非国民通信

ノーモア・コイズミ

やっぱり鳩山はダメだな

2009-02-22 11:24:48 | ニュース

「民主に賛成の官僚以外クビ」鳩山氏、政権奪取後の構想(読売新聞)

 民主党の鳩山幹事長は9日、大阪市で開かれた関西経済同友会の会合で講演し、民主党政権での政府人事について、「(各省庁の)局長クラス以上に辞表を提出してもらい、民主党が考えている政策を遂行してくれるかどうか確かめたい。それくらい大胆なことをやらないと、官僚の手のひらに乗ってしまう」と述べた。

 民主党政権が実現した場合、中央省庁の局長級以上の幹部にいったん辞表を提出させ、民主党の方針に賛成する官僚のみを引き続き採用する考えを示したものだ。

 幹部公務員の政治任用制の拡大は民主党の基本政策の一つで、2007年参院選公約にも盛り込まれている。03年に当時の菅代表がまとめた政権構造改革案では「各省庁の局長級以上で新内閣の基本方針に賛同しない官僚には辞表を求める」と明記している。

 官僚ってのはその国の"Constitution"に仕えるものだと思っているのですが、日本の場合"Constitution"が意味するのは有名無実の日本国憲法ではなく自民党政府のことでした。官僚とは自民党に仕えるもの、実績から定義するならそう見ても間違いではないでしょう。

 さて、ちょっと古いニュースですが(同様の主旨の発言はテレビではよく見るのですが、意外にテキストで報じられているものが見つけられなかったもので)、民主党の鳩山幹事長がとんでもないことを口にしているようです。ハトより頭が悪いかに見えた弟の方が珍しくまともな仕事をしている昨今ですが、こうなると兄の方がむしろ出来が悪いようにすら見えます。

 曰く「中央省庁の局長級以上の幹部にいったん辞表を提出させ、民主党の方針に賛成する官僚のみを引き続き採用する」とか。踏み絵ですね。ブラック企業が正社員をクビにするためにこういう手段を使うとも聞いたことがありますが、それを政府公認でやろうというのだから恐れ入ります。まぁ政権が変わればスタッフも入れ替わるのはスポーツの世界でもあることですが、どうも手口が嫌らしく感じられてなりません。なんとなく「日本が嫌なら出て行け」とか言い出す人と鳩山氏が被って見えるのです。

 そもそも、官僚の方が政府閣僚より入れ替わりが少ないとするなら、官僚機構には昔年の自民党的体質によく適合した組織が残されていると考えられます。そして政策面で昔の自民党に近いのは、今の自民党よりも民主党ではないかとも思うわけです。官僚との対立を強調した小泉カイカク路線に同調するならいざ知らず、その見直しを訴えるなら、むしろ「抵抗勢力」こと官僚組織との距離は近いはずです。

 で、官僚という「悪い奴」が反対するせいで善政が阻まれている、世の中が上手く回らないのは官僚という「悪い奴」がいるからだと、端的に言えばそんな風な図式がいつの間にか刷り込まれているのではないでしょうか。実績からすれば官僚機構は"Constitution"=「自民党」の手足として働いてきたはずですが、いつのまにか役目が変わってしまったようです。

 事実問題として、どれだけ官僚が政治を動かせるのか、巷で言われるように官僚が全てを牛耳っているのか、それとも自民党政府の下部組織に過ぎなかったのかはさておくにしても、官僚のクビを切れば世の中が良くなる、政治/社会が変わるかのような幻想を持つこと/持たせることは非常に危険です。たしかに昨今の公務員叩きの飽くことない盛り上がりを見れば、これに迎合するのが有権者の歓心を買う必須要件、国民と一緒になって官僚叩きに邁進すれば票は集まるでしょうけれど、それをやるなら小泉や橋下と変わらないのでは?

 上手く行かないのは官僚のせいだ、こういう責任転嫁は受け容れられやすいものです。国民は官僚が嫌いですから、バッシングのきっかけを提供すれば大歓迎されます。もし政治が機能しなくても、それは官僚のせいにしてしまえばいい、政府はやるべきことをやろうとしているが、官僚の抵抗で実行を妨げられている、だから世の中は良くならないのだ、そう言い繕うことが出来れば政府は悲劇のヒーロー、責任は全て官僚に帰せられます。行政の長は責任を取らなくて済む、実権を握っているのは官僚であると、そう見せかけることさえ出来れば、責任の所在も転嫁できるわけです。

 民主党が政権を取ったとして、まぁ今の自民党政権よりはマシになるでしょうけれど、かといって何もかもが上手く行くはずもないでしょう。その時、自分が責任を取るか、それとも誰か嫌われ者のせいにするか、民主党はどちらを選択するのでしょうか? 民主党内閣は国民のために働いているが、官僚の抵抗があるために結果が出ないと、そういう方向に話を持っていくようであれば、それは小泉政治と変わりありません。公務員叩きに走ったり、官僚の権限を殊更に強調するような政治家/政党には、自ら責任を負おうとするのではなく、悪者を用意することで自分を正当化しようとする傾向があると、そう見ておく必要があります。

 

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