非国民通信

ノーモア・コイズミ

貧しければ愛もないのだ

2007-03-08 23:35:20 | ニュース

非正社員男性の結婚割合、正社員の4割 厚労省調査(朝日新聞)

 非正社員の男性が結婚する割合は正社員の4割――こんな実態が7日、厚生労働省の調査で明らかになった。既婚者について子どもがいる割合を妻の仕事別にみると、非正社員は正社員の半分だった。非正規労働が増えるなかで、雇用や経済基盤の不安定さが結婚や出産を阻む原因の一つとなっていることが、改めて浮き彫りになった。

 02年10月末時点で20~34歳だった男女を対象に、同年から毎年同じ回答者を追跡調査している「21世紀成年者縦断調査」で今回が4回目。約1万9千人の回答を集計した。

 1回目の調査で独身だった正社員男性のうち、これまでに結婚したのは15%だったのに対し、非正社員は6%にとどまり、2.5倍の格差。無職は4%だった。結婚した女性の割合は、正規、非正規、無職で大きな差はなかった。

 「結婚したい」と考えている独身者は、男性の場合は正社員69%、非正社員50%、女性では正社員73%、非正社員63%。男女ともに正社員の方が結婚希望の割合が高かった。

 妻の仕事別に子どもが生まれた割合をみると、正社員の場合は33%で、非正社員の16%を大きく上回った。専業主婦は31%だった。厚労省は「正社員なら育児休業を活用しやすいなどの状況が影響している可能性がある」とみている。

 男性は下方婚、女性は上方婚、なんて話もあります。男性は自分より収入の低い女性と、女性は自分よりも収入の高い男性を志向する傾向が今なお非常に強いそうで。ともあれ02年10月末時点で20~34歳とはかなりの部分が就職氷河期世代とかぶります、この年代の男性は正規雇用就業率が低く、必然的に高収入の人は少ない、女性から見て結婚できる対象が少ない世代でもあります。かくして結婚率は減少、この結果として少子化も進行するわけですな。柳沢大臣が言うところの「産む機械」に頑張ってもらう以前に、経済的な見通しを保証してやらないことにはどうしようもありません。

 しかるにこの辺の数値、5年、10年と立てばある程度は自然に回復しそうです。というのも07年度の新卒世代は比較的就職状況がよく、正規雇用就業率も氷河期世代に比べれば高い、収入が高い男性の割合も高く、女性から見た結婚の対象も多いわけで、結果的に氷河期世代よりも結婚率上昇、出生率も上昇、政府は何もしていなくても数値が上昇、後の厚労相はさも自分の手柄であるかのように語るのではないかと予測されます。そして氷河期世代は結婚においても再チャレンジの機会もなくコミュニケーション能力がないとか誹られて終わるのでしょうか。

 一方で女性の場合は正規雇用でも非正規雇用でも無職でも差がないようです。男性が中心となって稼ぐ伝統的な家族像は不滅なのでしょうか、非正規雇用の貧しい男性が増えているわけですから、正規雇用の富める女性が一家の主として婿を取る、女性の下方婚志向が出てきてもよさそうなものです。このブログの読者層はリベラル層が多いと思われますので、男を養ってもいいよ、という例外的な女性もいるような気がしますが、残念ながら統計上で優位な差を作り出せるほどには至っていないようです。

 若いうちは正社員と派遣社員の間でそれほど収入に開きが出ないことも考慮に入れるべきかもしれません。しかし、男性正社員であればその後の出世が期待できるとして上方婚志向の女性から投資の対象として選ばれる、逆に出世が期待できない派遣社員は除外される。一方で女性の場合は正社員でも出世コースが男性以上に限られているため、非正規雇用との将来的な差が小さい、女性の結婚率に正社員と非正規雇用の差が見られないのはその辺りの事情があるのかもしれません。

 しかし非正規雇用男性の6%が結婚しているのに対し、無職男性の4%が結婚、女性から見ると非正規雇用も無職もそれほど差はないのでしょうか。正規雇用と非正規雇用の格差は予測できた結果であり驚きはしませんでしたが、非正規雇用と無職の間にあまり差がないのは驚きです。もっと無職に対する偏見は強いと思っていたのですが、どうなんでしょう。むしろ非正規雇用男性への蔑視が強すぎて無職との差が縮まっているのでしょうか。

 それから男女ともに正規雇用の方が非正規雇用よりも結婚願望が強く、子供が生まれた割合も高いと、やはり経済的安定が重要なようです。お偉いさんは「日本企業が厳しい国際競争に勝ち抜くために必要だから」と、海外企業との競争という恐怖を煽ることで労働条件の引き下げを正当化しようとします。ならばこちらは労働条件を引き上げないと少子化がどんどん進んで日本の人口が減るよ、と脅してみるべきでしょうか。私としては少子化の進行も人口減も時代の流れとして受け容れていくべきものと思うのですが、「強いニッポン」を好む層にはそれなりの恐怖として通用するかも?

 

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コメント (5)
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