「買収無残 成功幻想が社員をつぶす」と日経ビジネス5/7号の表紙は語る。記事によると,最近の主な合併事例35件のうち,3年以内に株価がTOPIXの趨勢以上に上がったのは半数にすぎない。つまり,成功したのは半数だという。多くの合併が企業の収益性を向上させないこと自体は,以前から経済学の研究で示されており,驚くことではない。むしろ「成功を期待しにくいのに」なぜ企業買収・合併が繰り返されるのかが興味深い問題だ。
もちろん,成功の確率がそう高くなくとも,成功したときの利益が非常に大きければ,チャレンジすることは合理的である。実際,この記事に掲載されたデータでは,一部の合併で株価(つまり企業価値)が3年で2~3倍になっている。あるいは,株価に反映される企業価値以外の価値が大きいという説明も可能だろう。合併によって売上や資本の規模はよほどのことがなければ拡大するわけで,それは経営者のプレステージとなり得る。
別の説明は,企業家はそもそもリスクテイカーだから,確率の低さに捉われることはないというもの。期待値で行動するなら,誰もギャンブルはしないし,ビジネスも同じだと。あるいは,人間一般の傾向として,自分は(上か下かは別にして)平均とは異なると考えがちだと心理学者はいう(これについては後日言及)。だから,「やり手」だと自分のことを信じる人々が,過去の成功率など気にするはずがない。
この記事のデータは,M&Aのコンサルティング企業が提供したものだという。彼らは,だからこそ,専門家のサポートが必要なのだといいたいはずである。広告もまた半分しか効いていないとよくいわれる。だからこそ・・・と広告会社やマーケティング・プランナーがいえればいいわけだ・・・。
もちろん,成功の確率がそう高くなくとも,成功したときの利益が非常に大きければ,チャレンジすることは合理的である。実際,この記事に掲載されたデータでは,一部の合併で株価(つまり企業価値)が3年で2~3倍になっている。あるいは,株価に反映される企業価値以外の価値が大きいという説明も可能だろう。合併によって売上や資本の規模はよほどのことがなければ拡大するわけで,それは経営者のプレステージとなり得る。
別の説明は,企業家はそもそもリスクテイカーだから,確率の低さに捉われることはないというもの。期待値で行動するなら,誰もギャンブルはしないし,ビジネスも同じだと。あるいは,人間一般の傾向として,自分は(上か下かは別にして)平均とは異なると考えがちだと心理学者はいう(これについては後日言及)。だから,「やり手」だと自分のことを信じる人々が,過去の成功率など気にするはずがない。
この記事のデータは,M&Aのコンサルティング企業が提供したものだという。彼らは,だからこそ,専門家のサポートが必要なのだといいたいはずである。広告もまた半分しか効いていないとよくいわれる。だからこそ・・・と広告会社やマーケティング・プランナーがいえればいいわけだ・・・。