の「おこぼれ」に期待すること、これを発展と考えるなら国内産業が衰退して原発は不要になる可能性も高そうです。それを歓迎するなら、どうぞ小泉――細川に投票してください。

 

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コメント (4)
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