非国民通信

ノーモア・コイズミ

ハローワークの求人広告が最も信用できない

2010-01-17 22:48:10 | ニュース

ハローワークに架空の求人…200万詐取容疑で男逮捕(スポニチ)

 札幌・東署は15日、ハローワークに架空の求人を出し、応募した札幌市の無職女性(33)から投資名目で200万円をだまし取ったとして、詐欺の疑いで、同市北区北23条西3丁目、自称会社役員大関猛容疑者(58)を逮捕した。

 逮捕容疑は昨年6月ごろ、ハローワークに実体のない歯科治療機器販売会社の正社員の求人を提出。応募した女性に採用決定を告げ「入社時には自社株を買ってもらっている。知り合いに預けて投資し、1カ月で1割の配当が付く」などとうそを言い、200万円をだまし取った疑い。

 私も失業者という立場上、ハローワークには何度となく足を運ばざるを得ないのですが、ハローワークで紹介されている求人が最も質が悪いと思うんですよね。ハローワークよりも、派遣会社の営業の方が格段に当てになるのだからどうしようもありません。で、ハローワークの求人を見て応募したら逆に金を取られましたよ、という話です。これって、偶々なんでしょうか、ちょっと時機を逸して取り上げられなかったのですが、昨年末にも似たようなニュースを見た記憶があります。

新規採用者に多額の出資金要求 各地でトラブル(神戸新聞)

 新規採用された人たちが会社から多額の「出資」を求められたという相談が、各地の消費生活センターなどに寄せられている。兵庫県立生活科学総合センターは、雇用情勢の悪化を背景に「職を手放したくないとの思いから我慢するため、問題が表面化しにくい。おかしいと思ったら相談を」と呼び掛けている。

 神戸市の男性(49)は今春、物流会社を辞めた。5年ほど前から何度も適性検査を受けさせられては「結果が悪い」と給料を減額された。既に年約150万円カットされたが、さらに減額を通告されたのだ。16年勤めた会社の退職金は、約540万円だった。

 約30社の求人に応募。妻と2人の娘を養うため、正社員にこだわった。多くは書類選考で落とされ、望みを失いかけた5月、特別養護老人ホームを建設、運営の準備を進めているという会社(神戸市中央区)のチラシに目が留まった。

 「正社員大募集」。21~35万の月給。面接だけですんなり採用された。総務担当として法人登記の手続きやオフィス確保などに奔走した。間もなく「配当金は5%。必ず返す」と会長(60)らが出資を求めてきた。預金を取り崩し100万円を手渡した。

(中略)

 賃金未払いに陥っていたのに、会長らはハローワークで新たに求人を計画。「出資できる人を集める」のが理由という。耐えられなくなり、8月、約20人の従業員と退社。10月、会長は姿を消した。事業はまったく手つかずで、出資金は戻らず4カ月分の給与約66万円のうち支払われたのは26万円ほど。それも大半は、自分の出資金が原資だった。他に従業員4人が計260万円を出していたという。

 今や被雇用者が低賃金労働で企業を支えるのが当たり前になった日本ですが、中には社員が自らお金を出して会社を養うところまで出始めているようです。類似の報道も出ているわけですし、同様の相談が「各地の消費生活センターなどに寄せられている」とのことですから、もはや例外的なケースではなくなってもいるのでしょう。人員削減と給与カットも限界に達したその次は、労働者に賃金を支払う代わりに、逆に支払わせる……事実は小説より奇なりとは言いますが、まぁよくぞ思いついたものだと感心してしまいます。日本では入居時に「敷金/礼金」を支払うのが慣習化していますが、もしかしたら将来的には入社時にも「敷金/礼金」を支払うのが一般的になったりして???

 ちなみに、こうした求人を斡旋した「共犯者」であるハローワークは何をやっているのでしょうか。警察や消費者センターが動いているようですが、ハローワーク側からのアクションも欲しいところです。たとえば新聞などのメディアだったら自社の広告枠が犯罪に利用されないよう、それなりに対応しているわけです。ファイル共有ソフト制作者のように、違法な使い方をされようが自分の知ったことではありません、みたいな態度は通用しません。だからハローワークだって、悪質な求人を流通させないよう対策を立てる必要があるはずですが、ハローワーク及び運営母体である自治体の対策はどの程度なのでしょうか。

 往々にして、対策は取られない印象があります。とりわけ公的機関においては。対策の代わりに、懲罰的措置が執られるような気がします。つまりハローワークがロクな仕事をしない、役割を果たすどころか求職者を食い物にする仲介役を果たしているわけですが、このような見方が広まった場合、世論は何を求めるでしょうか。求人広告に偽りがないか、しかるべき監査が行えるよう予算と人員を増やすのが「対策」になるはずですが、むしろ行われるであろうことは予算と人員の削減であろうと諸々の前例から推測されます。ハローワークなロクな仕事をしないのだから、予算をカットしろ、人も減らせ、と。そうして猶更、虚偽の広告は垂れ流しにされる……

 ここで取り上げたような極端な事例でなくとも、求人広告は嘘ばかりです。これが商品広告であればJAROや公正取引委員会に訴えられてもおかしくないレベルです。なぜか求人広告に限っては虚偽記載が黙認されているのが現状ですが、ここはもっと厳格にならなければならないはずです。求人広告に偽りがないか追跡調査までして、違反があれば告発する、ハローワークから締め出すくらいの措置は執るべきでしょう。たぶん政府が「見せかけの」失業率を気にするのと同じ理由で、ハローワークも自治体から「見せかけの」求人倍率を改善するよう求められているものと思います。だから、どれほどタチの悪い求人であろうと構わず載せて「見せかけの」求人を増やすのが常態化してしまっているのかも知れません。でも、一応は公的機関であるはずのハローワークの求人が最も信用ならないってのは、どこかおかしいですよね。

 

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コメント (8)
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