非国民通信

ノーモア・コイズミ

それは許してやって欲しい

2012-02-07 23:03:00 | 社会

大雪停車の乗客に期限切れ栄養食品配る…JR西(読売新聞)

 JR西日本は2日、大雪の影響でJR北陸線武生駅(福井県越前市)に停車していた特急の乗客に、賞味期限を1週間過ぎた栄養食品143箱(1箱2本入り)を配ったと発表した。

 一部の乗客は食べたが、体調不良などの報告はないという。

 同社によると、2日午前10時20分頃、和倉温泉発大阪行き特急「サンダーバード12号」(乗客約170人)が1時間遅れで同駅に到着。除雪作業で出発できなかったため、正午頃、駅員が災害に備え、備蓄していた栄養食品を配った。

 約40分後、賞味期限が1月26日だったことに同駅員が気付き、すでに出発していた特急が次に停車する敦賀駅に連絡。未開封の62箱を回収したが、81箱は乗客が食べた後だった。

 さて、相も変わらずダイヤ通りに動かないJRに悩まされる日々を送っているわけです。珍しく遅延理由がアナウンスされているかと思いきや、駅構内での説明と社内での説明が全く異なっていたりする辺り、遅延理由は各自が適当にでっち上げているのでしょうか。とりあえず、「後続列車が遅れているため、当駅で時間調整いたします」と電車を止めておきながら、その先の駅で「次の電車をご利用ください、電車続いて参ります」と言って利用者を騙すのはやめてください。

 それはさておき、北陸ではちょっと変わったことが起こったようです。電車が止まるのは普通のこととして、何でも栄養食品143箱を配ったとか。そして、賞味期限切れだったそうです。「(1箱2本入り)」と妙なディテールへの拘りを感じさせてくれる読売新聞の記事ですが、乗客約170人、配布143箱で食べられたのが81箱と細かく調べておきながら、「一部の乗客は食べた」との記載はいかがなものでしょう。170人中、81箱が食べられたのなら「一部の乗客」だけでは済まないように思われるのですけれど。

 何はともあれ、体調不良などの報告はないそうです。そりゃまぁ、賞味期限を1週間過ぎた程度で何かが起こるはずもないですよね。消費期限を1週間過ぎた刺身とかならいざ知らず、元々日持ちするように作ってある製品なのですから、たぶん賞味期限を半年くらい過ぎたとしても問題はないでしょう。概ね賞味期限の倍までは大丈夫という気がするというのはさておくにしても、そもそも賞味期限とは「美味しく食べられる期限」なわけです。期限を過ぎて風味が落ちていることはあっても、簡易的な栄養補給としての機能に変化はない、衛生面でも支障はないと考えられます。「味」を期待されるレストランでならいざ知らず、非常食という観点で見れば別に気にすることはないでしょう。

 でもまぁ、賞味期限を過ぎたらもう食べられないと、そう信じ込んでいる人って割と多いのかも知れませんね。確かに夏場の生ものとかは「消費」期限に気を遣う必要もありますけれど、賞味期限はそういうものではありませんし、むしろ保存状況の方に注意すべきところもあるはずです。にも関わらず、機械的に賞味期限の前か後かで判断している人って、割と私の周りにも多かった気がします。賞味期限内に食べようという心がけは悪くないのですが、賞味期限たった一日過ぎただけで危ないという判断は何とも乱暴だなと子供心に思ったものでした。別に時限式のスイッチを仕込んであるわけじゃないのですから……

 これと似たようなことが、昨今の放射線基準値についても言えるのかも知れません。どちらも余裕を持った値ですから賞味期限や基準値を超えたものを食べても特に心配するようなことではない、ただ賞味期限切れ、基準値越えの食品を普通に売り続けるとしたら問題ではないかと、こういうレベルで考えておけば余計なことに神経を磨り減らすこともないと言えますが、例によって機械的に基準値を超えたら危険だと、そう判断する人も少なからずいたわけです。仮に基準値を上回っていたとしても、そんなにたくさん食べる食品なのか、食べる前に水で戻したり水で溶いたりする食品であれば実際に口にする段階ではどうなのかとか、一年間食べ続けたとしたらどの程度なのか、日常生活で普通に浴びる放射線量と比べてどうなのか、そもそも放射線「以外」のリスク要因と比べてどうなのか等々、どうせ考えるなら他にも色々とあるはずなのに、検出された数値だけで大騒ぎする人もいて、まぁ浅はかだなと思いました。

 ちょっと脱線しましたけれど、JR西のケースはこうして全国紙に載せられるほどのことなのか?と気の毒に感じるところもあります。状況を鑑みれば、これくらいは許容範囲として受け止めて欲しいものです。賞味期限「内」の備蓄品があるにも関わらず、賞味期限切れの備蓄品の方を配ってしまったとしたら手落ちとは言えますが、あくまで「賞味」期限切れであって「消費」期限切れではありませんし。むしろ備蓄品が挙って期限切れであったとして、賞味期限切れを理由に配布を渋ったとしたらどうでしょう? そちらの方がJRらしいと言えなくもないですが、このような判断こそ融通が利かないものとして非難されるべきと思われます。非常時――というほどの状況でもなかったにせよ、基準は状況に合わせて適用されなければなりません。目の前に腹を空かせた人がいるのに、「賞味期限切れだから」という理由で食料を廃棄する人がいるとしたら、何とも馬鹿げた話ですよね。余裕があるときは基準を厳しく守りつつも、他のリスクに迫られているときは状況に応じて緩和するなどの柔軟さは当然、求められます。しかるに、放射線基準値でもそうであったように、杓子定規に「平時」の基準値を守らないと、色々とやかましい人がいるわけです。そうした人々の非難を浴びないようにと心がければ当然ながら融通が利かなくなる、典型的なのが「お役所」ですけれど、どうも役所に限らない気がします。

 

 ←応援よろしくお願いします

 

参考、ゆとりのあるときなら守るべきこと

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする