「衣笠祥雄は、なぜ監督になれないのか?」―カープファンなら誰でも胸にしまってある疑問である。そして多くの人々が想定している答えは,本書が示唆する答えとそう違ってはいない。だが,真実はまだ明らかになっていないし,ある意味で誰にとっても明白な真実は存在しないかもしれない。
本書はまず,FA で広島を去っていった新井や黒田といった選手を取り上げる。記者会見での発言や報道記事から,彼らが広島カープから去った本当の動機を探ろうとする。その結論は,一度は優勝を経験したい彼らが要請するチームの戦力強化について,球団が真剣な対応をしなかったことにあるという。
著者の批判は,結果を出せない監督への甘い態度,内部出身者で固めたコーチ陣,以前にもまして大物を穫らないトレード,そして13年間Bクラスでも責任をとらない球団経営陣に向かう。シーズン最後にあれだけ黒田を引き留めながら,翌年の開幕戦では熱が冷めていたかのような地元ファンへも・・・。
こうした主張に共感するカープファンは少なくないだろう。著者は最後に,「夢の」監督・コーチ陣を披露する。確かにオールド・カープファンを魅了する顔ぶれだ。そのほとんどが,カープの黄金時代を支え,その後他チームにトレードで移った「反主流派的な」選手である(正田はちょっと違うが・・・)。
監督 衣笠祥雄
ヘッドコーチ 安仁屋宗八
野手総合コーチ 高橋慶彦
投手コーチ 江夏豊
川口和久
打撃コーチ 江藤智
金本知憲 引退後?
バッテリーコーチ 古田克也 →敦也?
内野守備コーチ 正田耕三
外野守備コーチ 長島清幸
二軍監督 古葉竹識
だが,高橋はロッテの二軍監督だし,長島も同じくロッテ,川口と江藤は巨人,正田はオリックスでコーチを務めている。みんな指導者としての経験に不足はない。こうしたOBの存在は,本来ならチームの資産といえるはずだ。プロ根性に溢れる彼らが,チームの士気を高めることは間違いない。
だが,それは結局,酒場で語られる夢物語でしかない。仮に球団のガバナンスに問題があるとしても,ではどうすればいいのか,そのあり方が見えない以上,批判は批判として終わってしまう。ソーシャルメディアを使った「ジャスミン革命」・・・なんてことが,ついつい頭をよぎったりする。
もちろんファンの意見は過激になりがちであり,球団にも言い分があるだろう。今年カープがAクラス入りでもすれば,ファンの怒りはたちどころに霧散する。特定企業の広告費に依存せず,独立採算を維持し,地域密着の先駆者であるカープの将来を,実現可能なイノベーションとして構想したい。
つまり,過去のあれこれ,恩讐を超え,未来志向で!
衣笠祥雄は、なぜ監督になれないのか? | |
堀治喜 | |
文工舎 |
本書はまず,FA で広島を去っていった新井や黒田といった選手を取り上げる。記者会見での発言や報道記事から,彼らが広島カープから去った本当の動機を探ろうとする。その結論は,一度は優勝を経験したい彼らが要請するチームの戦力強化について,球団が真剣な対応をしなかったことにあるという。
著者の批判は,結果を出せない監督への甘い態度,内部出身者で固めたコーチ陣,以前にもまして大物を穫らないトレード,そして13年間Bクラスでも責任をとらない球団経営陣に向かう。シーズン最後にあれだけ黒田を引き留めながら,翌年の開幕戦では熱が冷めていたかのような地元ファンへも・・・。
こうした主張に共感するカープファンは少なくないだろう。著者は最後に,「夢の」監督・コーチ陣を披露する。確かにオールド・カープファンを魅了する顔ぶれだ。そのほとんどが,カープの黄金時代を支え,その後他チームにトレードで移った「反主流派的な」選手である(正田はちょっと違うが・・・)。
監督 衣笠祥雄
ヘッドコーチ 安仁屋宗八
野手総合コーチ 高橋慶彦
投手コーチ 江夏豊
川口和久
打撃コーチ 江藤智
金本知憲 引退後?
バッテリーコーチ 古田克也 →敦也?
内野守備コーチ 正田耕三
外野守備コーチ 長島清幸
二軍監督 古葉竹識
だが,高橋はロッテの二軍監督だし,長島も同じくロッテ,川口と江藤は巨人,正田はオリックスでコーチを務めている。みんな指導者としての経験に不足はない。こうしたOBの存在は,本来ならチームの資産といえるはずだ。プロ根性に溢れる彼らが,チームの士気を高めることは間違いない。
だが,それは結局,酒場で語られる夢物語でしかない。仮に球団のガバナンスに問題があるとしても,ではどうすればいいのか,そのあり方が見えない以上,批判は批判として終わってしまう。ソーシャルメディアを使った「ジャスミン革命」・・・なんてことが,ついつい頭をよぎったりする。
もちろんファンの意見は過激になりがちであり,球団にも言い分があるだろう。今年カープがAクラス入りでもすれば,ファンの怒りはたちどころに霧散する。特定企業の広告費に依存せず,独立採算を維持し,地域密着の先駆者であるカープの将来を,実現可能なイノベーションとして構想したい。
つまり,過去のあれこれ,恩讐を超え,未来志向で!
夢のコーチ陣は、実現して欲しいですが、難しいのかなぁ(悲)。
でも、かれらがカープの貴重な資産であることは間違いないと思います(微笑)。
実績という意味では,ロッテの二軍監督までいった慶彦が頭一つ抜け出ていますが・・・。彼が長島清幸を連れて広島に凱旋すると面白そう(ただ前田智徳が出て行くかw)。
それはともかく,コーチや選手の移動と戦力変化の関係を分析すると面白そうですね。データを集めるのが大変そうですが・・・。
個人的には、正田監督や高橋監督がみたいですが。。。
オーナーの考えておられることは、まったく不明です(微苦笑)。
他方、前田選手はどちらかというとコーチ向きかと。
でも、どこかでコーチをしてから戻ってきて欲しいです(微笑)。
最後に、選手、コーチ、監督の移動は、かなり面白そうなテーマです。
話題になる「外様」と「内部昇進」、どちらが戦力を高めるか、などいくつかの仮説が考えられます。
CARPで研究してみたいテーマの一つですね(微笑)。