本書は『衣笠祥雄はなぜ監督になれないのか?』の続編といえる。帯には「20年以上優勝できず,40年近く黒字経営・・・」と書かれている。カープが優勝どころかAクラスにも入れないのは,こうした経営路線にあると指弾する。
筆の勢いか,本書の後半では,今年のカープにおける不思議な采配や前田健太が遭遇したトラブルまで,こうした経営路線が招いたと書かれている。まるで,球団が勝たせないように仕組んだ,と受け取られかねない部分である・・・。
そこまでくると,さすがに首をかしげてしまう。ストーリーとしては一貫性が増すが,まるで陰謀論のような話だ。著者はあとは読者の判断に委ねるという。カープファンの端くれとして著者の怒りはわからないでもないのだが・・・。
著者はカープのオーナーが利益だけを求め,戦力強化を怠っていると批判する。では,オーナーが私財をなげうって戦力強化すればいいのか?それだと,本書で紹介される過去の名物オーナーのように,いずれ経営が破綻しやしないか?
別の可能性として,球団をどこかの企業に身売りし,広告費として赤字を処理してもらうことが考えられる。著者はその可能性に触れていない。おそらく,それはそれで問題が多いことに気づいておられるのだろう。
ぼくは,カープの黒字経営路線はそれなりに貴重なことだと思っている。そこを制約条件として戦力を強化するには,収入を増やすしかない。それができるなら苦労しない,と批判されそうだが,それしかない。イノベーションが必要だ。
下に掲げた AERA 9/24 号では,最近関東で熱いカープファンが増えていることを報じている。広島から東京へ移動する人口が急に増えたわけではないだろう。20年以上優勝できないチームをなぜかくも熱く応援するのだろうか?
著者は,カープの現状を変えるために,ファンはズムスタに行かない,あるいは行く回数を減らすべきだと提言する。一種の抵抗運動だ。だがそれは,負けても負けても応援し続けるファンたちの心に響く提案だろうか?
カープを応援する,優勝してほしい,でもできない,でも応援する・・・というサイクル。カープを応援するということは,あたかも宗教的苦行のようだ。それでもいつか必ず優勝してほしい(神の降臨)。パズルを解くのは容易ではない。
筆の勢いか,本書の後半では,今年のカープにおける不思議な采配や前田健太が遭遇したトラブルまで,こうした経営路線が招いたと書かれている。まるで,球団が勝たせないように仕組んだ,と受け取られかねない部分である・・・。
「マツダ商店」はなぜ赤字にならないのか? | |
堀治喜 | |
文工舎 |
そこまでくると,さすがに首をかしげてしまう。ストーリーとしては一貫性が増すが,まるで陰謀論のような話だ。著者はあとは読者の判断に委ねるという。カープファンの端くれとして著者の怒りはわからないでもないのだが・・・。
著者はカープのオーナーが利益だけを求め,戦力強化を怠っていると批判する。では,オーナーが私財をなげうって戦力強化すればいいのか?それだと,本書で紹介される過去の名物オーナーのように,いずれ経営が破綻しやしないか?
別の可能性として,球団をどこかの企業に身売りし,広告費として赤字を処理してもらうことが考えられる。著者はその可能性に触れていない。おそらく,それはそれで問題が多いことに気づいておられるのだろう。
ぼくは,カープの黒字経営路線はそれなりに貴重なことだと思っている。そこを制約条件として戦力を強化するには,収入を増やすしかない。それができるなら苦労しない,と批判されそうだが,それしかない。イノベーションが必要だ。
下に掲げた AERA 9/24 号では,最近関東で熱いカープファンが増えていることを報じている。広島から東京へ移動する人口が急に増えたわけではないだろう。20年以上優勝できないチームをなぜかくも熱く応援するのだろうか?
AERA(アエラ) 2012年9月24日号 | |
朝日新聞社 |
著者は,カープの現状を変えるために,ファンはズムスタに行かない,あるいは行く回数を減らすべきだと提言する。一種の抵抗運動だ。だがそれは,負けても負けても応援し続けるファンたちの心に響く提案だろうか?
カープを応援する,優勝してほしい,でもできない,でも応援する・・・というサイクル。カープを応援するということは,あたかも宗教的苦行のようだ。それでもいつか必ず優勝してほしい(神の降臨)。パズルを解くのは容易ではない。